悪食
三人称視点です。
「これでも食らえ!」
レイヴンがロボットに向かって弾丸を放つ。
しかし。
「聖なる盾」
ロボットの浮遊している掌が装備している盾に防がれる。
「ったく面倒くせぇ、第二形態はゲームだけで十分だっての」
ゲームだとやりごたえのある第二形態だが、現実だと厄介極まりない。いやゲームでも鬱陶しいと思う人もいるかもしれないが。
「これならどうだ!」
次にレイヴンは異空間倉庫に収納していた手榴弾をテレポートでロボットの足のキャノン砲の内部に転送する。
すると、転送された手榴弾はキャノン砲の熱気で加熱されたことで爆発し、ロボットの足を破壊する。
「ボディの破損を確認、修復を開始します」
爆発を食らったロボットは足のパーツを切り離し、新たな足を作り出す。
「修復持ちかよ!」
レイヴンはすぐさま次の手榴弾をロボットの手足に転送する。
手榴弾は手足を破壊するが、ロボットはまたしても修復してしまう。
「…このまま手榴弾攻撃続ければ時間稼ぎ出来そうだな」
ロボットが手足を修復している間はキャノン砲での攻撃が出来ない。それに修復中は周りの武器の動きも疎かになり避けやすくなる。
「聖なる槍」
「まあ、こんな時間稼ぎぐらい直ぐに対応してくるよな」
攻撃が疎かになるとはいえ、元の武器が大きいため当たり判定が大きい。その上相手はロボット、疎かになっていた攻撃も直ぐに修正してくる。
そのためレイヴンはテレポートで回避した。
しかし、もう一度言うが相手はロボット。
「聖なる剣」
「あっぶね!」
テレポートで攻撃を回避したレイヴンの出現地点に攻撃を仕掛ける。
間一髪でレイヴンは回避できたが、脇腹に攻撃がかすり血が流れる。
「あいつ、テレポート先を予測してる?」
レイヴンはもう一度テレポートをする。
そして今回も、出現地点に攻撃をしてきたので、レイヴンは連続でテレポートをして回避する。
「やっぱり予測してやがる。これならあまりテレポートを多用しない方が良さそうだな」
テレポートで回避しても、回避先で攻撃されるのなら回避する意味がない。
「それじゃあ…」
レイヴンは異空間倉庫の中から、崩壊した黒曜団本部の瓦礫で、ある程度大きく手すりが付いているものを、全体は出さずに一部を取り出す。
「よっと」
そして、その瓦礫の上に乗り、異空間倉庫の収納口を動かすことで空中を飛行する。
「これならテレポートせずに回避出来る」
レイヴンは次に異空間倉庫からミニガンを2つ、発射口だけを出す。
そしてミニガンによる弾幕をロボットに向けて発射する。
「ダメージが有るか知らんが、時間稼ぎにはなるだろう」
レイヴンの予想通り、ダメージ事態は無いがロボットが反撃してくる。
「よしよし、後はこれでひたすら時間を稼げば『ゴゴゴゴ!』…準備出来たみたいだな」
レイヴンの後ろから轟音が響き渡る。
その轟音は反撃の狼煙となる。
◇◇◇
轟音が響き渡る少し前。
「植物操作、植物操作、植物反発、それと果実工場」
オウルはロボットを攻撃するための準備をしていた。
目の前には植物操作で集められた植物が山積みになっている。
その全てが植物反発により弾性を強化したものだ。
「ねえまだ~?」
そして、山積みの植物の上でアルが果実工場で生み出された果実を食べながら待機している。
そして山積みの植物に根を張っている。
「もう少し待ってね…よし、準備完了!アルの方の準備は終わっているの?」
「いつでも行けるよ」
「OK、それじゃあ行くよ!」
オウルはそう言って自分の親指を少し噛み千切り血を流す。
そして山積みの植物に手を突っ込み、今出来る最高の呪文を唱える。
「二人の肉体を生け贄の捧げる。蹂躙せよ!|悪食の大森龍《グラトニー·フォレスト·バハムート》!」
オウルが呪文を唱えた瞬間、二人を包み込むように植物が音を立てて動きだし形を変えていく。
植物はとてもとても長く巨大に、そして先には禍々しい龍の顔が現れる。
『グオオオオォ』
そして龍の咆哮が月に響き渡った。
「おいおいオウル、何だその姿は?」
『あ、兄さん。これは新しい魔法だよ、アルの補助付きだけどね』
オウルの新しい魔法、|悪食の大森龍《グラトニー·フォレスト·バハムート》は、一度に大量の植物を操作する事が出来ないという弱点を克服した魔法だ。
そもそも、オウルが大量の植物を操作出来ない理由は、オウルの魔法があくまで生命魔法であり、植物を操る魔法では無いからだ。
