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待ち望むのは興奮

さまざまな映画の影響を受けた作品であるうえ、似たような話があるかもしれませんが、楽しんで頂けると思います。

主人公は悪の女王。戦争が多くシリアスな場面も繰り広げられます。

 ラリアは虚無感を覚えていた。


 

  長い金色の髪をいじりながら、眼を閉じる。

 座っている椅子は先日ヴィシェが作ってくれたもので、長い背もたれが程良い。


  ヴィシェの魔法技術は大陸で上位に入ると、ラリアはゆっくり考えた。

 肌触りのいい真っ白なドレスが揺れる。これもヴィシェが作ったのだ。

 

  この世界を支配してからどれほどの時が立っただろうか。

 その間に興奮したことと言えば、全滅に追い込んだドラゴンたちの逆襲くらいだ。

 ベルクの王女はまだ若い。イークエラはさびれてしまった。

 アッカムに住むインデッド達もまだ弱い。

 ラスディアに勝る軍隊もいまだ登場していない。

 

  誰か早く私を追いつめてくれないだろうか。

 胸で揺れるこの『紅玉』を使わせるような者はいないだろうか。

 いるとしたらあいつだけだ。大陸から出て行ったあの女。

 だけどあいつはしばらく来ないだろう。子どもも産んだらしいしな。


  あいつの子が来ればいいのだ。

 ラリアは口の端だけを持ち上げ、考えに浸った。

 隣にヴィシェが来たことすら気が付かなかったほどだ。

 ヴィシェは顔まで覆ったマントの隙間から、女王の顔を垣間見た。

 笑みに満ちた表情は、何故か寒気へつながった。


  あいつの子ならどこに現れるだろうか。

 たとえば雪が消えぬ、ヘンテリシアの森の中。

 帰れなくなり、私のもとへ頼みに来るだろう。

 その道のりは険しく、危険に満ち溢れている。

 

  だが、そいつはやってくるだろう。

 そして私をこの暗い宮殿から新たな興奮へ引きずり出してくれるはずだ。

 

  海に囲まれた岩の島。

 そこに唯一存在する城の中でラリアは待ち望んだ。

 そのときを…


  閉ざされた城の扉が開く。

 「ラリア、貴方に挑みに来た」

 「丁度いいときに来たじゃないか」




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