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死にたくないので自分達だけの第三勢力作りました。  作者: 鬼獣八紅
第九章 姉妹の絆は神をも穿つ
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お姉ちゃん

通波視点です。


「なっ、いきなり何なのよ!」


 神子都が何者かの振るった薙刀を間一髪で回避する。

 そして聞こえた声は何年も聞いていなかった、ずっと聞きたかった…。


「おねえ…ちゃん?」


 私の姉の声だった。


「あんた、通波の姉ってことは八世召なの?確かトップが探してたわね。どこに潜伏してたの?」

「魔法少女連盟の地下施設よ。しかし、久々に地上へ出たら私の記録が何一つ残ってないとはね。そこまで私が知った情報が不都合だったの?」

「あぁ、そういえばあんた三年前のハッキング事件の犯人だったわね。けど地下施設って何?」

「とぼけないでくれるかしら」


 何かさっきからお姉ちゃんと神子都の会話が微妙に嚙み合っていない。地下施設があるなんてことは私も知らなかった。

 お姉ちゃんの反応がレーダー範囲内で突然消失して三年、電磁波が届かないほどの地下にいたのなら色々ハッキングしても見つけられなかったのも納得がいく。

 そして、お姉ちゃんの記録を消したのは私。犯人がわかった瞬間にお姉ちゃんに繋がる可能性のある情報は逃走に必要な物以外はスマホにバックアップを取って削除した。意味はあまりなかったけれど。


(…あれ、そういえば)


 何でお姉ちゃんのことを空間に入ったタイミングで()()()()()()()()んだろう?


「召さん、単独行動しないでください。私たちがいる意味ないじゃないですか」

「キャットガールさん、通波を発見しました。早急にレイヴンさんたちに伝達をお願いします」

「わかりました。しかし、レイヴンさんの空間認識(スぺイスレーダー)はこの空間だとまともに機能ないらしく到着まで時間がかかる可能性があります」

「それまでは私とライズさんが時間を稼ぐので問題ありません」

「戦っちゃ…ダメ…」


 元花ちゃんの分裂があるとはいえ、数の暴力じゃ神子都には勝てない。

 レイヴンくんの話でお姉ちゃんが戦えるのは知ってるけど無謀すぎる。


「そういうわけにはいきません。既に他の私たちに通達したので私たちも加勢します」

 

 しかし、私の言葉を無視して元花ちゃんは分裂していく。実際に目の前で分裂するところを見ると圧がすごい。


「キャットガールさん、行きますよ!」

「了解しました」

「…面倒ね。神懸り、ゼウス。落ちろ、雷帝!」

「!、避け─」


 神子都の攻撃を知らせようと声を出すが、それより早くお姉ちゃんたちに雷が直撃する。


「あ…ぁ…」


 元花ちゃんたちは雷によって一人残らず黒焦げになって絶命、お姉ちゃんも皮膚が焼け爛れてしまった。


「安心しなさい、あんたの姉は殺してないわ。大多数は忘れてるけどまだ八世召の捜索命令は続いて─」

「こんなので止まるものですか!」

「!?、がっ」


 油断していたところに振るわれた薙刀が神子都の肩から腰に掛けて切り裂き、私を掴んでいた腕が離れる。


「あんた何で動けてるの?!」


 今のお姉ちゃんの状態は全身大火傷で通常の皮膚は全く見当たらず、眼球の片方が焼け落ちている。

 未だに動けてるのははっきり言って異常だ。


「通波こっち!」

「え?うわぁ!」


 そして離れた私をお姉ちゃんが掴んで神子都から距離を取った。


「懸り神変更、アクスレーピオス、神の手術(ゴッドサージェリー)!」


 その隙に神子都は懸り神を変更して切り傷を治療する。


「よくもやってくれたわね、早く通波をこちらに返し…え?」

 

 どうしたんだろ神子都、急に黙って?


