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陽光
魔法空軍の飛行士たちが毒に体力を奪われ、次々と墜落していくなか、猛スピードで高度を上げる箒があった。
「何だ、あれは」
飛行士の誰もが視線を送ったその箒。乗っているのは、魔王と勇者である。
「このまま突っ切る」
「アンちゃん、あれっ」
息をするのが苦しくなってきた辺りで、暗雲から、人間の頭ぐらいの大きさの、毒の塊が発射された。
毒の雨ぐらいなら強化魔法で防げても、あんな毒の塊をくらったら、さすがのアンもただではすまないだろう。そう考えたクリムは、座席の交代を提案した。
「しょうがないわね」
二人は入れ替わり、クリムが前、アンが後ろにまたがった。
「前があんまり見えないんだけど、何が来ようと止まらないわよ」
「いいよ。全部消せるから」
飛んでくきた毒の塊を消しながら答える。
雲は狂ったように毒を吐きだしてきた。毒の矢、毒の槍、毒の網。それらをすべてかわすことなく消し去って、二人は雲へ突っ込んだ。
クリムの体に雲が触れた。
たちまち雲は消えて空が晴れた。
陽光が斜めに村々を照らしていく。
「アンちゃん」
「なによ」
「吐きそう」
「わっ、こっち向かないで」
クリムのゲロはバニラ村のどこかへ落ちて行った。




