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閑話 各地の戦場

三人称視点です。


 環side


「ちょ、どうしたの」 

「大隊長が撃たれたらしいよ」

「どうせ嘘でしょ、だってあの人だよ」 

(よし、兄さんが上手く殺ってくれたみたいだね)


 環がいる地点は軍隊の後方、まだ魔法少女になって日が浅いのでこの位置に配置された。

 けど、環としてはこの配置はちょうどよかった。


(合図は地面を三回叩く)


 環が決めていた合図をすると、地面から環の顔めがけてアルが飛び出してくる。あらかじめ地面に根を張り巡らせておくことで、直ぐに環と合流出来るようにしていたのだ。


「ぐっ…がっ!」 

「!、オウルさん大丈夫?!」 


 環はもがき苦しむ《《演技》》をする。何もせずいきなり暴れだすと裏切り者だとバレる可能性があるため、アルに乗っ取られた様な演技をする事で環を怪人に乗っ取られた被害者だと周りに認識させるためだ。

 アルを途中で合流するようにしたのもこの為である。


「あ、あが、が、『うがぁぁぁ!』」 

「ほ、ホントに大丈…」 


 環を心配した魔法少女の言葉が続くことはなかった。環の腕から伸びた植物が魔法少女の上半身を消し飛ばしたからである。


『『ふふ、乗っ取り完了』』

「こいつ怪人か!」

「囲め!」


 環が乗っ取られたとわかった瞬間、魔法少女たちは一斉攻撃を開始した。


『『この程度か魔法少女!』』


 しかし、環の圧倒的回復能力とアルによる植物の鎧の前には、攻撃はほとんど意味をなさない。 


『『今度はこちらから行くぞ!』』


 環とアルの掛け声と共に環の堆積が増加し腕の型が変化する。

 環の魔法は生命魔法だ。普段は回復や植物操作、バフ付与などに使用しているが今回環が着目したのは植物操作だ。

 環が操作する植物は堆積、質量、形を自由自在に出来る。これは体が植物に近いアルにも適用される。

 そして今の環はアルと一体化している。これにより環の肉体は植物操作の対象となった。

 そして今日の為に魔法を鍛えた結果、環はこの形態に限り肉体の堆積、質量、形を自在に変形可能となった。


(今後の為にもなるべく多く寿命は確保しておきたいからね)


 そうして変形が終わり、環の両腕には口の付いた巨大な管が五本生成された。


『『寿命食い(ライフイーター)!』』


 計十個の口が魔法少女に食らいつき、食らいついた側から寿命を吸収していく。

 この技は寿命吸収(ライフドレイン)の弱らせなければいけないことと触れなければならないデメリットを、食らいつくことで触れそのダメージと同時に吸収することでデメリットを踏み倒す技だ。

 

『『全員皆殺しだ!!』』




   ◇◇◇




 セレネ&アギト&河原&スカイ&ロック&天魔side


「レイヴン様の攻撃が決まりました、これより作成を開始してください」


 セレネ達は上空から優真の攻撃が成功したのを確認した。ここにいるメンバーは空中を移動できる者、又は上空から攻撃した方が有効な者が揃っている。


「よしスカイ、作成通りに!」

「りょ~かい!」


 ロックの能力は岩石生成、自分の周りに岩石を生み出す能力だが普段は障害物の設置ぐらいにしか使ってない。

 しかし、スカイの能力である運搬と組み合わせることで攻撃力は格段に上昇する。

 その方法は、スカイがロックを運搬し空中で岩石を生成し続ける、ただそれだけだ。

 スカイの空中移動速度は約時速100km、ロックは墓石ほどの岩石なら生成に一秒もかからない。この速度で移動し攻撃してくる飛行物体を止めるのは至難の技だ。その様子は戦闘機と遜色ない。


