助ける方法
レイヴン視点です。
『兄さん、元花の分裂は本体自由選択型っぽい、だから誰か一人連れ帰って引き上げる?』
「ち、面倒だな」
組織内部に侵入してから暫くしてオウルから元花についての連絡がきた。
この辺りまでは元花の分身がいないからサクサク進めている。
連絡の通りなら元花は本体を自由に変えられる。けど本当に無条件か?
「オウル、暫く観察しててくれ。どっちにしろ資料が見つかって無いからもう暫く引き上げるには時間がかかりそうだ。それに本当に条件が無いのかもできたら調べてくれ、条件次第じゃ更に面倒なことになる」
『わかった?』
ぶっちゃけた話、そんなに都合よく本体を選択出来るとは全く思えない。だからもう少し調べ《b》《vib:1》『ドガーン!』《/vib》《/b》…今の音何だ、後ろから聞こえたが…。
「何だよこの遺体、魔法少女のか?というかもう少し後ろにいたら衝突してたぞ」
少し後ろの壁に人一人分位の穴が空いているから恐らくそこから飛んできたのだろう。
穴の向こうは…、研究室か。ちょうどいい、資料を全部持って帰るぞ。
「異空間倉庫展開、これでよし。向かいの壁にも穴が空いてるな。どこから飛んできたんだほんと」
その前に一応魔法少女の遺体を回収。
さて、この先何があるのかね。
「って、また遺体かよ」
さっきとは違い男性の遺体だけどな。大方、ここから逃げ出そうとしたのだろう。見た感じ心臓が破裂して死亡してるな、何でだ?
「う…誰か、いるのか?」
「!、お前まだ生きてたのか、急いで治療を…」
「俺の事はいい、それより、元花を…止め…」
「おい、おいしっかりしろ!」
くそ、とにかく一旦オウルに見せよう。まだ間に合うかも知れない。
「ワープゲート。オウル、急いでそのワープゲートくぐってこっちにこい!」
「?、わかった、それと切り替えの条件わか…え、赤川くん!?」
「知り合いか?」
「知り合いも何も元花の友人だよ!回復!」
こいつが話に聞いてた赤川か、赤川も捕まってたのか。
「兄さん!私の魔法じゃ赤川くんを直せない!」
「何でだ!」
「脳出血が起きてる!出血した穴は治せたけど私の魔法じゃたまった血液までは取り除けない!恐らくセイでも無理、セイが対応できるのは怪我やウイルスの類いだもん!」
…ヤバいな。治せない原因が怪我の類いだったらオウルより高度な回復能力を持つセイに頼めばよかったが、確かにセイの専門外だ。
それに状況的に病院に連れてくことも出来そうにない。
申し訳ないが見捨てるしか…。
「赤川くんから離れろ!」
「あっぶね!って、元花か驚かすな…どうしたオウル」
「兄さん、元花の様子がおかしい。正気を失ってる、どのみち目の前の元花は分身だよ」
そうか、こいつは分身か。本物と見分けがつかないな。
「猫爪!」
「っ、植物盾。元花、私が誰かわからないの?!分身でもわかるでしょ!」
「うるさいうるさい!赤川くんに触れるな!」
どうしたものか。けど、これで暴走の原因は赤川で確定したな。
後はどうやって止め…ヤッバ!
「テレポート!」
「え、うわぁ!」
赤川の遺体?とオウルをテレポートで異空間倉庫に押し込んで逃走する。
「ちょっと兄さん、いきなりどうしたの?」
「オウルは盾で見えなかっただろうが、奥から元花が大人数押し押せて来てた。それも先頭の分身を押し潰しながらな。因みに一番前ではボスっぽい人が必死に耐えてたぜ」
ザマァ見ろ、元花を拐った罰だ。
「それと、赤川は一応生きてんのか?」
「…一応生きてるね、けど後余命十五分も無いと思う」
「…どうするよほんと」
元花の暴走の原因は赤川だ。その赤川が死亡したらどうなるか予想が付かない。暴走する理由が無くなって落ち着いてくれればいいが、そんなのこちらの希望でしかない。
暴走が止まらなければ切り替え条件を封じた上で最悪殺害、良くて本体を監禁するしかないぞ。
「ねえ、その赤川って人が死ななければいいの?」
「…あぁアルか、まあ死なないに越したことはない。赤川が生きて元花が止まれば御の字、止まらないくても当時の状況を聞き出せるからな」
「怪人生成機は?使えないの?」
「…それだ!」
怪人生成機、それを使えば赤川は生き返る。白夜の話的に人格や記憶も大丈夫そうだから使わない手はない。
「オウル、今からお前を本部へ送る。灰崎と一緒に怪人生成機を使って赤川を生き返へらせろ。赤川が何か文句言ってきたら俺が責任持って何とかする。生き返へらせたら転送装置でこちらに送れ」
「いいけど兄さんは?」
「俺は白夜と菫の加勢に行く。いつまでも任せっぱなしじゃ悪いしな。幸い元花は拐った組織のボスが止めてる。良いように利用しようじゃないか」
それにオウルは世間じゃ魔法少女側だ。こんなところで戦って聖魔連合No.2と知られる訳にはいかない。
「…わかった、死なないでね」
「わかってるよ、こんなところで死んでたまるか」
それじゃ、頼んだぞ。




