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VS魔王軍

「さて、私たちに喧嘩を売った愚か者達に天誅を与えにいくわけですが……」


「あのーアリスさん……?」


「なんですかお兄ちゃん? そんな他人行儀に」


「いやあ……まともに戦って勝てるとは思えないんだけど何か手があるのか?」


「さあて……何のことでしょう、分からないですね」


 まさかのノープラン!?


「アリスー……やめようよ、絶対死ぬって……相手が悪いよ相手が」


「お兄ちゃんもなかなかビビりですね?」


「そりゃあ魔王軍と戦おうなんて命知らずじゃないだけだって」


 魔王復活を企んでいる魔族がいると聞いたことはある。王立軍が各地で討伐をしているという話も知っている、しかしそんなことの当事者になるとは思ってもみなかった。


「まあまあ、私たちには武器があるじゃないですか!」


「武器って……アレかよ……魔族相手に役に立つのか?」


 魔族ぐらいに後れを取る私ではありませんよ! あの辺一帯を吹き飛ばすくらいの量はありますからね!」


 どうやらやめる気は無いらしい。俺が巻き込まれることは確定のようだ。


「じゃあいきますよ!」


 村の出口に向かうアリスの後に付いていく。


「お、アリス様じゃないですか! お出かけですか?」


「ええ、魔王軍をちょっとしばきに行こうと思いまして」


「はっはっは、賢者様は冗談がお上手だ」


 そんな門塀と話をしてからいよいよ村から出てしまった。


 そして村の近辺にある岩山に向かって歩いていったのだった。


「なあアリス、俺がいる必要あるか?」


「愚問ですね。お兄ちゃんがいるからやる気が出るんじゃないですか!」


 そうして村からほど近い岩山にたどり着いてしまった。本当に近いので魔族が活動するには目立ちすぎる気もするのだが、アリス曰く『魔族は村に興味を持っていない』とのことだった。


「自意識過剰と言われるかもしれませんがね、連中は私をなんとかしておきたいんですよ。賢者なんて敵に回すと面倒な奴ですからね。自軍に引き入れられないにしても潰しておこうって話なんでしょう」


「分かっててわなに飛び込むのか?」


 アリスは不敵に笑った。


「まさか! ご丁寧に岩山に陣営を張ったのが運の尽きですよ」


 アリスは岩山の裏面、斜面が急になっている場所に回り込んでいった。


「おい、こんなところで何をやる気だ?」


「まあ見ていてください」


『ロッククラッシャー』


 岩の塊に穴が開く、ぽっかり遠くの方まで開いた穴にアリスはストレージからありったけの爆薬を詰め込んだ。


「さて、離れますよ? 巻き込まれますからね」


 さささっとアリスは岩山から離れていった。俺も急いで後をついて行く。


「さて、このくらい離れれば大丈夫ですね」


 俺たちは岩山が遠くに見えるところまで非難をしていた。そしてアリスは小さく呪文を放った。


「ファイアーボール」


 ひゅうと小さな火球が飛んでいき、岩山の穴に着弾した。瞬間に岩山が『消え去った』文字通り光に包まれたかと思ったら衝撃が俺たちの場所まで届いて肌を撫でていく。


 そして炸裂後には……綺麗な平地が後に残っていた。


「ふぅ……魔族だかなんだか知りませんが私に喧嘩を売るとこうなるんですよ!」


 そして、俺たちは跡地になった平地で魔族がいた痕跡を探す羽目になった、何しろ魔族の欠片でも見つけないとただ単に岩を砕いた迷惑な賢者という扱いになってしまう。


「アリスー! そっちには何かあったか?」


「うーん……肉片らしきものはあるんですけど……野生動物との区別は無理ですね」


 俺たち創作をしばらくした後、一枚のプレートを見つけた。それは俺たちの畑に置かれていたものと同じものだった。まだ文字を彫り込んでいないのでただの銀板になる。


「あ、それですよ! それ魔力銀じゃないですか! 魔族しか作れないので立派な証拠になりますよ!」


 こうして俺たちは一枚のプレートを持ってアリスが討伐をしたとギルドに報酬金の請求に向かった。


「で、コレが証拠ですか?」


「そうです! プレシアさんもギルド職員ならコレが魔族のものだって分かるでしょう!」


 申し訳なさそうにプレシアさんは言う。


「大変申し訳ないのですが私も現物を見たことが無いもので……王都に鑑定依頼を出しておきますね、報酬はそれからということで……」


「そんなー……」


 大変紆余曲折はあったものの、数週間後にギルド経由で報奨金がようやく入ってきてアリスは俺を食事に誘ったのだった。

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