「カタパルト装填良し、発射」


 セレネは肩に装備したカタパルトからミサイルを撃ち込んでいる。このカタパルトは灰崎がこの日のために作ったセレネの強化パッチだ。

 ちなみに、そこらの軍隊のカタパルトより頑丈かつ強力になっている。


「セレネやるな!俺もやるぞ!」


 アギトの能力はブレス、アギトの思い付く属性攻撃を口からブレスとして発動できる。

 アギトは口から炎のブレスを吐くことで地上を火の海に変えていく。


「お、来ましたな」

「そりゃ来るだろ」


 しかし、ただで殺られる魔法少女はいない。それぞれの魔法を使ってセレネ達を撃墜しに飛んでくる。


「俺が行く、天魔はアシスト頼む」

「了解しましたぞ河原」


 河原の能力は空中遊泳、その名の通り空中を泳ぐ能力だ。この能力事態は幹部の誰よりも攻撃力がない。

 しかし、河原の河童という怪人が持つことでこの能力は化けた。

 

空流(くうりゅう)!」


 創作物で登場する河童は水を操作する能力を持っており、能力は水中戦で披露される事が多い。

 しかし、河原は水中ではなく空中を泳ぐ事で水を操作するのではなく、空気をとらえて操作する技術を得た。


「儂もやりますぞ」


 天魔は神通力で地上からの攻撃を地上に叩き落としていく。

 この二人の役割は、他の空中から攻撃するメンバーに魔法少女を近づけさせない事だ。


「皆さんその調子です。このまま続けてください」




   ◇◇◇



 菫side


 魔法少女の軍隊の端、そこにはここが地獄かと思うような光景が広がっていた。


「あ…が…」

「なん…なの…よ…」

「…思ったより弱い?」


 菫は大隊長が攻撃された瞬間に、ベノム·オーシャンを周りに味方が居ないことを確認した上で今出来る最大出力で放出した。

 その結果、近くにいた魔法少女は菫の毒に直撃した。

 もともと環の毒耐性(ベノムカット)を貫通するくらいには強力だったので、直撃した魔法少女は即死、よくて瀕死になった。

 さらに急な襲撃だったこともあり、魔法少女に空中へ逃げるという選択肢も無く、周りの魔法少女を瞬殺してしまったのだ。

 そもそも菫が初めて戦った魔法少女が空中戦闘に特化していたのもあり相性最悪だったのだ。それに比べればここにいる魔法少女は地上にいる分、菫にとっては毒をブッパするだけで倒せるので弱く感じるのも無理はない。


「取り敢えず移動しよ」


 そうして菫は毒を撒き散らしならが移動していった。





   ◇◇◇




 九縄&葉月side


「お、九縄ちゃんレイヴンちゃんが攻撃したよ」

「もちろん見えてますよ、それじゃ、殺っちゃいましょう!」 

  

 今は葉月は巨大化し、二人とも九縄の能力の応用で透明化している。

 葉月の能力は巨大化、元の身長である八尺(2m40cm)から十倍である八十尺(24m)になる、シンプルかつ強力な能力だ。今は最大倍率である十倍の八十尺になっている。