そこで、オウルが考えたついた方法は、植物と自分を一体化して操ればいいというものだった。
血を流した親指から植物を体内に侵入させ、その状態で回復する事で一体化に成功した。
この時アルも一体化した理由は、さすがに一体化してもオウル一人では操作するのに限界があるため、アルも一体化する事で操作精度と操作量を底上げするためだ。
『兄さん少し離れてて、この形態エネルギーめっちゃ使うからとっとと終わらせる』
勿論これだけの事をしているのでそれ相応のデメリットがある。
そのデメリットというのは、とてつもなくエネルギーを消費するため制限時間があるのだ。
他の魔法はいくら使っても体力が続く限り使い続けられる位にはエネルギー効率が良い。
しかしこの|悪食の大森龍《グラトニー·フォレスト·バハムート》は、世間で言う所の魔法少女の必殺技にあたる魔法だ。必殺技というだけあって、連発出来ない位にはエネルギーを使う。
そのため少しでも制限時間を伸ばすために、アルに果実工場の果実を食べてエネルギーを蓄えてもらっていたのだ。
一体化したら、アルが蓄えたエネルギーをオウルが魔力に変化できる。
『それじゃあいくよ!』
オウルは長い身体をロボットへ叩きつけようとする。
「聖なる剣」
しかし巨体ゆえ動きが遅くロボットに回避され、すれ違いざまに剣で切りつけられる。
オウルの身体に剣が食い込む。
『これを待っていた!』
剣が食い込んだ瞬間、切りつけられた箇所の植物を肥大化させ剣を挟み込む。
オウルの身体を構成している植物は植物反発によって強化されており、強化された植物が自転車のブレーキのような役割を果たし剣を停止させる。
『フン!』
そして力を加えて剣をへし折る。
『兄さん回収お願い!』
「了解」
へし折った剣はレイヴンの異空間倉庫に収納する。
『次!』
オウルは大きな口を開けて、ロボットの斧と槍を掌ごと補食しようとする。
しかし、動きが遅いため今回も回避されそうになる。
「させねえよ!」
ロボットが回避しようとした時、レイヴンがミニガンでロボットを攻撃する。
当然ロボットは反撃しようとするが、レイヴンに標的が移ったことで掌の回避行動が遅くなる。
『いただきます!』
レイヴンが囮になっている隙に、オウルがロボットの斧と槍を補食する。
そして体内で斧と槍を植物で押し潰して破壊する。
「オウル、次で決めるぞ!」
『了解!』
盾意外の武器を破壊されたロボットは、残っている手足のキャノン砲から光線を発射して攻撃を仕掛ける。
「光線は俺が防ぐ、オウルは突っ込め!」
次々発射される光線は、レイヴンのワープゲートによってロボットに打ち返えされる。
その隙にオウルがロボットとの距離を詰める。
「|聖なる盾 モード巨人兵」
オウルがロボット本体を補食しようとした瞬間、ロボットが盾を巨大化させて防ごうとする。
しかし、オウルには優秀なサポート要員がいる。
「残念だったな、もっと早くにそれを使ってれば勝てたかも知れないのに」
巨大化した盾を、レイヴンが無慈悲にも遥か彼方へとテレポートさせる。
「やれ、オウル」
『悪食の牙!』
オウルが悪食の名に恥じぬ勢いでロボットに喰らい尽く。
ロボットも光線で抵抗するが、焼け石に水だ。
《ごっくん》
ロボットはそのままオウルの体内へと消えていった。
「レイヴンやっと終わった…何だあの化物?!」
「お、灰崎、解析終わったのか」
オウルがロボットを補食して直ぐに、灰崎が異空間倉庫から出てきた。
「あ、あぁ、何故かいきなり突破出来なかったセキュリティが解除されてね、そこからは速かったよ。それより、あの化物は何だ?」
「化物?あぁあいつか、あいつはオウルとアルだよ、魔法で姿が変わってるだけだから気にすんな」
レイヴンがそこまで説明した時、オウルの身体から轟音が響く。
すると、オウルの身体は崩壊を初め、中からオウル、アル、ロボットと武器の残骸が出てくる。
「お~い優真~」
そして、アルがオウルとロボットを抱えて降りてくる。
「アルお疲れ、オウルは?」
「寝てるよ~疲れたっぽいからね~」
オウルは疲れが理由で眠っていた。
「灰崎、ロボットの方は?」
「一部壊れてるけど、修理して起動すれば問題無いな。今はこちらがプログラムいじって機能停止させてるから動くことはないよ」
ロボットの方も、本来の目的通り回収できた。
「取り敢えず異空間倉庫の中で話さないか、外よりはましだろ」
そうして4人と一機は異空間倉庫へと移動した。




