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私の手

第一章 私の右手





時は20XX年、人間は日常のように宇宙旅行を楽しむ時代、一部の人間は宇宙にあるコロニーという地球とほぼ同じ環境空間で暮らしている者までいる。

ここ数年で地球の工業技術は驚くほど急成長と遂げ、人間が日々生活する上で、困る事は何一つ無い。

学校の机には3Dディスプレイが全てに設置してあり、教室に教師が来るという光景は今になってはどこに行っても見られる光景ではない。

そして、宮村真理奈もそんな時代に生きるごくごく普通の高校生である。


「真理奈、どうしたの?」

スクールバスを待っている真理奈の背中に向かって、由愛は声をかけた。

真理奈と由愛は小学校の時からの友達だ。

真理奈は元はコロニーで暮らしていたのだが、父親の正也の仕事の関係で地球に戻ってきて最初にできた友達が由愛だった。

「あ、別に、今日は暖かいなって思ったの。」

季節はもう秋、人口で植えられた草木も色を変え、紅葉のシーズンを迎えいる。

「そうだね、今日は暖かくなるらしいからね、体調崩さないようにね。」

そう簡単に体調は崩さないだろう、人間という生物は上手くできているのだから。

「大丈夫だよ、夏と違って、そんなに熱くないんだから。」





『私の手は、義手だ。

 中学生の時、交通事故で右手を失った。

 でも、今は技術が進歩していて義手一つでもまるで本物の様に使えるようになっている。

 人口筋肉と特殊な精神回路を使って本物の腕の動きを再現する事ができるようになっているし、人工皮膚で機械の部分をカバーしてるから、付けてるって言うのは家族と学校の先生、それに由愛ぐらいしか知らない。

 

 最初は義手を付けるなんて嫌だった。

 付けたからって、本物の手が帰ってくるわけでもないし、それが本当の手になるわけでもないんだから、付けるなんてしたくなかった。

 でも、由愛に言われたんだ、「私が辛い時は誰が抱きしめてくれるの?」って言われてから、私の考えはちょっとづつ変わってきた。

 でも、私の右手に温もりは無い。

 もう一生戻ってこないんだ・・・私の右手には。』

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