ある魔術師の物語 四話 第四章
明日テストなんで勉強します(-.-;)
「ぬぁっ!」
ここにきて初めて、ジークは余裕の表情を崩した。
「お主、雑魚ではないとは思っとったが…
よもや、ここまでの力を隠しとったとはの」
そう言いつつも地面に軽く着地したジーク。
仕留めるつもりだったが七十のダガーが直撃を防ぎに行ったようだ。
回りにはバラバラとダガーだった物、すでに俺の魔力で粉になった破片が雪のように降り注いだ
俺が使用した白光は、魔力を凝縮し武装化
爆発的な力を具現化する技法。
破壊のみに特化する上級魔術。
莫大な力を持つが、その代わりに近接戦闘の武器にしか凝縮できない。
飛び道具にすれば魔力は途中で霧散するからだ
人によって形は様々だが、俺の場合は剣
方刃にも両刃にも魔力の練り方によって可変できる。
今は魔力を攻撃として放出する事に適した、両刃にしている。
「おいおい、さっき言ったろ?殺す気はないだけだと。今、その必要は消えたがな」
俺の愛刀、白光
形態変化をして魔力凝縮形態にすれば
白夜
という方刃の刀になる
「ふむ…なる程の。あの小僧の探し人はお主で、お主が黒い月か。
じゃからお主もあの小僧を探している間は面倒を起こすまいと、あんな小細工を施していた訳か。」
「ああ、そうだ」
左手の白光に目をやる。
左手一本で振るうのは少々面倒だが、長年連れ添った愛刀だ。万が一のミスは無いだろう
「ふむ…ワシを結界外に吹き飛ばした、ということは衛兵が来る前にワシを倒す自信があるわけか」
「ああ、そうだ」
二回肯定を繰り返し剣を構える。
長々と喋っていれば、衛兵どころか魔術騎士団が飛んでくるかもしれない。
面倒事はさっさと終わらせるに限る。
「白光=白夜」
形態を方刃に変化、俺は八相に構え、ジークを確実に斬れる間合いへと足を踏み出そうとして…
「ふむ、ワシの負けじゃ」
…踏み出せなかった
両手を万歳して降参のポーズをしたからだ
「…ヲイ、いきなりどうした?」
「負けじゃと言ったのじゃ、ここで長引かせればワシは不利になるじゃろうし、衛兵も飛んでこようしな。
捕まりたくはない」
あれ?どうゆうことだ?
「あんたはファロからの刺客じゃ無いのか?」
「いや?ただ
厄介な取引が行われるから、小僧を殺せ、多分戦いがいのある奴も現れるだろう
と言われただけじゃ。
ワシは報酬と血湧き肉踊る戦いさえあれば依頼人など気にせんのでな。それにワシは武器を吹き飛された。多数の衛兵相手にどうしろというのじゃ」
本気か冗談か、おそらくジークという男は素手でも衛兵を圧倒しうると思うのだが
と、その時
あそこか!この魔力はなんだ!
隊長!念のため、魔術騎士団に応援依頼を!
衛兵達であろう声が聞こえた。
「っと、噂をすれば影、というやつか。ワシは逃げるとするかの」
カッと靴を鳴らして万歳のポーズのまま一気に跳躍し、廃工場の屋根の上に飛び上がって着地した。
「また会える日を楽しみにしておくぞゼロよ。ワシもまた、腕を磨いておく」
そう一方的に告げると、また陽炎のように消えてしまった。
「……」
釈然としない。
何だろうあの爽やかさ。
ていうか絶対戦闘続行できたろ、あいつ
とか思ってる内に大量の足音がどんどん近づいてきた。
「っと、やべえな。とっとと逃げるか」
俺は廃工場の奥から左手で人を担ぎ上げ、裏口から外に飛び出た。
裏口には人の気配は無い。
「身体能力制御」
魔術を行使
担いだまま走ってファロの門を目指す。
「さて、依頼は達成して無いが、あいつの言葉からしてこの人が合流対象って事なんだろうけど、このままにしとくとマズいよな、色々と」
右手がヤバい。
それと担いでる人も容態がよくないみたいだし…
「かくまってくれそうな場所とか人とか…」
あるわけがないし
居るわけが…
居た。
一人だけ
「…しょうがない、行ってみようかな。
行く当てもないし…
依頼達成まで帰れないし」
俺は、本当はもう会うことは無いと思っていた彼女の家を目指し始めた
そう、セリアの住まう家である
楽しんでいただけましたでしょうか?
では、出来ればまた次回お会い致しましょうm(_ _)m