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変身怪人・矢野悠斗の場合

改造人間になる事になりました

作者: DOG

「ANLG団め!俺達が居る限りお前達の好きにはさせないぞ!」


 そんなセリフと共に覆面を被った全身タイツの3人組が現れた。その3人はそれぞれ違う色のタイツを着ており、赤、青、黄の3色だった。そんな3人に対して一般戦闘員である俺達は覆面に黒の全身タイツといった恰好をしている。


「デジレンジャーか!あと少しで作戦が成功するところだったのに。忌々しい奴等めっ!」


 隊長のヴォルフさん(狼人間)が3人組の全身タイツ改めデジレンジャー達と掛け合いを始めた。まぁこのやり取りもお約束だしな。その間、我々一般戦闘員は掛け合いが一段落するまで大人しくして待っているのがお仕事です。なんてな。

……お、そろそろ終わりそうだな。こちらは準備オッケーですよヴォルフさん。


「行け戦闘員達よ!デジレンジャーを倒すのだ!」


 それでは行きますよーってね。俺はヴォルフさんの指示に従いデジレンジャーに向かって文字通り飛び掛かって行った。何もないはずの空間を蹴りながらな。

 勝てる可能性なんて万に一つも無いけど、正義の味方に襲い掛かっていく悪の戦闘員たち。そんなヤラレ役な一般戦闘員の中に俺もいた。




 あの後やっぱり俺達ANLG団はお約束通りにデジレンジャーの連中に負けてしまい、今回の作戦も結局は失敗に終わってしまった。撤退してきた俺達は今、更衣室で戦闘服から作業服に着替えてる所だったりする。なぜ着替えているのかって?戦闘服は作戦行動中に着る服であって、作業服はそれ以外で着るように規定されているんだ。流石に覆面全身タイツのままじゃ仕事に支障をきたすからだろうな。それに見分けが付かないしな。


「あーあ、今回もいい所まで作戦が進んでたのにデジレンジャーの所為で作戦失敗しちまったな」

「あの矢野先輩。ぼく今回初めて現場に出たんですが、いつもあと少しで作戦成功ってタイミングでデジレンジャー達が現れるんですか?」


 着替えながらぼやいていると現場初参加である新人の雨宮君が声を掛けてきた。


「おぉ雨宮君か。今日はお疲れさん。まぁ大体あんなタイミングで奴らがやってくるな。ありゃ狙っているんじゃねぇか?」

「ホント狙っているかのようなタイミングで来ますよね」

「そう。だから今回は人員を増加して警戒していたんだが……。それでも作戦は失敗に終わってしまった」


 雨宮君と話していると同僚の新藤が新たに会話に参加してきた。あれ?確か新藤は今回現場に居なかったよな?


「後方支援で現場には居なかっただけで、作戦自体には参加していたんだ」


 あぁそうだったのか。


「そろそろ奴らが来る頃合いだったから今回やけに戦闘員が多かったのか。それでも一般戦闘員ばかり増やしても駄目だろ?素直に怪人を増やした方がいいんじゃねぇか?」

「言うほど簡単に怪人の数は増やせないんだから仕方あるまい」

「え?なんで怪人を増やせないんですか?」


 雨宮君が不思議そうに聞いてきた。うん。疑問に思った事を聞くのはいい事だ。しかし俺は怪人を増やせない理由を知らないので答えられないぞ。という事で新藤に振る事にしよう。


「なんでだ新藤?」

「……矢野、お前は何年ここで働いているんだ?まぁいい。雨宮に説明するついでにお前も聞いておけ」


 聞かれた新藤は呆れたように言った。別に知らなくてもいいじゃねぇかよ。給料が増える訳でもないだろうに。


「本来怪人というのは改造人間の事を言う。だが元となる人間にはある条件が必要であり、誰でも改造手術を受けれる訳ではない」

「条件、ですか?」

「あぁ。その条件というのが『能力』を保持している事だ」


 なるほど。『能力』を持っている人間が改造される事で怪人となるのか。……ところで『能力』って何だ?


