飛び跳ねるもりこさん
お昼に出前を取りました。
先輩が
「あ、俺の親子丼がない」
と、騒いでいます。
もりこさんが
「ごめんなさい、間違えて食べちゃいました」
と、赤面しながら謝っています。
親子丼と、牛丼を間違えた様子。
「どうやって間違えたの?」
と、先輩も驚いています。
その日一日、
「親子丼、美味しかった?」
と、からかわれる、可愛いもりこさんでした(*^^*)
もりこさんが飴を口に入れました。
その途端、先輩が何か話しかけました。
口の中の大きな飴を歯と頬の間に移動させ、もりこさんは飴の形に膨らむ頬をオテテで隠しながらお返事をしていました。
先輩は苦笑しながら聞いていました。
その後、舌の上に飴を移動させたもりこさんは、座った拍子に飴を飲み込んでしまったようでした。
「飴がここにある、飴がここにある」
と、自分の喉を指さしながら、私に懸命に訴えてきます。
窒息したら大変だ、と慌てて水を持ってきて飲ませたり、背中を叩いたりして、何とか助けようとしましたが、
飴は取れませんし、喉に引っかかったままの様子でした。
私もその場にいる三十人ほどの社員のみんなも、慌てふためきます。
本当に死んでしまうかも知れません。
四杯くらい水を飲んでも飴は下りていかない様子。
もりこさんは、どんどん青くなっていきます。
私は言いました。
「もりこさん、飛び跳ねて」
もりこさんは助かりたい一心で、飛び跳ね始め、その振動で飴を胃に下ろそうとし始めました。
誰ひとりふざけている人はおらず、みんな真剣な目でもりこさんを見守ります。
そのうち下のフロアの人が上がって来て
「何だよ、ドッスンドッスン、うるせえな。誰だよ、あ、もりこさん、何で飛び跳ねてんの?」
と言います。
そうしている間も、もりこさんは真剣に飛び跳ね続けます。
数え切れないほど飛び跳ねたもりこさんが
「あ、やっと降りた」
と、言います。
「ああ良かったああ」
と、みんなで喜びあい拍手喝采が起こりました。
もりこさんが
「でも、漏らした」
と言います。
もりこさんは、コンビニに下着を買いに走りました。
まったくもう、二十歳過ぎてオモラシなんて、しちゃ嫌よ〜。
命が助かって良かったけれど。