一人軍隊
元花視点です。
『緊急事態、緊急事態、実験体971番、1222番が逃走、職員は至急確保へ向かってください』
「ち、やっぱりバレた」
そりゃさっき敵を倒したからバレるか。
「赤川くんプラン無いのは分かったけど道は流石に把握してるよね?」
「あ?してないぞ」
「…流石にバカ過ぎない!」
「仕方ないだろ!とにかく突き当たりまで行って壁を破壊すれば外に出れるだろ!」
確かにそうだけどさ、せめて道は把握しといてよ。
「仕方ない、ビーストモード!赤川くん乗って!」
「おぉ!凄いな、このまま行くぞ!」
ビーストモードでパワーを上げて一気に突き進む。多少の怪我なら直ぐ再生できるから問題ない。
「居たぞ、捕まえろ!」
ち、やっぱ敵来るよね。
相手は見た感じ能力は使ってない、武器は銃火器。私は大丈夫だけど赤川くんは食らったら無事じゃ済まない。
「苗又突っ込め!俺が何とかする、ブラッドシールド!」
赤川くんが操作する血液が目の前に盾を生成していく。これなら銃弾は問題なくなった。
「うりゃあ!」
そのまま突っ込んで敵を弾き飛ばす。銃弾はしっかり防げたから怪我も無い。
「さっきの盾は?」
「血液で作った盾だ。前に水の魔法少女がやってたのを真似した。ただ体から血液出す時めっちゃ痛いがな」
そりゃ痛いでしょ。盾に出来るだけの血液を一気に出したんだ、傷口も大きくなるに決まってる。
「それより貧血大丈夫?」
「何とかな、出した血液を体内に戻すことで何とかなしてる」
「それならまあ…」
とにかくこのまま一直線に外へ…。
「あ、あれ?」
「苗又どうした?」
「か、体が動かない」
誰かの能力?だとしたらどこから。
「苗又後ろだ、ブラッドシールド!」
「え、きゃ!」
なに今の、誰が攻撃し…。
「魔法少女?」
しかも何かVRゴーグルみたいなの着けてる。
もしかして改造された魔法少女の遺体か?
「どうだ、我が魔法人形は?」
「!、お前がボスか」
あいつか、捕まった初日に視察に来てた社長と呼ばれた人物だ。
「そうだよ、それにしても駄目じゃないか勝手に出てきちゃ。君たちは大事な実験台なんだからね」
「実験台…何の実験をしていた?」
少しでも会話で時間を稼いで作成立てないと。
「おお、興味があるのか。それじゃあせっかくだし教えよう。君たちにしていた実験は薬の臨床実験だ。二人に投与したのは人工的に魔法又は能力を付与する薬だ。君は失敗してしまったらしいが、971番の方は血液操作の能力を得たらしいね」
「じゃあその能力で今から脱走してやるよ!」
「けどね、その薬には副作用があるんだ」
「副作用?それは『バタン』ちょ、赤川くん!?」
何でいきなり倒れた、これが副作用?
「赤川くん大丈夫?!」
「何とか…体の自由は聞かないがな」
それは大丈夫と言わないよ!
「それで、副作用はこれ?」
「そうだよ、この薬が成功した場合、人工的に付与された魔法又は能力に体の変化が追い付かずに最終的に体が体内から破裂する」
「破裂って、赤川『パァン』…え」
さっきの破裂音、そして目の前に広がる血溜りとその中心に倒れてる赤川くん、まさか、もう…。
「う~ん、今までより副作用が出るのが早いね。971番の能力は血液操作だったし薬が全身に回るのが早かった…おっと、話している途中で攻撃してこないでくれるか?」
「黙れ」
こいつは絶対に殺す、例え環さんと優真さんの約束を破ることになったとしても。
「仕方ない、魔法人形!1222番を確保せよ」
そうして魔法人形二体が動き出す。
恐らく片方が拘束系統の魔法で、もう一人は拳で殴られたから打撃系の攻撃魔法だと思う。
まずは拘束魔法持ちから攻略を…。
「う…うぐ…!」
何だいきなり、液体で口を塞がれた?
「まさか魔法人形が二体だけだと思ったか」
嘘、二…五…八…まだまだ増えてる。こいつ、何台魔法人形作ったんだ、20体以上はいる。
「ぐはっ」
ヤバい、心臓をやられた。急いで再生を…あれ、上手く再生が出来ない。
「貴様の再生、異物が体内に有ると上手く再生出来ないのは分かっている。安心しろ、死んだら俺が人形操作で上手く使ってやるよ」
それが…相手の能力か。ヤバい…意識が…。
ごめん…なさい…環さん。
◇◇◇
「さて、死んだかな。再生持ちだったから生かしておきたかったんだが仕方がない」
男の能力は人形操作、人形、又は人形の物を操ることができる。無論、人間も例外ではない。
「俺の能力は反抗的な物には効き辛いからな、仕方な『パァン』…は?なぜ破裂した」
男が説明した通り、この薬は魔法又は能力が付与されない限り破裂することはない。
「いたた…あれ?何で私生きて…、そして何か背が低いし…」
「おい、お前何をした」
そして散らばった肉片の一つから小さな元花が再生された。
「今までのお前は本体から再生していたはずだ。それなのに何だその体は。まあいい、『ブチッ』これぐらいなら直接潰した方が早い」
男は足で元花を踏み潰した。
(痛い…けど再生した)
しかし、元花は一番始めの体の近くの肉片で再生していた。
(このまま前に出てもまた殺されるだけだ。けど…さっき確かに潰された感覚はある。そして恐らく今まで出来なかったプラナリアのアレが能力で出来るようになったのかも)
元花は自分の元の体に意識を向ける。
(お願いできて…)
すると元花から落ちた血液から新たな元花の小さな体が作られる。
(よし、上手く行った)
「どうする私、あいつを倒すか?」
「…そうしよう、あいつは赤川くんを殺した。やるよ、私」
「分かった、私」
そうして二人は自分の死体に力を込める。
「一人軍隊、百猫夜行」」」
そうして、これから元花たちによる反撃が開始する。
(待ってて赤川くん…必ず、仇八トルカラ)