「ここで言う『能力』というのは超能力の様な物だと思えばいい。例えば念動力や発火能力といったものだな」

「そうなんですか。……あれ?もしかして空を走ったりとか、空中に留まったりとか出来るのも『能力』に含まれるのでしょうか?」

「やけに具体的だな。確かにそれも『能力』の1つになるだろう」


 その新藤の言葉を聞いた雨宮君がこちらを見てきた。ん?俺がどうしたんだ?


「矢野先輩……。確か今日の作戦で空を走っていましたよね」

「あぁ走っていたぞ。凄いだろ?特訓の成果を今回の作戦で初披露させてもらったんだ」


 それがどうしたんだ?別に珍しい事じゃ無いよな?一緒に特訓していた奴等なんて手も触れずに重量物を動かしたり、何もない空間から火を出していたりしていたぞ?そいつ等に比べたら俺の空を走る程度なんて大した事ないだろうが。


「おい、それって――」


――戦闘員の矢野悠斗。直ちに司令部へ――


 新藤が何かを言おうとしたと同時に放送が入り、司令部に来る様にと呼び出しを受けた。って司令部?俺は何も悪い事してないはずだぞ?って悪の組織なのに悪い事していないってどうかと思うが、まぁ今はそんな事関係ないか。


「何か呼び出しを受けたみたいだから行くな」

「あ、あぁ」

「矢野先輩……」


 作業服に着替え終わっていた俺は2人に声を掛けてから更衣室を後にした。




 さっそく司令部まで来た俺は深呼吸をしてからドアをノックした。


「矢野悠斗です」

「入れ」

「失礼します」


 ノックをし、返事を受けてから司令部に入った。すると部屋の中にはANLG団幹部の1人であるダイ=アール様と隊長のヴォルフさん、それに技術開発室室長のドクトルKがいた。うわ。緊張してきた。俺が入ってきたことを確認したダイ=アール様が口を開いた。


「矢野悠斗とやらよ。お前には『能力』がある事をヴォルフから報告を受けた。確か空を走る事が出来るそうだな」

「は、はい!」


 やべ。緊張からか若干上ずってしまった。でもそれがどうしたんだろう?


「戦闘面でも優秀と報告を受けている。そこでお前には怪人になってもらう為に改造手術を受けてもらう。詳しい事はドクトルKに聞け」


 ダイ=アール様はそう言うと用は以上だという事で司令部から出ていくように言った。俺はダイ=アール様の指示に従い司令部から出た。廊下に出た俺は先程ダイ=アール様に言われた事、すなわち改造手術を受ける事に僅かながら動揺を受けていた。気持ちを落ち着かせる為に深呼吸をし、ドクトルKが出てくるまで廊下で待っている事にした。落ち着いて考えてみると空を走るって一般人には出来ないよな普通は。そりゃ『能力』扱いになるよな。などと考えていると司令部のドアが開き、中からドクトルKが出てきた。


「待たせたね矢野悠斗君。さぁどんな風になりたい?バッタ人間か?魚人か?狼人間……はもう居るな。武装はもちろんドリルだよな!両手両足をドリルにするよな!!」

「ちょ、ちょっと待って下さい!……、とりあえずドリルは無しの方向でお願いします」


 ドクトルKの勢いに押され気味な俺は何とかドリルを断わった。両手両足がドリルって、どうやって生活すりゃいいんだよ。


「ドリルを断るだと?!まったく最近の奴らはロマンが分からんのかね!」


 すいません。そのロマンはちょっと分からないです。


「とりあえず場所を移動しませんか?こんな所で話すのもなんですし」

「ん?それもそうだな。では技術開発室に行こうではないか!言葉だけではドリルの良さは伝わりきらんだろうから実物を見せよう!」

「え、えぇ。お願いします」


 ドリルの説明はいらないがな。俺とドクトルKは技術開発室へと向かう事にした。技術開発室へ向かう俺の足取りはやや重かった事をここに記しておく。

 こうして俺は改造人間になる事になったのだった。



ファンタジー物を書いていたら何故かこうなりました。何でだ?

それでも楽しんで頂けたら幸いです。

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