幹部会議(仮)
三人称視点です。
「「ただいま」」
「あ、お帰りなさい…」
優真と環はそれぞれの用事を済ませ、今帰宅したところだ。
ちなみに、優真の異空間倉庫に入れていた人は環に回復してもらってから路地裏に放り出した。
「キャットガールも留守番ありがとね。研究者さんはもう起きた?」
「つい先ほど起きました」
「そうか、それじゃあ今後の事で相談があるからリビングに集まってくれ」
◇◇◇
「それじゃあ、第一回聖魔連合幹部会議(仮)を初めま~す!」
「イエーイ!」
「…おいキャットガール、これはどういう事だ?」
「わ、分かりません。いきなりリビングに来るように言われたので…」
「ん…なに…うるさい…」
いきなり始まった幹部会議(仮)と二人のテンションの高さに優真と環以外の三人は困惑している。
けれど優真はそんなことは無視して会議を進める。
ちなみに、幹部会議(仮)の理由は聖魔連合の役職が連合長と副連合長しか決まっておらず、他三人はそもそも連合に入るかどうか確定していないからだ。
「まあ、そんなノリは置いといてまずは自己紹介だな。俺は黒榊優真、一様聖魔連合連合長だ、活動名前はレイヴン、よろしくな」
「次は私ね、私は黒榊環、役職は聖魔連合副連合長、魔法少女名前はオウル、よろしく」
「次は私の番!私の名前はアル!好きなことは食べること!」
優真、環、アルの三人は自己紹介をしていく。
「それで、研究者さんの名前は?」
「お兄さん、ここはしておいた方がいいよ…」
「…わかったよすればいいんだろすれば、俺の名前は灰崎京也、工業系大学卒の社会人二年目、元黒曜団研究部所属、これでいいか?」
「一応私も、量産型怪人キャットガールプロトタイプです」
ついで研究者さんー灰崎久也とキャットガールが自己紹介をする。
「取り敢えずこれで全員の自己紹介が終わったな。次は質問だ。まずは環、そいつ…アルはなんだ?」
優真は環にアルについて質問する。
優真視点では、黒曜団に行っていたらいつの間にか環が何か植物型怪人を連れてきたようなものだ。
「えっとね…」
環は何があって、どうやってアルを仲間にしたのか説明する。
「…取り敢えず分かった。仲間集めありがとな、ただし、食料の管理はしっかりしろよ」
「当たり前じゃん!というか、我が家の食料の管理は私がやってんだからとやかく言うな!」
「お、おう…」
両親が死亡してからは優真が資産を管理しているが、家事は環が行っている。特に優真は料理がからっきしなので、料理並びに食料に関しては環に逆らえないのだ。
「それで次は、何でキャットガールは灰崎さんをお兄さんって呼んでるんだ?そもそも、キャットガールと灰崎さんの関係って何?」
「あ、それは私も気になってた」
次の質問はキャットガールと灰崎さんとの関係についてだ。
優真と環はキャットガールを黒曜団から逃がしたのが灰崎さんということしか聞いていない。
「それについては恐らく、俺がキャットガールの作成並びに世話係だったからだろうな。俺としてもキャットガールは初めて作成した怪人だから思い入れもある」
「だから逃がしたと」
「あぁ、俺は別に悪の組織に入りたくて入った訳じゃねえ。たまたま入社した会社が悪の組織だっただけだ。俺は研究所に籠って研究していたかったし、何より自分の作った怪人をいたぶられるのは我慢ならなかった。だからこれでも感謝してんだぜ」
「…では、こちらの組織に入ってもらうことはできますか?」
「…それが目的か」
もともとこの会議に灰崎とキャットガールを出席させた理由は、二人に聖魔連合に入ってもらえるかの交渉をするためだ。
「今の連合は出来たばかりで人員が少ない上に大人がいない。なので灰崎さんが入ってくれるといろいろ助かる。無論、こちらもできる限りのことはしよう。研究資料や機械は黒曜団から奪ってきてるものを好きに使っていい。金も黒曜団から奪ったものが結構あるからそれも使ってくれていい。今の連合は人が少ないから金がかからないからね」
