天子級美少女と実は両思いだった (プロローグ)
うちのクラスには天子様と呼ばれている女の子がいる。
「なぁお前あの天子様に告ったってまじ ?」
「いやぁ、まじまじバッサリと振られたけどな。」
「もう何人目だ天子様に告白して玉砕したやつ。」
今日もまた、その天子様の話題でクラスは盛り上がる。
それ程までに、彼女は校内で有名な女の子だ。
「ほんとに、朝から元気だなぁ。」
告ったのがどうとか天子様がどうとか何がそんなに楽しいのか ?
俺ーーー西城奏太はクラス内から聞こえてくる言葉にどこか呆れていた。
振られるってわかってんだったらどうして告白なんてするんだろう ?
もしかしてワンチャンあれば、とでも思っているのだろうか。
何その運試し的な想いは ? 女の子に謝れ!
まぁでも確かに・・・ワンチャン狙いたいという気持ちはわからなくもないが・・・
というか俺は自分からクラスの女子と関わりをもったことがほぼない。うん、その通り俺はクラスカースト三軍に位置する、いわゆる陰キャというやつである。
とりあえずイケメンは爆発しろ。
「おはよ~」
そんなことを思っていると不意に教室の入り口から鈴のようで綺麗な声が近づいてきた。
ちらりと視線だけそちらに向けると、そこには並べる言葉などいくらでも見つかりそうな美少女の姿があった。
彼女ーーー神崎結女が入ると教室にいる男女のほとんどが彼女の方へと一斉に集まっていった。
一人の少女の存在が現れただけで、この騒がれよう。
それだけでクラス内で有名かつ人気があるのだとわかる。
整った容姿にきれいな銀色の透き通った髪の毛。どこか儚さすら感じさせる彼女こそが、今話題になっていた天子様である。
彼女は、男子からの猛烈なアプローチをすらりとかわし、俺の隣である自分の席に座った。
彼女が座ったと同時にチャイムが鳴り、朝の読書タイムが始まった。
俺はいつも通りラノベを手にして、読もうとしたときだった。
たまたま横の席の彼女を見ると、何かに悩んでいるような、曇った表情をしていた。
近くから見ないとわからないくらいの変化だったが隣の俺はすぐに気が付いた。
うん、これ話しかけていいのだろうか ? 俺なんかが・・・
女子とは事務的な話以外ほとんどしたことがないため急に緊張してきた。
まぁここでひよってもどうにもならないか。
俺は別に下心があるわけでもないためできるだけ自然な流れで話しかけてみた。 ほんとだよ・・・
「あの、神崎さん。どうかしたの?」
「・・・・・・」
えっこれって無視 ? やっぱ俺なんかとは話すらしたくないのか ? いやそんなはずない
「あの、神崎さ」
俺が、言葉を言い終える前にチャイムがなってしまった。
「は~~~い、これから朝のホームルームを始めますよ~~」
「本はしまってくださいね~~」
担任の先生が教室に入ってきてそう言った。
俺は完全に話す機会を逃してしまった。
その日俺は、心がモヤモヤしたまま一日を終えたのだった。
ーーー翌日の早朝ーーー
俺は日課のランニングを終え、休憩がてら公園によっていた。陰キャだからといって運動音痴というわけではないからな。
自販機で何か買おうと思い向かった先に彼女、神崎結女はいた。
だが昨日とは打って変わって満面の笑みを浮かべていた。
なんと、野良猫と会話していたのだ。
「にゃんにゃんにゃにゃ・・にゃ~~」
「にゃにゃんにゃ~~」
やば・・神崎と猫の組み合わせが尊すぎる。
そう思い彼女を見つめていたら、必然と目が合ってしまった。
「なぁっっ・・・」
彼女はそう声をあげ、沸騰したように顔を真っ赤にしてしまった。
何ともいたたまれない雰囲気に俺は目をそらしてしまった。
「き、今日は、い、いい天気だな~」
俺はそう口にしその場から離れようとした。だがもちろん彼女に呼び止められてしまった。
「まっ待ってください。あ、あの西城君ですよね ?」
「いっ今の見ましたか ?」
赤面しながらそう言う彼女に俺は一ついたずらを思いついてしまった。
いたずらというか、昨日俺は神崎に無視されてしまった。
その仕返しにちょっとからかってやろうと思ったのだ。
「あっ、神崎じゃないか。どうしたんだ急に ?」
「・・・・・・い、いえ学校の外で西城君と会ったのは初めてだな~と思いまして。」
「なんだ、そんなことか」
「俺はてっきり、猫と会話していたのを見られてとっさに話しかけたのかと思ったんだが。」
「なぁっ、見てたんですか・・・」
赤面してる彼女はやはり相当なかわいさだった。 うん、下心はないからね。ほんとだよ。
「大丈夫だよ。別に言いふらしたりしないから。」
「ほ、ほんとですか ?」
昨日までは、天子様の話題は呆れながら聞いていた俺だったが、今になって少しわかった。
「お前めっちゃかわいいな」
おっと口に出ていた。自分でも驚くほどに、さらりと。
まぁ彼女ほどの美少女なら、かわいいといわれることくらい慣れているだろう。
そう思い彼女を見て俺は固まった。
なんと彼女が、先ほどとは比べ物にならないほどに顔を真っ赤にしていた。
例えるなら、そう、リンゴのように。
う、うそなんでだ。
まさか俺の言葉で照れたのか!!
