58/59
乾杯
魔王城大広間。
傷ついたクリムの臣下に代わり、ブルチズやチリドペッパやブーハの臣下たちが、来場者にワインやエールやフルーツジュースをついで回る。
みんなのグラスが飲み物で満たされると、クリムは挨拶を再開した。
「本日は第九百九十九魔王城完成記念パーティーにお越しくださいまして本当にありがとうございます。魔王の皆様、ギルド『スイートパルフェ』の皆様には、築城も手伝っていただきました。そのおかげでこのような立派なお城が出来上がりました。心より感謝申し上げます」
一同、拍手する。
「この場には、悪魔も魔族もエルフも人間も天使もいます。そのことがとても嬉しいです。私は、魔王として生まれ、魔王として死んでいきます。もしかしたら、これから先、私とこの場にいる皆様との利害が対立することがあるかもしれません。もしそうなっても、対立のあとには必ず和解があると、信じています」
クリムはみんなの顔を見回した。みんなはクリムを見ていた。
「話が長くなりました。それではっ」
グラスを高く掲げ、
「乾杯っ」
「かんぱーい」
人間が、悪魔が、エルフが、天使が、勇者が、魔王が、その臣下たちが、近くにいる者とグラスをぶつけ合った結果、大広間には重層的な音が響いた。それよりも平和な音を、誰も知らなかった。




