恋愛予報 クリスマス編
クリスマスなので。
「皆様、今日はクリスマスイブです。本州では雪が降る様子はありませんので、ホワイトクリスマスとはならないようですが、夜にはこの冬1番の寒さがやってきます。暖かくしてお出掛け下さい。
今日も元気に行ってらっしゃい♪」
ニコニコ笑いながらカメラに向かって手を降る。
そこで終わらないのは、豊城 杏が愛されているゆえである。
「あんずちゃんはクリスマスどう過ごすのー?」
確信犯的に悪ノリした大御所キャスターが、スタジオと中継場所を繋ぐマイクごしに問いかける。
「ケーキを焼きます!今年はチキンも丸一羽仕込みました!」
小さなガッツポーズと共に答える杏には、画面ごしにはきっとブンブン振る尾が見えている。
「丸一羽!?パーティーでもするの?」
わかっていて問うキャスターは、大げさに声を張る。
「はいー。毎年大学の時の先輩達と集まります」
「って事は崎くんも?」
「毎年かいちにーさんのお家が会場ですー」
「ほーーーーー」
無表情のまま成り行きを見守っていた崎が口を開きかけたのを目線で制し、更に問う。
「でもこれから帰ってケーキとチキン焼いて運ぶの大変だね」
「あ、いえ。かいちにーさんのお家で焼かせて貰うんですー」
「「ほーーーーーーーーーーーー」」
キャスターと女子アナが、意味ありげにカメラに向かってニヤリと笑む。
「そっかー。楽しそうだねー」
「若いっていいなー。俺なんかいくらクリスマスでも平日に遊べないな」
「私もですよー。毎日2時起きですよ!あんずちゃんも、明日も早いんだから程々にねー」
「はい!崎家は平日22時消灯です!」
「「へーーーーーーーーーーーー!」」
『お泊まり』を、匂わせるでもなく当たり前に語る豊城 杏に、他意はない。
眉間に若干のシワを寄せる崎 海知も、否定やごまかしを述べる事はない。
別に杏だけが泊まるとは言ってない。
(他の連中は遅くても20時には追い出す。)
先輩後輩だってクリスマスパーティーを催す事はある。
(毎年ラストは2人きりでプレゼント交換をする。)
やましい隠し事があるわけではない。
(口に出してはいけない事、を杏には徹底的に言い含めてある。)
世間様には最早周知の事実であっても、公言するにはタイミングというものがあるのだ。
自分的ベストプランを未だ練りきれていない崎 海知にとっては、素知らぬふりをするしかないのである。
崎 海知が杏に決定的な言葉を与える、少し前の話。
かいちにーさんが喋ってないΣ(・□・)