 そして九縄の能力は幻影生成、幻を作り出す能力だ。九縄のこの能力で作り出された幻は本物と見分けがつかないレベルの完成度だ。

 そして九縄は景色も写せるため、巨大化した葉月の前に背景の景色に同化するように幻を生み出すことで、擬似的に透明化しているのだ。


「いっくよ~!」


 そうして葉月は手を振り上げ…。


「それ~!」


 地面に思いっきり叩きつけた。


「葉月良い調子、このまま行こ!」

「了解よ九縄ちゃん!」


 この攻撃は九縄を倒すまで止まらない、最悪別の場所に葉月の幻を作り出せば魔法少女を騙せるのだ。その隙に本物が理不尽な攻撃を仕掛けてくる。


「ふふ、せいぜい頑張ってくださいね魔法少女」




   ◇◇◇




 白夜&オロチside


「お頭、天魔達が攻撃を開始しました」

「どうやらレイヴンはちゃんと狙撃に成功したっぽいな、俺たちも行くぞ!」

「了解しやした!」


 森の中で様子を見ていた二人は、他メンバーが攻撃を開始したのを確認すると直ぐに戦場へ飛び出していった。


「オロチ、俺を飛ばせ!」

「承知!」


 白夜の呼び掛けに答えオロチの体が変化する。

 オロチの能力は大蛇化、葉月の巨大化と似ているが違う所はオロチは蛇に変化するとこ、そして最大サイズが100mということだ。


『お頭、尻尾に掴まってください!』

「おお!」


 そうして白夜がオロチの尻尾に掴まった瞬間…。


『ぶっ飛べ!』


 尻尾を思いっきり振ることで、白夜を上空へ飛ばした。


「よし、あそこが戦場の真ん中あたりか」


 飛ばされた白夜は空中で戦場を確認する。その中で魔法少女が多そうな所を探しだした。


「鬼脚!」


 そして直ぐに、白夜は空中を蹴り戦場へ突撃していった。


「おぅりゃ!」


 着地の瞬間に曇天を叩きつけて、魔法少女を弾き飛ばす。


「おい、その怪人どこから来た?!」

「囲め!」


 当然、魔法少女が白夜を倒そうと集まってくる。


「鬼の礫!」


 それを白夜は瓦礫を飛ばすことで撃退していく。


『お頭大丈夫でしたか?』

「ああ、何も問題ない」


 そこへ、魔法少女を引き殺しながらオロチも到着した。


「さあ、かかってこい魔法少女!俺を楽しませろ!」




   ◇◇◇




 裂&ウルフ&ミヤside


「…こんなもんですね」

「そうか?私はまだ暴れ足りないぞ」


 大隊長がいた隊列の先頭あたり、そこにいた魔法少女は開始早々に全滅していた。

 大隊長が撃たれて直ぐに、ウルフが能力である衝撃波で地面を揺らすことで魔法少女の足場を奪った。

 そしてウルフは魔法少女の首や心臓といった急所を的確につき、攻撃した魔法少女全てを一撃で死亡させることで、魔法少女約40名を瞬殺。

 裂は能力である刃物生成でハサミを生成し、ウルフの狩り残した魔法少女を斬殺した。


「私はこれで帰りますが…ミヤさん、レイヴンさんに会ったら伝えといてくださいね」

「ありゃ、バレてたか」


 実はさっきの戦闘の間、ミヤは物陰にずっと隠れていたのだ。


「ミヤもちゃんと殺んないとダメだよ」

「仕方無いしゃん、私の能力の関係上森の中入ってくれないと殺りづらいんだよ」


 ミヤの能力は影操作、影を操る能力であるため日が当たるところでは実力が発揮できないのだ。


「それでは私はこれで、残りは頑張ってください」


 そうしてウルフは仕込んでいたボタンを押し、本部へ帰還した。


「私は森へ入るけど、裂はどうする?」

「このまま魔法少女の部隊に突っ込む、その方が沢山斬れそうだし」

「OK」


 そうして二人は別行動を開始した。


「さて…魔法少女を斬りに行きますか」


 白夜がまとめていた怪人の多くは組織に捨てられた者が大多数だ。

 しかし、何事にも例外があるように裂もまた例外だった。

 裂は怪人として改造された直後に暴走、そのまま自身を産み出した組織を壊滅させてしまったのだ。

 そして騒ぎを聞き付けて来た魔法少女を斬殺した後逃走、各地を転々とした後白夜の元にたどり着いた。

 そして転々としていた間はひたすらに魔法少女と怪人が戦っている所に乱入し、その両方を殺してきた。

 白夜がなぜその様な事をするのかと聞いたところ…。


『肉を斬る触感が気持ちいいから』


 と返答したらしい。

 幸い刃物を持たなければこのような考えには成らないが、未だにこの衝動は残っている。


「あはは、もっと、もっと」


 そしてその狂気が、魔法少女へ襲いかかる。


「もっと斬らせて!」




   ◇◇◇





 ビルドside


「魔法少女は全員通ったな」


 レイヴンが狙撃する少し前、ビルドは魔法少女が通過した道へと来ていた。


「始めるか」


 そうしてビルドは木材を運んで道を閉鎖し、能力で固定する。

 ビルドの能力は結合、あらゆる物をくっつける事ができる。そしてこの能力を木材の表面に使用することで、木材の繊維どうしが結合しとても頑丈になる。その強度は鉄骨にも及ぶ。

 ビルドがこの作業をしている理由は、魔法少女の逃走を防ぐためだ。開始速攻で逃げられて援軍を送られるとじり貧になるため、このバリケードを作成している。

 さすがに広範囲にバリケードは作れないが、魔法少女の逃走を遅らせるくらいはできる。


「さて、さっさと終わらせて助太刀へ行くぞ」

 

 


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