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死にたくないので自分達だけの第三勢力作りました。  作者: 鬼獣八紅
第十章 魔法少女の最高戦力
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トロッコ問題

三人称視点です。



「今回集まってもらった理由は最近勢いのある悪の組織、聖魔連合についてよ」

「聖魔連合…、確か私がヨーロッパへ行っている間に結成された組織だよね?」

「そうよフューチャー、その連行長であるレイヴンを初めて目撃したのは美空よ。美空、当時のことを説明してくれるかしら?」

「わかりました。レイヴンと初めて接触したのは今年の夏、いきなりテレポートで路地裏へ転送された時でした。そこで黒曜団という組織の密輸や麻薬売買についてのデータを渡されました」

「何や?悪の組織が別の悪の組織のデータ渡したんか?」

「その通りです一二三さん。そしてその後、私と桜、奈々で黒曜団を壊滅させました。しかし直後にレイヴンが乱入、戦闘になり逃走を許してしまいました。これがレイヴンが初めて表舞台に姿を現した一連の流れです」

「今が9月1日だから約一か月しかたってない新興組織よ。それまでに聖魔連合が関連した事件は確認できてる限り4件、その中でも伊吹山の件は世間に与えた影響も大きいわ」


 伊吹山の戦いで魔法少女側が惨敗と言っていいレベルで敗北したことをメディアが報道した翌日、悪の組織や怪人による事件が50%ほど増加した。

 その上、この戦いで魔法少女の数が大幅に減少してしまい対処の遅れも発生してしまっている。


「私がヨーロッパへ行っている間にそんなことが…」

「起きてしまったことを嘆いても意味ないわよフューチャー。話を戻して、伊吹山の戦いで322名の魔法少女が戦死、その中には紫苑も含まれているわ。このことを踏まえて、今後聖魔連合についてどう対処していくのかってのが今回の本題よ」


 これだけの被害が出ていれば魔法少女連盟も黙っているわけにはいかない。そのためグレートフューチャーが帰国したこのタイミングで会議が開かれた。


「今のうちに本部を叩くのはダメなんですか?サイファーはまだ戦ったことがないのでどの程度強いのかわかりませんが、新興組織なら戦力はまだそろっていないはずです」

「そうはいかないのよ。現在聖魔連合を対処するにあたっての問題点は三つ。一つ目は本部の場所が不明なこと、二つ目は現在確認されている幹部だけで中規模の悪の組織の戦力に匹敵すること、そして三つ目はレイヴン含め構成員の能力が厄介なことよ」

「能力ですか?」

「私が説明します。レイヴンの能力は恐らく空間操作、ワープゲートや空間を削り取ることが可能です」

「恐らくとはどういうことですか?」

「私が伊吹山で交戦した際、お姉ちゃ…鏡野紫苑の姿に変化したんです。そして動揺していた隙に左足を切断されました。恐らく私が左足を使えなくさせた腹いせかと」

「ちょっと待って。美空、あんたレイヴンの左足を使えなくさせたの?」

「?、そうですよ。まあ厳密にはレイヴンが仲間の毒で自滅して全身に回る前に自ら左足を切断した感じですが」

「…神界でレイヴンと会った時、あいつちゃんと両足が存在してたわよ」

「ちょ、どういうことですか?!」

「確認だけど、レイヴンが自ら切断した左足ってどういう状態だった?」

「確か…紫に変色していました。…まさか!」

「聖魔連合に居るわね、回復能力持ちが」


 レイヴンが自ら切断した左足は毒の影響で手術でどうこうできる状態ではなかった。

 その足が存在していたということから聖魔連合に回復能力持ちが所属していることが推測できる。

 さらにこの事実から多少の怪我なら与えたところで意味などないことがわかる。 


「え、本当にどうするんですか?」

「どうするも、撤退する前に倒せばいいだろ」

「それがそうもいかないのよメンデル、私の知り合いの魔法少女が京都で戦闘したロボット曰く聖魔連合の方針は”命だいじに”だそうよ。それが本当なら殺す前にレイヴンに回収される可能性があるわ」

