招待状
木々が黄葉し、その葉が落ちて、季節は秋から冬へと変貌した。
みんなの助けもあって、城はほぼ完成した。
クリムは最上階の魔王の間にて文机に向かっていた。
樹齢八千年の大木から作った質の良い紙に羽ペンを走らせる。
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招待状。
今年も残すところあとわずかになってしまいました。
いかがお過ごしでしょうか。
私事ではございますが、我が魔王城が近々完成いたします。つきましては、十二月二十九日に魔王城完成記念パーティーを開く予定です。もしご都合が合いましたら、ぜひお越しください。貴殿に会えることを心から楽しみにしています。
会費は無料です。
日時 十二月二十九日六時三十三分。
場所 第九百九十九魔王城(詳細は別紙参照)。
なお、この日、この場所に限定して、戦闘行為の一切を禁じます。もしそのような行為があった場合、退場していただきます。どうかご理解のほどをよろしくお願いします。
魔王クリム
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王都の印刷所まで行って、手書きの招待状を複写魔法でコピーしてもらう。それからギルドへ行って招待状を配り、お菓子通りのシオや図書館の館長バーヘンや依頼を通して知り合った知人にも招待状を配り、最後にバニラ村の村長さんへの招待状を魔法郵便局から発送した。魔帝様や他の魔王への招待状は、サビに頼んで届けてもらった。
一人、大天使キーケにだけは、どうやって送ればいいのかが分からず、結局、送れずじまいとなった。
何人の人が来てくれるだろうか。
魔王の間に戻ってきたクリムは、一日中歩き回って疲れた足をいやすべく、寝椅子に横たわって天井を見つめていた。
と、そのとき、木材のきしむ音がした。次の瞬間、視界が傾くのを見た。寝椅子から転げ落ちるクリム。
「あー」
寝椅子の脚の一つ折れてしまったのだ。
「おかしいな。まだ新品なのに」
不吉だ。
何かよくないことが起こらなければいいが。
そう思いながらクリムは、折れた寝椅子の脚を消し去った。