「…分かった、こちらは今根なし草だし入団した方が良さそうだしな。ただし、こちらは好き勝手やらせてもらうぞ」
「お兄さんが入るなら私も…」
「分かった、それじゃあこれから二人は聖魔連合幹部だ。よろしくな二人とも」
こうして、灰崎久也とキャットガールが聖魔連合に入団した。
灰崎久也とキャットガールが聖魔連合に入団する事が決定して、会議は次の話題に移る。
「次は今後の連合の目的だな。これについては環から説明してくれ」
「はい!今後の目的としては私達兄妹並びに連合の仲間が命の危機に晒されずに生きていける世界にする事が最初の目的聖なるものも魔のものも平和に生きれる世界にするが最終目的。何か質問ある?」
環が質問があるか聞くと、灰崎が手を上げる。
「質問いいか?兄妹並びに連合の仲間が命の危機に晒されずに生きていける世界にするって具体的になにをするんだ?」
灰崎の質問はもっともだ。連合に入ったからには嫌でも目的に関わってくる。
「それについてはノープラン、強いていうなら魔法少女並びに悪の組織にちょっかい出されないほどの力を付ける。又は魔法少女と悪の組織を片っ端から潰すとかかな。聖なるものも魔のものも平和に生きれる世界にしたが、それはあくまでも仲間だけだ。その前にどうなっても良いように戦力を揃える事が取り敢えずの目先の目標だな」
「…まあ、分かった」
灰崎はいろいろ言いたいことがあるが、何とか口には出さないようにする。
魔法少女と怪人が平和に暮らすなど、魔法少女と怪人が日夜殺しあってる日常からどれだけ離れているのかと言いたくなったが、連合に入ったからには方針に従わないといけない。
灰崎はすでに連合に入ったことを少し後悔し、大人の自分がしっかりしないとという決意を固めた。
「それと環、割りと大事な事だが今後敵対してきた奴らどうする?場合によっては殺さないといけないけど?」
そして今回の会議で優真が個人的にもっとも話したかったこと。それは、今後敵対してきた者を殺すか否かということだ。
この兄妹、今まで人に向かって銃を撃ったり怪人の蔦を切ったりしていたが、まだ意志疎通ができる生物を殺したことが無いのだ。
「俺としては基本的に殺しはしたくないな。敵は倒した後、今後邪魔をしないと誓えるならば見逃す、向かってくるようなら殺す事もやむ無し、仲間になるなら仲間にする。俺の意見はこんなとこだな。環の意見は?」
「私としては怪人は兄さんの意見と同じだけど、魔法少女は仲間にならなかったら確実に殺す」
「…おい優真、お前の妹いろいろ大丈夫か?目が完全に復讐者のそれだぞ?」
両親が死亡した時、環はまだ小学三年生でまだ両親に甘えたい年頃だった。そして、両親の死亡が理由で半年ほど不登校になっていたが、それでも今の明るい性格になるほどに心の傷は回復した。
しかし、環の両親を殺された怨みはまだまだ消えていなかったようだ。
そんな環が、魔法少女という復讐するための最大の武器を手に入れてしまった。
「はぁ…いいか環、お前が魔法少女を怨んでいることはよ~く分かった。だがな、魔法少女ばかり殺すと今度は悪の組織が増えちまう。それにちゃんと正義の味方してるやつも居るかも知れないだろ?だから殺すなとは言わないがちゃんと殺す対象は選べ。それと市民に被害は出すな。それだとお前が怨んでいる魔法少女達と同じだぞ」
「…分かった」
何とか環は納得したようだ。
なお、灰崎がまた何か言いたげに優真をみていたがスルーされた。
「それじゃあ基本的に人は殺さず、敵対してきた者を殺すか否かは本人次第でいいか?勿論、市民への手出しは禁止」
「いいんじゃないか」
「分かりました」
「分かったよ~」
「まあ…分かったよ」
環は不服そうだが、取り敢えず連合の殺すか否かのルールが決まった。
「次に相談したい事はキャットガールについてだな。キャットガール、いきなりだがお前学校に通う気はあるか?」
「え?」