「なら回収される前に一瞬で倒せばいい」

「それができるの上位三席の面々だけじゃないですか!普通の魔法少女は一発でそこまでの火力はありませんよ!チビ先でも事前準備が必要なのに!」

「おいまたチビ先って言いやがったな!」


 七曜の円卓の上位三席以外のメンバーも強いのだが、その強さの源は魔法の搦め手性能が高いことや本人の技量によるものが大きく、純粋な火力という意味ではさほど強くない。

 何なら火力という一点だけなら七曜の円卓以外の魔法少女にも劣ることがある。

 

「とにかく、聖魔連合についてはサイファーが言った通り本部を叩くのが一番早いのは確かだけど、肝心の探知担当である通波が聖魔連合に連れせられちゃったから探すのも一苦労よ」

「まって神子都、通波って誰?」

「私も知らないぞ」

「え?あぁ、そういえば私しか知らなかったわね。一二三や栞も知ってはいるけど詳しいことは話してないし、いい機会だから説明するわ」


 神子都は知らなかったメンバーに八世通波についての説明を行う。

 そして説明が進むにつれグレートフューチャーの怒りの感情がにじみ出てきた。


「神子都、何でこんなことをした!」

「そうだぞ神子都、流石にそういうことは良くないぞ。というか何で言わなかった」

「上の方から口止めされてたのよ、あんた達は特に反対するだろうからってね。世の中綺麗事だけじゃ回らないの。それに私は必用とならばトロッコ問題で容赦なく一人の作業員を犠牲にするタイプ、今回の場合一人の作業員が通波だったってだけだわ。実際ここ数年は解決件数が増えたし」

「それでも!」

「いい、これは考え方の違いよ。フューチャーが優先するのは一人一人の平和、私が優先するのは人間全体の平和なわけ。ま、人間一人一人が平和の方がいいに決まってるけどね、そうはいかない世の中なのよ」


 実際問題、魔法少女が現れて数百年たった現在でも悪の組織による被害は減少の兆しが見えない。


「神子都、そのための魔法少女ではないのか?」

「それはそうだけどね、全ての魔法少女がここにいるみんなみたいに活動しているわけじゃないの。今では小遣い稼ぎに魔法少女している奴もいるのよ」

「たしか、ここ数年で真面目に活動していない魔法少女けっこう増えたらしいですね」

「そういうこと。ま、色々大変なのよこっちはこっちで」

「まあ…、わかった。けどあまりそういうことはしないようにね」

「善処するわ」

「あの、お二人は仲が悪いのですか?」

「…ん?サイファーに聞いてますか?」

「Yes」


 二人の仲は悪いのかどうか疑問に思った美空が隣に座っていたサイファー・Kに問いかける。


「ん~なんて言えば良いんでしょう?少なくとも仲は悪くないですよ、前に円卓メンバーでカラオケ行った時も全力で青春してましたし」

「そうなんですか?」

「はい、ですが二人は平和に対するスタンスが致命的に違うのです。フューチャーは困ってる人は全員助けるスタンスなのに対し、神子都は多少の犠牲が出ても何事もない日常が続けばいいというスタンスなんです」


 二人のスタンスは言い換えれば理想主義と現実主義だ。そのため普段こそ仲はいいが、こうした平和に関する議論だといつも揉めている。


「なるほど。そうえば苦言を呈してたメンデルさんはどういうスタンスなんですか?」

「メンデルですか?メンデルはそういう平和に関するスタンスは特になかったはずです。ただ、戦う理由は”応援してくれてる人たちにこたえたいから”って言ってました」


 メンデルキャップはグレートフューチャーや神子都みたいな考えはとくに無い。その代わり誰かの思いにこたえたいという気持ちは人一倍強く、その気持ちに裏打ちされた実力で七曜の円卓第三席まで上り詰めた。


「何と言うか、色々な人がいるんですね」

「まあ、皆さん愉快な方たちなので気負わなくていいですよ」

「はい」


 そうして、会議は次の話題へと移っていく。


円卓の配置ですが時計回りに


1,3,5,7,6,4,2,1


の順です。

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