海外にバラ撒き、有事に日本国民は餓死する! 悪夢の農業関係法案は即時撤回せよ!
筆者:
本エッセイを選んでいただき誠に光栄です。
今回は農業関係法案が“悪夢”と言ってもいいほど酷いことについて僕の個人的解説で見ていこうと思います。
質問者:
関係法案ということは複数改正されるということなんですか?
筆者:
一つ一つ見ていくと「ふぅん」と言う感じだと思うんですけど、
総合してみていくとその“歪み”が如実に分かっていくと思うんです。
◇国内ではなく「輸入相手国への投資促進」
24年2月6日に判明した農林水産省の案では、
『日本が海外から農産物を安定的に確保できるよう
「輸入相手国への投資促進や必要な施策を講じる」と明記。
農業の持続的な発展を目指し、農薬や肥料の使用などに伴って農業が周辺環境に与える影響を低減する方針も盛り込んだ。』
とあります。
100歩譲って経産省がこれを提案するのはまだ理解できますが、
この件に関して一番恐ろしいことは「農林水産省」が「輸入相手国への投資」を提案していることです。
質問者:
おっしゃる通り国内農家はどうしたんだと……。
筆者:
これが意味するところは「国内生産諦めました。輸入に頼りますぅ」と白旗を上げているに等しいのです。
質問者:
なぜ海外に支援するんでしょうか?
筆者:
日本は主にアメリカ、オーストラリア、カナダがほとんどの農産物輸入相手国なのですが、とくに「アメリカ様」に媚を売っていると言えます。
これまでは、海外支援が多いと言えど、基本的に建前的に格下の国にしかできませんでしたが、「宗主国様に法律条文通り献上できる」ようになるということです。
アメリカ様にお金をバラまきながら「法律に則ってやっている」というお決まりパターン答弁を繰り返すことが可能になるのは大きいと思います。
バラマキ投資は円安を促進するだけです。
積み立てNISA非課税も国内株の投資のみにすればまだいい政策だったのに内容が本質とかなりズレたところに位置していると思います。
質問者:
なるほど、「アメリカ様」献上政策な訳ですか……。
◇有事に増産指示に従わなければ罰金
筆者:
政策に一貫性がないことは、
これと同時に全く真逆の法案を農水省は提案していることから明白です。
24年2月8日には食料供給困難事態対策法案(仮称)というものを提案しています。
この法案は
『コメ、小麦、大豆などが不足する食料危機時に政府が供給目標を設定。農家に増産計画の届け出を指示できるとし、従わない場合は20万円以下の罰金を科す。
コメ、小麦、大豆のほかに「国民が日常的に消費するもの」や「国民の食生活に重要なもの」を政令で「特定食料」に指定し、出荷・販売業者にも供給量を調整する計画の届け出を指示できるとした。』
この法案が狂っているところは、普段は海外に支援している癖に、
食料危機になったら増産しろと農家に指示を出し、罰金まで定めているところです。
しかし、突然命令したからって魔法のように生産量が増えることはありません。
本業でやっている方はなるべく多く生産しようと現在の農地を100%使っているからです。
そうなると現在休耕している畑、耕作放棄地を活用すると思うのですが、
まともに生産できる能力が戻るまで3年ぐらいは最低でもかかると言われているので、この法案を考えた人は魔法でもできるんでしょうか?
本当に農業の専門家が考えたんでしょうか? と言いたくなるほど全くもって「イカレている」政策と言えます。
質問者:
それなら日常的に農家を支援した方が良いような気もしますよね……。
筆者:
まったくもってその通りです。
限られた予算内という前提であるならば
有事の備えとアメリカ様への媚を売ることの両立は不可能だと思うんですよ
有事の備えは平時の農家の支援だと思うからです。
※財政均衡主義である必要性はないと思っていますが、現状の政府はその思考に完全に染まっているからです。
海外の農業支援は有事で供給を断たれたときに全く無意味な対策と僕は思います。
完全なる矛盾した法案を同時に出すところが本当に失笑しか出ません。
◇輸出産業のために犠牲になる農業
質問者:
日本はどうして農業を保護しないことになってしまったのか、また説明いただけますか?
