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死にたくないので自分達だけの第三勢力作りました。  作者: 鬼獣八紅
第九章 姉妹の絆は神をも穿つ
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多くの世界をつなぐ姉妹

三人称視点です。


「兄さん、ブラッドたちに戻ってくるように連絡しといたよ」

「ありがとなオウル」


 異界から最後に帰還したレイヴンにオウルが状況説明を行う。

 そしてすぐにブラッドたち鳥居組が帰還した。


「皆様お疲れ様です」

「そちらもな。セレネ、そっちはどうだった?」

「結果ですが、総合的に見れば敗北でした」

 

 セレネ曰く、智加古との戦闘が激化したことによって周辺にいた魔法少女が集まってきてしまったらしい。

 これだけならまだ何とかなったが、なんと智加子が集まった魔法少女に自身の武器をばら撒いたそうだ。

 もちろんばら撒かれた武器は全て神話や伝説で登場するような武器だ、素人が使ってもけっこう戦える性能が揃っていた。

 これにより能力が底上げされた智加子たち魔法少女に押され、撤退命令が出たころにはキャットガールがほぼ全滅していた。

 負傷こそ少なかったが敗北である。


「すまねぇレイヴン、もう少しうまく立ち回れた」

「すいませんレイヴンさん、復帰始めての戦闘だったのに結果が出せませんでした」

「いや、指示である鳥居の守護は達成したんだ。それも他の箇所も守護してたんだろ。よくやってくれたよ」

「そうだよ、むしろそれだけの魔法少女相手に欠損しなかっただけラッキーだって」


 事実、鳥居組の三人は八世通波救出までの間誰一人として鳥居をくぐらせなかった。そのため目的事体はしっかりと達成しているのだ。

 その上、他の神社から侵入される可能性も考慮してキャットガールは京都中に散らばり、他の鳥居も監視していた。その結果、実際に他の箇所から侵入しようとした魔法少女の侵入の阻止に成功していた。

 それにオウルの言う通り、魔法少女相手に五体満足なだけ御の字である。


「レイヴン、召はどうなった?」

「そのことについてだが…その前にこれ何とかしなくちゃな」


 ライズの問に対し、レイヴンは誤魔化すように通波を指さす。

 正確には通波を閉じ込めている結界だ。

 この結界は月へ転送しても解除されることなく今も通波を閉じ込めている。


「この結界は…触れれるな。時空切削(ディメンジョンバイト)


 レイヴンの手が結界に触れ、触れた箇所が削られる。

 そして一部が破壊されたことで結界全体が崩壊し通波が開放された。


回復(ヒール)!」


 そして即座にオウルが通波の怪我を再生させる。


「通波さん危なかったね。あと数分遅かったら出血死してたと思うよ」

「とりあえず通波は客間で休ませ─」

「おいレイヴン!お姉ちゃんはどうした!?」

「!、今すぐレイヴン様から離れなさい!」


 回復した通波がレイヴンの胸ぐらを掴む。

 そのため周りにいたメンバーが己の得物を一斉に通波へ向けた。


「みんな武器を降ろせ、問題ない」

「しかし…」

「さっきの怪我の影響か全く力が入ってない。それに召の最後を見たのは俺だ、どうなったか伝えないとこいつも納得しないだろ」


 レイヴンが通波の手首を掴んで引き離す。


「で、何を聞きたい?やっぱ召の状況か?」

「…うん」

「恐らく肉体が消滅した、高温に肉体が焼かれてな。お前も直前まで見てただろ」

「…ライズさん、お姉ちゃんを復活させられる?たしかお姉ちゃんの肉体を治してたよね」

「無理だな。いわゆるゾンビと呼ばれるタイプのアンデッドは頭部か肉体の約半分が無事でないと修復できん。ゾンビ以外のアンデッドも死体か魂が無いと無理だ」

「アンデッドクリエイトは?たしか無からゾンビ生成してなかったっけ?」

「あれは複数の死体をかき集めたものだ。仮に今できてもそれは召のまがい物にしかならん」


 アンデッドクリエイトで生成されたゾンビはかき集められた死体の生前の姿がベースとなって作成され、この時点で八世召とは似ても似つかなくなる。

 さらにこの方法で生成されたゾンビは知性や人格が無く、ただ術者の命令通りに動く肉人形だ。

 八世召のようなアンデッドが生成された要因は、死亡後すぐにアンデッドクリエイトを使用したためだ。このためゾンビとなった肉体に八世召の魂が留まり、世にも珍しい知性を持つアンデッドが誕生したのだ。

 しかし、八世召の魂はもうこの世にいない。そのためもう八世召は復活しない。


「…お姉ちゃん、最後に何か言ってた?」

「あぁ、通波宛に伝言を預かってる。包み隠さず言うと遺言だな」

「…なんて言ってた?」

「え、言わないぞ」


 瞬間、レイヴンの頬の脇に熱い何かが掠める。

 掠めたのは通波の放ったマイクロレンジだ。


「何で、言わない」

「言わない理由は召への嫌がらせ、ただそれだけだ」

「兄さん流石にどうかとおもうよ」

「まあ待て、俺にも考えがあんだよ。時にオウル、俺の魔法は何だ?」

「いきなりどうして?まあいいけど、確か口寄せ魔法って…あ」


 レイヴンの魔法は口寄せ魔法。死んだ人間の肉体の一部を取り込むか触れている間、その肉体の持ち主の魂を己に憑依させることで、憑依させた魂に刻まれた魔法を行使する魔法だ。