いきなり自分に会話が振られた事にキャットガールは困惑している。そもそもいきなり学校に行くかどうか聞かれても、キャットガールは学校がどういう所なのかを知らないのだ。
「あの…学校とは?」
「学校とはって言っても、たくさんの子供が勉強をする場所と思えばいい」
「兄さん何でいきなり学校にキャットガールを行かせようとするの?」
環から指摘通り、キャットガールを学校へ行かせる理由も説明していなければ当然の質問だ。
「キャットガールを学校へ行かせる理由は、近隣住民に不信感を抱かせないためだ。灰崎さんは親戚のお兄さんで最悪通じるがキャットガールは見た目的に学校へ行ってないと違和感を感じる。それに学校内に協力者がいた方がこちらも都合がいい。まぁ、行く気があるかと聞いたが、ぶっちゃけ命令に近いな」
優真の説明を聞いて、キャットガールは少し悩むような態度をしたが、直ぐに答えが決まったのか返答をする。
「命令とならば、既に聖魔連合に所属している私に選択肢はありません」
「本当に良いのか?命令と言ったが、別に嫌なら行かなくても良いんだぞ?」
「ですが、私みたいな怪人には選択する資格など…いたっ」
キャットガールがそう言い切る前に、環が額にデコピンをした。
「あのねキャットガール、聖魔連合は聖なるものも魔のものも平和に生きれる世界にする事が目的。今はあくまで組織の上司と部下という関係だから兄さんはああ言ったけどキャットガール自身の意見を聞きたい。それに初めて仲間になった怪人だしね、少しぐらいわがまま言っても罰は当たんないよ」
「ちょっと環~初めて仲間になったのは私じゃないの~?」
「ごめんごめん、今度埋め合わせするからさ」
アルと環がなにやら言い争いを始めたが、優真は無視して話しを進める。
「ま、環が粗方説明したがいきなり自分の意見を言えって方が酷だよな。取り敢えずは命令という形で学校に行ってもらう。その方が今はいいだろ?そのうち、自分の意思でやりたい事決めれるようになれよ、灰崎さんを助けてほしいとお願いした時みたいにな」
「は、はい。ありがとうございます」
今まで自分の意思で行動したことがあまり無いキャットガールにとって、命令という形で言われるのはありがたいことだった。
「それじゃあ設定はキャットガール両親が死亡したため引っ越して来た従妹、灰崎さんは転勤してきた親戚のお兄さんってことでいいか?」
「問題無いです」
「良いぞ」
これで、二人がこの家で暮らす設定が決まった。
「それと灰崎さん、キャットガールの耳を隠す機械って作れるか?」
今のキャットガールは少女に猫耳が生えた格好だ。このままではさすがに学校へは行かせられない。
「三日あれば出来るぞ」
「それじゃあ初仕事よろしくな。それと、キャットガールの新しい名前を決めるぞ。さすがにキャットガールのままだと長いしな、それに学校に行くためにも名前は必要だ」
キャットガールはあくまで怪人名だ。それに名前がキャットガールのまま学校へ行くと、間違いなく周囲から浮く。そうならない為にも新しい名前は必要だった。
「一応考えた名前が有る、苗又元花って名前だ。名字は猫又をもじって苗又、名前はオリジナルって意味で元花だ。どうだ?」
キャットガールは量産型のプロトタイプに使われていた。だから自分が本体、オリジナルなのだと分かるように元の字を名前に入れたのだ。
「はい、これからは苗又元花と名乗ります」
「…そんな堅苦しくしなくて良いのに」
これでキャットガールが名を改め、苗又元花になった。
「さて最後に、本部をどこに作るかの相談だな。ま、もうほとんど目ぼしいはつけてるがな」
最後の会議の話題は本部をどうするかだ。これからさらに仲間が増える事を考えると、家だけでは明らかにスペースが足りない。
「けれど本部を作ろうとしている場所は環の魔法が必要不可欠だ。頼めるか?」
「いいけど、どこに作る気なの?」
「月」
「「「「…は?」」」」




