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超絶やさしい魔王とクズの極み勇者  作者: 仙葉康大
第四章 金とプライド
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大穴へ

 大穴ネロコの周りには、何台もの馬車や箒が停まっていた。

 つるはしを持った人々が、穴を見下ろし、その底深さに顔をひそめている。


 穴の内壁に人が一人通れるほどの道があって、そこを歩いて下って行けば、底にたどり着けるのだが、ほとんどの者は委縮して、その足を動かそうとしない。


「ねえ、そこのあなた」


 アンが呆然と穴を見つめてばかりいる男に声をかけた。


「下へ行く気がないなら、そのつるはしをよこしなさい」

「え? いや、ダメだ。これは俺のだ」

「なら買い取るわ。金貨三枚で」


 法外な値段に屈した男は、つるはしを差し出した。


「クリム、あなたも調達しなさい」

「私はいいや」

「何言ってるの、ここまで来て黄金を掘らないつもり? あ、そこのあなた、それよこしなさい」


 とアンはまたつるはしを手に入れ、それをクリムにわたした。クリムとしては別にいらなかったが、アンの機嫌を損ねると面倒なことになるから、金貨と交換でもらっておいた。


「下へ着くまでにどれぐらいかかるかなあ」


 クリムが歩き出すと、


「そっちじゃないわよ」


 とアンが言った。


「こっちじゃないの?」


 クリムは、細く下へと続く道がある方を指さした。


「そんな道をちんたら行ってたら日が暮れるわ」

「じゃあどうするの?」

「こうするのよ」


 クリムの手を引っ張って、アンは駆け出した。アンが何をしようとしているのか、悟ったクリムだったが、時すでに遅し。


 二人は大穴の中心へ向かってジャンプした。

 勇者の笑い声と魔王の絶叫がねじれ、からみつきながら、大穴の底へと落ちていった。


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