魔法少女との接触
優真視点です。
学校が終わり放課後、俺はとある人物を待ち伏せしていた。
「そろそろかな…お、来た来た」
俺が待ち伏せていたのは委員長の青柳美空だ。
俺が通ってる高校にいる魔法少女で、桃山桜は悪い人と判断すれば問答無用で攻撃してきそうだし、環のクラスにいるらしい魔法少女の藤花奈々は顔を知らない。
よって消去法ではあるが、話しが通じそうな青柳美空と交渉することにしたのだ。
今の格好はペストマスクにパーカーなので青柳が俺の私服姿を知らなければ黒榊優真とは分からないはずだ。
「それじゃあさっそく…」
俺は青柳背後にテレポートして肩に触れふる。
テレポートは自分以外にも触れている対象に対しても発動できる。
そして青柳と一緒に近くの路地裏にテレポートした。
「な!」
「少しお話いいかな、魔法少女さん?」
「!」
青柳は驚いて瞬時に距離を取る。
青柳にしてみればいきなり知らない場所に連れてこられた上、自分が魔法少女だとバレているのだ。
「あなたは誰ですか?」
「いきなり連れてこられたのに冷静だね。俺は…そうだな、"レイヴン"、レイヴンと呼んでくれ」
とっさに考えたが割りといい敵名だ。
俺たちがやろうとしていることはこの社会において不幸以外の何者でもないからな。
不幸の意味を持つ烏はちょうどいい名前だ。
「ちょっと交渉をしたいんだがいいか?」
「交渉なんてするわけ…」
「おっと、変身はするなよ。俺の仲間のスナイパーにお前の仲間が殺されたくなければな」
青柳が変身しようとしたので脅して止める。
実際は仲間のスナイパーなんていないが、ワープゲートで弾丸を飛ばせば似たようなことは出切るので、殺しはしないが脅しとしては十分に使える。
というか、こちらはただ強い能力を得ただけの一般人なので変身されたら間違いなく負ける。
「…要求はなに?」
「おいおい交渉だって言ってるだろ。まあ話しが早くてたすかる。取り敢えずこの資料を見てくれ」
俺は昨日黒曜団から奪った資料を渡す。
青柳は不思議そうに受け取るが、すぐにこの資料が何の資料なのかを理解したようだ。
「密輸に薬物売買の取り引き資料…あんたこれをどこで…」
「そこは企業秘密ということで。それでこの要求は取り引き元の黒曜団を潰してもらいたい。天下の魔法少女様なら、悪事は見逃せないよな?」
あくまでも持論だが、魔法少女は正義感がバカ高く、それでいて悪事が絡むと周りの事は考えない連中だ。
それにわざと精神を逆撫でするような言い回しをしたから、こちらの要求を呑むはずだ。
「…わかったわ。要求を呑みましょう」
「そうか、それはよかった。ではまた」
「あ、ちょっと!」
青柳が何か言っているが、俺は異空間倉庫に逃げ込む。
「ふ~なんとか交渉成立だな」
変身されたらマジでヤバかったな。
「さて、精々利用させてもらうぞ魔法少女」