筆者:
これはほとんど以前の再掲なので、読まれた方もいらっしゃると思うんですが、
世界であるような最低限の価格(「融資単価」「支持価格」「介入価格」など)で政府が穀物・乳製品を買い上げ、国内外の援助に回す仕組みが日本では壊滅しています。
かつての日本にも同じような政策はあったのです。
無くなってしまったのは1993年12月に採択されたウルグアイ・ラウンド合意受入れが原因です。
1997年度の3兆1708億円だった農業の補助金は7割を占めていた米の行政価格による内外価格差相当分が食糧管理法が上記合意履行によって廃止されたために消滅しました。
そのために翌年の1998年度には農業関係の補助金全体の金額は7665億円に大幅に減少してしまい、現在も同程度で推移しているのです。
これは自動車産業などの輸出産業のために農業政策を放棄し、
農業売却価格への補助金などを廃止してしまったことが大きな要因としてあります。
ちなみにTPPなどの自由貿易協定のたびに農業は関税などで虐められ続けています
質問者:
やはり日本は国土が狭いので、補助が無いと厳しい状況なんですよね……。
確か以前のご意見では、日本は関税率も低いとか。
筆者:
「日本の関税率は高い」と言うのはコンニャクに1700%の関税、コメも300%を超える関税が設定されていることです。
このコンニャクとコメばかりが “やり玉” にあげられるのですが、キャベツなど他のさまざまな野菜の関税率は大半が3%ほどと農林水産省のデータを見ると分かります。
実際のところ、日本の農産物の9割は低関税率の品目なのです。そんな国は世界でも非常に珍しいということを覚えておいてください。
ちなみに、コンニャクの原料である蒟蒻芋の日本のシェアを見て見ますと9割以上が群馬県に集中しているようです。
これは昔からのことのようで、群馬県出身の議員に“首相経験者が多い”と言うことで非常に政治力が強く働いているものだと思われます。
※皮肉にもつい最近の前橋市長選では自民推薦の候補は大敗しましたがね。
筆者:
今回も農地規制に特例を設け、農地を所有する「農地所有適格法人」に企業が出資できる割合の引き上げを行う案も提出されていますが、
それ以前から大企業は参入するも、東芝や大戸屋、オリックスやパナソニックですら農業参入しても赤字ですぐさま撤退するのが現実なんです。
それだけ設備投資に見合わない程度の利益しか出せないということです。
平時においても、フランスの農家のデータでは、主食である小麦130ヘクタールの経営が赤字になると、そこから補助金が出てコストとの差額部分を補填するので、所得に占める補助金の割合は235%という計算になるそうです。
質問者:
フランスの自給率は200%とか言われていますけど、
そういう国の助成努力があってこそなんですね。
筆者:
それぐらい農業の採算が世界においても合わないということです。
というより、食べることは誰もが必須なことでありながら過小評価させられ、
不当な価格競争に晒されているといっていいでしょう。
その上で、世界は国土の広さと補助金を武器に戦っているのに、
日本は国土が狭い中丸腰でやっているのですからそれは不利になるに決まっているんです。
日本の農家さんは本当に不利な状況下で懸命に頑張っておられてとても頭が下がります。
ただ、農家さんにも限界があります。
2023年(令和5年)の推概数値で116.4万人(2018年次には160万人) 65歳以上が占める割合は7割を超えており20年後には日本の農業就労人口そのものが消滅しかねないです。
利益が出るように買い上げてあげることは必須なのです。米なんて個人農家はほとんど赤字になっています。
質問者:
本当に危機的な状況なんですね……。
筆者:
買い上げてどうするのか? と言う話になりそうですが、
平時は生活保護の人にお金の代わりに配るなどのやり方で対応すれば、
予算も生活保護費の分を使えば良いので財政上の負担も少ないように僕は思いますね。
またコメを増産した場合には米粉などの製品を食料品生産会社と提携して製品開発を促進するべきです。
それでも余るようでしたら、アフリカなどの食料に困っている地域に国費を使って無料で提供すると言った手段もあるように思います。
海外バラマキや支援も別の形で考えていくべきだと思っています。
いずれにせよ、若い方を就農させるためには“稼げる”ようにするために利益が出るように買い上げ、海外の農作物に負けない低価格で市場に流すことを政府はやらなくてはいけないはずです。
質問者:
しかし、現実的には真逆の方向性でいっていますよね……。
筆者:
唯一これらの法案の中でよかったことは、肥料として家畜のふん尿や下水の汚泥といった、生かし切れていなかった国内資源の利用拡大を図る方針が打ち出されたことぐらいです。
それ以外は的外れのことばかりをしているといっていいでしょう。
質問者:
日本国民のためをやっているように見せかけて実情は、国民の目線に全く立っていない気がしますね……。
◇有事の時も政府に頼れない
筆者:
本音と建前は全く違いますからね。
こうなると有事の備蓄を民間個人でやっていくしかないです。
これらの事実を知って備蓄をしないことは、お金が無いとか場所が無いとかの理由で無いのであれば、
有事の際に日本政府が行う「魔法」を信じるのと同じレベルだと思っておいた方が良いです。
それぐらい本当に信用ならないんです。
場合によっては有事の時に待っているのが「コオロギ食」とかそういう可能性すらあります。
それでもいいという方や政府への信頼が絶大な方だけが備蓄をしなくていいと思います。
質問者:
コオロギ食は想像しただけでも本当に嫌になりますね……。
筆者:
何度もお伝えしていますが、
僕の備蓄のお勧めは真空パックのお米と缶詰と水ですね。
缶詰は口に合うかどうか試してみることをお勧めします。
有事が起きないことには越したことはありませんが、
用意しておくことが“もしも”の時に周りの大切な方を助ける糧になります。
質問者:
地震の際の備蓄としても最低3~7日分備蓄しておいたほうがいいという話でしたね……。
筆者:
そうなんです。日本は地震大国なので全国どこに住んでいても一定以上の可能性があることを考慮する必要があると思います。
ということでここまでご覧いただきありがとうございました。
今回はアメリカ様のためにお金をバラまく法案と、国内の補助はしょぼいのに有事の際になぜか増産しないと罰金という狂気の法案が日本を狂わせるのではないか?
政府が農家が利益が出るように固定買取をして市場に流さなければいけないですが、
それをやってくれそうにないので民間個人で備蓄をしなくてはいけない。
ということをお伝えさせていただきました。
今後もこのような政治・経済、マスコミの問題点について個人的な解説を行っていますのでどうぞご覧ください。