ドリームスロット〜♪
ある日、変な夢を見た。
ふわふわしたファンタジックな空間の中で、天使のゆるキャラみたいなやつが出てきて、俺にこう言った。
「ドリームスロット〜!スロットを回して揃えた文字のものをゲット!僕はマスコットキャラクターのロット君だよ〜。よろしくね〜!」
その天使は意味不明なことをまくしたてるとぱっと消えてしまった。と同時に俺の前に1台のスロットが現れた。ゲームセンターにあるような普通のスロット。違うのはスロットのレーンが3つではなく5つあって、全て「あ」と言う絵柄でそろっているということぐらいか。
「それじゃ、行っくよ〜!今日のレーン、スタート!」
ロット君とか言うあの天使の声がどこからか聞こえてきて、それと同時に1番右のレーンが回り始めた。そしてやがて「の」の文字の絵柄で止まった。
「全部文字がそろったら、その景品がもらえるよ!残りはまた明日以降のお楽しみ〜。バイバ〜イ!」
ロット君の楽しそうな声が響く。そしてそこで目が覚めた。
「変な夢だったな…。」
そうは思ったものの、それっきり何が変わるわけでもない。その日一日過ごしているうちに俺はそんなことすっかり忘れてしまっていた。
しかし、その日もまた昨日と同じような夢を見た。
「ドリームスロット〜!スロットを回して揃えた文字のものをゲット!それじゃさっそく行っくよ〜!今日のレーンスタート!」
ロット君のセリフが終わると同時に真ん中のレーンが動き出した。レーンは「ら」の絵柄で止まった。これで今スロットの絵柄は
||あ|あ|ら|あ|の||
となっている。
なるほどな。俺はだいたい理解できてきた。このスロットを1日1レーンずつ回していって最後の5.日目に景品がもらえるってことか。同じ夢を2日続けて見ることなんて普通はあり得ない。この夢は本当に現実になるに違いない。俺はロット君の話を信用した。
それから数日間、俺は寝ることが楽しみになった。友人にもこのことを話して自慢した。
「どんなすごいものがもらえるかわかんねーぞ!羨ましいだろ。」
俺が興奮してまくし立てると、友人は半信半疑な様子でこう言った。
「ほんとか?なら最終日におまえの家に行って何がもらえたか見てやるよ。」
3日目は1番左のレーンが「た」で止まり、4日目は右から2番目が「も」で止まった。これで今スロットは
||た|あ|ら|も|の||。
残すところは左から2番目のみとなっているが俺にはもはや明日の文字が見えていた。
「これはもう「か」に決まりだろ!たからもの…宝物ってなるもんな。何なのかな宝物って。宝石かな。社会的地位かな。なあロット君、もう分かるからその宝物が何なのか教えてくれよ。」
最後の夜、俺はロット君にこう聞いてみた。
ロット君は楽しそうに答えた。
「まだ分からないよ〜♪最後の最後までお楽しみ♪スロットで出た景品は明日、朝目覚めたときに手に入るよ!それじゃスタート〜!」
さあ、早く明日の朝になってくれ。俺は目を輝かせてスロットのスピードがだんだんゆっくりになっていくのを見守った。
最後のレーンが止まった。
同時に俺の表情も固まった。
翌朝、俺の枕もとには1俵の米俵が置いてあった。
仕方なしに俺はその米を炊いて朝ごはんにした。けっこう美味しかったのが、なんだか悔しかった。
食べている途中、話をしたあの友人が訪ねてきた。
俺は友人を招き入れ一緒に飯を食べた。食べなから俺は落胆しながらすべてを語った。
それを聞いた友人はただ一言、こうつぶやいた。
「ああ、メシウマ。」
届いたのは
たわらもの
つまり俵もの。