「見間違い…ってわけじゃなさそうね。あんた、生きてないでしょ」

「え、それってどういう…」


 生きてないとしたら今ここにいるお姉ちゃんはいったい何?


「アクスレーピオスは医神、その影響で相手の肉体状況がわかるの。あんたの肉体、私の目には遺体って映ってんのよ。ゾンビ型の怪人でも遺体が動いてるわけではなかったから一瞬目を疑ったわ」

「お姉ちゃん、本当なの…?」

 

 たしかに遺体ならレーダーに反応しないから探知できなかったのも納得いくけど、もしそうならお姉ちゃんは一度死んだことになる。


「…通波、あいつの言っていることは本当よ。地下施設で確かに私は一度死んだ、けど死ぬ寸前に魔法が発現してね。呼び出したライズさんにアンデッドとして復活させてもらったのよ」

「ライズね、覚えとくわ。ちなみに、何でアンデッドになってまで復活したの?」

「通波にお別れ言わないで、あの世に行けるわけないでしょ!」

 

 そうしてお姉ちゃんは神子都へと向かっていく。

 というかさっきお別れとか言ってたけど…。


(お姉ちゃん、ここで死ぬ気じゃないよね?)


 そんなことを考えてもお姉ちゃんは止まらずに突っ込んでいく。


「向かってくるのね、逃げればいいものを。懸り神変更、閻魔。燃え尽きろ、焦熱地獄!」

召喚(サモン)!」


 神子都が地獄の炎を放つ。

 それに対抗するようにお姉ちゃんが呪文を唱えると背後に魔法陣が出現した。


「ライズさんお願い!」


 そうして魔法陣から出てきたのは、高級感あるローブを纏った骸骨だった。


「承知した、クリエイトホーリーウォーター!」


 そして呼び出された骸骨が大量の水を作り出し炎を消化していく。

 お姉ちゃんの呼び方的にあの骸骨がライズさんかな。


「食らいなさい!」

「当たるわけないでしょ!」


 そのままお姉ちゃんは神子都へ切りかかるがバックステップで回避される。


「召、大丈夫…じゃなさそうだな。アンデッドリペア」

「ありがとうございますライズさん」


 ライズさんが能力を発動させるとお姉ちゃんの焼け爛れた皮膚と眼球が元に戻った。


「ライズさん、あいつの魔法分かる?」

「どれどれ…、なるほどな。名前は神田神子都、魔法は神懸り魔法。神をその身に宿し権能を行使する魔法、ただし出力は人間が耐えられるまでであり実際の神と同じことが出来るわけではないと。神の力を行使する魔法というより複数の魔法を使用する魔法だな」

「なるほど、それならまだ何とかなりそうですね」

「お姉ちゃん、ライズさん、神子都の魔法はそれだけじゃない」


 むしろ、お姉ちゃんとライズさんが本当にアンデッドならもう一つの魔法の方がヤバい。


「もう一つの魔法は巫女魔法、効果はお祓いなんかの巫女の仕事を実際に行えるというもの。お祓いがどこまで効くかはわからないけどアンデッドは確実に効くと思う」


 神子都は魔法発現前から巫女の才能があり魔法無しでも神懸りのようなことができてたらしい、俗に言う霊能者ガチというやつだ。そして神懸り魔法が発現したことによりお祓いや封印なんかも本当に効果を持つようになったと記録があった。

 だから巫女魔法が本当に魔法なのかはわからない、それでもお姉ちゃんたちに対して特攻になる可能性は十分にある。


「なるほど。通波、情報ありがとう。私が前衛を行います、ライズさんはアシストを!」

「了解した、脱出できるようになるまで時間を稼ぐぞ!」

「話し合いはおわったかしら?」


 見ると神子都の後ろに大量の人形が浮遊していた。恐らくこちらが情報共有している間に準備したのだろう。


「えぇ、それじゃあ第二ラウンドと行きましょう」

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