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馬②

目が覚めると、まだ村の皆は寝ていた。


魔獣の姿が見当たらなかった、森にでも帰ったのかと思い辺りを見渡す。


するとガサガサと音を鳴らしながら森の中から何かを咥えた魔獣が顔を出した。


昨日のやつだ、逃げないんだろうか?と思い様子を見ていると、1人の女性、ダグリックの母、の元に咥えていた物を下ろす。


よく見ると他にも数名の元に同じ様な物が置いてあった。

色とりどりの果物らしき物、動いてるのは魚かな?


どうやらその人達は昨日その魔獣に角で刺された人のようだ、償いで食べ物を運んでるのか?

となると俺も刺されたから何か持ってきてくれるのだろう、と魔獣を見ていると目があった気がした。

「ヒヒン」


「償いか?俺のは?」


「…ヒヒン」


文句ありげに鳴いてから何処かに行った。


「昨日喋ってたはずなんだけどな」

「誰が?」

「うわっっ!?」


後ろからいきなり声をかけられ驚いて振り返ると

そこにはマレイヤが立っていた。

俺「驚いた、起きてたんだね」

マ「おはよう、リドル君」

マ「今起きたのよ、それより何が喋ってたの?」

「おはよう。いや、ただの独り言だよ」


魔獣がなんて言ったら変な奴だと思われると思い誤魔化した。


マ「そういえばリドル君って、お母さんにはオリーって呼ばれてるんだね」

俺「うん、昨日聞こえてたんだね」

マ「お父さんが魔獣に…、えっ?魔獣がいない!!」


そこで、魔獣が居ないことに気が付いたのか驚いて固まるマレイヤ。

そういえば俺とダグリックしか昨日の夜の事知らないんだったと遅まきながら気づいた。


俺「もぅ襲ってくる気は無い見たいだよ?」

マ「えっ?」

俺「ほら、あそこに食べ物あるだろ?」

と先程魔獣が運んできた食べ物に指を指す。


マ「どうして…お父さん達を襲った魔獣なのに」

俺「それは知らないけど、食べ物貰ってるのは刺された人達みたいだし、償いなのかな?」


そんな事を話してると魔獣がまた食べ物を咥えて戻ってきた。

驚き崩れ落ちるマレイヤ


「大丈夫だよ」

と言いながら、食べ物を受け取ろうと俺が魔獣に手を伸ばしたらその食べ物を魔獣がマレイヤに押し付けた。

俺「あれ?」

マ「…くれるの?」

今にも泣き出しそうな顔でマレイヤがビクビクしながら受け取る。


「ヒヒン」

なぜが魔獣が喜んだように見えた、そしてそのままマレイヤに顔を擦り付けている。

気のせいか鼻の下が伸びている気がする。

スリスリ

俺「で?俺のは?」

魔獣「…」

スリスリスリスリ

マ「…」


なんだコイツ、無視して鼻の下伸ばしてスリスリしやがって、なんか変態おやじに見えてきた。


「おいっ!!」

魔獣「……」

強めに言うと魔獣はまたどこかへ行った。


マ「…びっくりした」

俺「なんかあんな感じで昨日の夜から攻撃もしてこないんだ」

マ「…」


マレイヤが顔を赤らめ急に立ち上がり走り出した。

どうしたのかと思ったら恐怖か驚いたのか、地面には地図が出来ていた。


俺「なるほど…漏らしたな」


しばらくするとマレイヤが着替えて戻ってきた。


マ「…」

俺「…」

マ「…濡れてただけ…」

俺「えっ?」

マ「地面が濡れてただけだから!!」


キッと睨みつけるように叫ぶマレイヤ


俺「そっ…そうだよね」

睨まれながら言われると誤魔化すしか選択肢はない。


俺「えっと…お父さんは大丈夫そ?」

マ「……思ったよりは酷くないみたいだった」

まだ不服そうだが、とりあえずは話を変える事にしてくれた。


俺「それなら良かった」

マ「でもダグリックのお父さん…可哀想」

俺「仕方ないさ、あんなデカイ魔獣が出るなんて、事故みたいなもんだ」

マ「そうだけど…」

俺「何が出来る訳でもないし、とりあえず皆が起きたらどうするか大人が考えるよ」

マ「そうだね、オリーは怖くないの?」


リドルではなくそう呼ばれた、俺の母の呼び方を真似てオリーと呼ぶようにしたらしい。


俺「昨日の夜殴ったけど、ビクともしなかったよ」

マ「そんな危ないことしたらダメじゃない!」

俺「ダグリックがずっと殴ってたし、魔獣もされるがままだったしなんともなかったよ?」

マ「それでも危ないからダメ」

マ「次やったらお母さんに言いつけちゃうんだからね」

俺「ハイハイ、気をつけます」


マレイヤの後ろから馬魔獣が食べ物を咥えて戻ってきた。


「ヒヒン」

「きゃぁぁぁ!!」


じわぁ〜

みるみるスカートに染みが出来上がる。

今度は涙を流しながらマレイヤが走り出すのだった。

よろしければ感想などお願いします。( . .)"

初いいねありがとうございます。

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