「俺の魔法で八世召の魂を無理やり連れてくる」

「しかし肉体が無いぞ。レイヴンの魔法には必要ではなかったか?」

「おいおいライズ忘れたのか、これの存在を?」


 レイヴンは異空間倉庫からあるものを取り出す。

 取り出したのは鮮紅色の液体の入った蓋のされた試験管だ。


「何だその液体は…!、こ、これは!」

「思い出したか。これは灰崎さんとライズが俺に無許可で召の身体検査をしたときに採血した血液だ」


 なぜこの血液をレイヴンが持っているかと言うと、身体検査をしていた事実が発覚した時に押収したためだ。

 身体検査をしていたことは問題ない。問題なのは灰崎が一応捕虜扱いの八世召を牢から勝手に出したことだ。

 この身体検査で様々なことが発覚したため結果として有用ではあったが、それはそれとして罰として押収していた。


「俺が召の魂を憑依した後はオウルとライズで俺から八世召の魂を引き離せ」

「そういうことね、了解!」

「本当いきなりだな。だが召には恩がある、最善を尽くそう」

「じゃ、じゃあ、もう一度お姉ちゃんに…」

「遺言は召から直接聞くんだな。今生の別れみたいな感じだったが勝手にあの世へは行かせねぇ、かっこ付けた遺言残したこと、妹の前で大恥かきやがれ!」


 レイヴンは勢いよく試験管に入った血液を飲み干し魔法を発動させる。


「口寄せ魔法発動!八世召!」


 直後、レイヴンの体が八世召の物へと変化していく。

 しかしアンデッドのときとは異なりツギハギが無く、肌には生気が感じられる。

 変化した姿は生前の八世召そのものであった。


「…あれ、私は確かにあのとき─」

魂粘土(ソウルクレイ)!」

「え?うわぁ!?」


 召が突然のことで戸惑っている間にオウルが魂で形作った腕で八世召の魂を掴む。


「おりゃぁぁ!!」


 そして無理やりレイヴンの肉体から魂を引き離した。

 

「アンデッドクリエイト、ファントム!」

《ああぁぁ!》


 すかさずライズが召の魂に魔法をかける。

 すると、もともと人魂のような形をしていた魂が人形へと変化していく。


「い、いきなりなにが─」

「お姉ちゃん!」

「え、通波?!」


 召が混乱していると通波が勢いよく抱き着こうと向かっていく。


「ぶへっ!」

「通波?!」


 しかし、通波は召に触れることができず顔面から地面に勢いよく衝突してしまった。


「い、痛い…」

「当たり前だ。今の召は霊体、魂に触れられなかったら触れる訳ないだろ」

「レイヴンさん、これはどういうことですか?」

「俺とオウル、ライズでお前を復活させた」


 姿の戻ったレイヴンが召に事のあらましを説明する。


「な、なるほど。そういうことでしたか」

「そういうことだ。とりあえず今は再開を嚙み締めとけ」


 レイヴンに言われ召は通波へ向き直る。


「ゆ、通波~、お姉ちゃんだよ~」

「お姉ちゃん…」

「おっと」


 通波が召に抱き着く。今回はすり抜けることはなく触れることができていた。


「ぐす…うぅ…」

「ほ、本当にどうしたの?!」

「だって…ずっと…会いたかったから…」 


 通波が異界へ連れてこられたのは今から約4年前、当時11歳であった。

 通波はいわゆるギフテッドであり、連れてこられた当時には今と遜色ないほどに魔法が扱えた。

 しかし、ギフテッドであることと電波魔法が原因で魔法少女連盟に目を付けられ、召がバイトへ出ている間に攫われてしまった。

 いくらギフテッドであっても感情は未熟であり、通波は今日この時まで寂しさを押し殺してきた。

 そして今日、姉である召と再会したことで感情のダムが決壊した。

 

「私こそ、ずっと会いたかった。今までごめんね、寂しい思いをさせて」

「ううん、大丈夫だったよ。ずっと、ずっっと、寂しくなったらお姉ちゃんのことを思い出してたから」

「そう、強くなったね」

「うん!あ、それと一つ私に謝ることあるでしょ」

「謝ること?」

「神子都相手に単身残って死のうとしたことだよ!もう私の前からいなくならないで!」

「本当にごめんなさい。もうそういうことはしないわ」

「なら約束して!もういなくならないって!」

「ふふ、そうね、通波が死ぬまで、私は通波の側にいるわ」

「なら指切りげんまんしよ!」

「わかったわ。これをするのも久々ね」


 召と通波が互いの小指を引っかける。


「「指切りげんまん、嘘ついたら針千本の~ます、指切った!」」

 


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