1/12
プロローグ
「そういえばどう? 僕の事好き?」
何を自信満々に聞いているんだこの王子は。
私は間髪入れずに返す。
「んな事あるわけないで」
「惚れ薬を持ったんだけど」
惚れ薬。
それはどんな相手だろうと時間制限で好きになる薬。
しかし既に惚れているものには聞かないという代物だった。
「ああもう好き、大好き、愛してるっ」
恥ずかしい!
真っ赤になるのを自覚しながら壊れたロボットのように好きを連呼する。
私は残念ながらこの婚約者である王子が好きだ。
だけど死んでも隠し通すと決めたのだ。
……だから。
だから盛るなぁっ!!
薬を、盛るなぁぁぁぁっ!!!!