おっとあぶない陰キャ特有の勘違いをするところだった。
ここは考えても仕方ないもう一度試してみるか・・・
「やっぱ、神崎って何度見てもかわいいな」
いやこれは流石にキモイか ? ってもう口から出てた
でもこれで理由がわかる。あぶないな、ここで勘違いしていたらただの痛い自意識過剰マンになるところだったぜ。
そしてもう一度彼女を見る。すると彼女は口をパクパクさせ、顔を真っ赤にしたまま地面へと倒れてしまった。
「これは・・・気を失うほどキモイということか!!」
ーーー神崎結女視点ーーー
「んん~~~」
今日は朝早く起きてしまいました。
あまりこのような時間帯に起きることは少ないのですが、久々に朝の散歩でもしてみますか!!。
そう思い公園へとやってきました。
でも公園といってもあまりやることがありませんね。
今日はスカートで来てしまいましたし、あまり運動もできません・・・
そこで、のども乾いていたので自動販売機へとやってきました。
ですが私はその隣にいる子から目が離せませんでした。
なんと、かわいい猫ちゃんがいたのです。
その猫ちゃんはとてもとてもかわいくて、つい夢中で話しかけていました。
ですが、そこで事件は起こりました。
なんと、こんなはしたない姿を西城君に見られてしまいました。
すると西城君は急にこんなことを言ってきました。
「お前、めっちゃかわいいな」
そういわれた後、私は頭が空っぽになりました。
あ、あの西城君にかわいいと言ってもらえました私。えっなんですか、これ夢ですか?
そして少しの間をあけ、西城君はまたも私の心臓に攻撃してきました。
「やっぱ、神崎って何度見てもかわいいな」
そういわれたとたん顔が余計に沸騰したように熱くなり、もう何も考えられなくなってしまいました。
そのまま私は情けないことに気絶してしまいました
「お~~い、神崎・・・・・・結女起きろ」
「はぇっ」
私は、自分の大好きな人の声で目を開けました。
驚きましたがすぐに気が付きましたこれは夢なのだと。
だってこれ以上私が幸せな展開なんてありえませんからね。
そう思いせっかくなので夢でくらい素直に話してみることにしました。
「ねぇ、西、いや、奏太君。私あなたのことがずっとずっと好きだったの」
やった!、初めて素直になることができた。
よし!!、そろそろ起きて今日こそ学校で西城君と話すん
あれ私もう起きてない ?
頬をつねってみる。「あれ痛い?ってええぇぇぇ~~~」
うそ、私、急に告白したやばいやつになってない ?
西城君の方を見ると、なんと顔を真っ赤にして口をパクパクさせていた。
だけど、私と目が合うと何か覚悟したようにして口を開けた。
「ほんとに俺なんかでいいのか ?」
私は反射的に口が動いていました。
「奏太君、あなたじゃないとダメなんです。私、実は去年の高校受験の時にあなたと会っているんです。私はその時あなたに一目惚れしました。奏太君に振り向いてもらえるよう頑張ったんですよ。
だからあなたでないとダメなんです。お返事聞かせてくれますか ?」
奏太君は私に微笑みかけながら答えました。
私はきっと生涯この言葉を絶対に忘れません。
「俺だって初めて会った時から結女しか見てないよ。」
「天子級美少女と実は両思いだった」をご覧いただきありがとうございます。
時間が空いたら、本編の方書かせていただきます。
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