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超絶やさしい魔王とクズの極み勇者  作者: 仙葉康大
第二章 戦争と人間
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新聞記事

 朝の空気が森を満たしている。


 クリムとその臣下二十名は丸太や切り株に座って、朝食を食べていた。クリムが王都で買ってきたパンとシュークリームのおいしさに悶絶(もんぜつ)しながら、誰もかれもが今朝の新聞記事について話していた。


「魔王様、かっこいい」


 ゾンビのミトパが新聞記事の写真を指さした。


「いいえ、かわいいですわ」と吸血鬼のヌレカ。

「かっこかわいいです」


 スライムのルピスは興奮して体内が泡立っている。

 クリムは頭を抱えた。

 王都で一番有名な新聞「シュガデルフィアタイムズ」、今朝の第一面の大見出しはこうだった。


「またまた勇者アンの非道 王女のシュークリームを盗む」


 記事を一部抜粋すると、こんなことが書いてある。


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 三十四日の九時ごろ、第二王女殿下ラステカ様は、お菓子通り一番地の2のシュークリーム専門店「ミゼラブル」に(おもむ)かれ、シュークリームを購入した。しかし、勇者アンは何をとちくるったのか、王女のシュークリームを奪い取り、それを口にした。食べられたシュークリームは分かっているだけでも十個以上。


 このゆゆしき大犯罪に国防魔法軍が動いた。しかし、空軍所属であり、ステラカ様のペットでもある純血種のドラゴン、マリアンヌが、お菓子通りを焼き払えという誤った指示をだされ、やむなく咆哮(ほうこう)。竜の炎にすべてが無きものになろうとしたそのとき、謎の少女が空を飛び、無効化魔法を発動し、炎を消し去った。


 少女は重態におちいったが、王都最大手のギルド「スイートパルフェ」の受付嬢ナコが回復魔法をほどこし、ことなきを得た。アンへ厳罰を望む声もあるが、一方で、誰であろうと勇者アンを捕らえることなどできないのではないか、という諦めの声もある。


 ギルドの受付嬢であり、アンとの親交も厚いナコは、「勇者としての自覚云々というより、人としてなっていない。今回の件に関しては、強く説教しておく」と語る。


========================================================================================


 臣下たちが騒ぐ。


「やっぱり勇者は悪い奴なんだ」

「そうだそうだ」

「だって盗むの、ダメだもん」


 別にアンを擁護しようというのではないが、今回の事件、王女にも非があったように思われるし、臣下の教育の意味でも、言っておかなければならないことがある。


「確かに誰かのものを盗むのはダメだけど、新聞を信じすぎるのもよくないよ。最近の新聞はよく嘘も書くから。自分の目で見たことと、確かな情報筋からの情報以外は信じちゃダメ。噂や伝聞の類は、必ず裏をとること。いーい?」

「はーい」


 みんながそろって返事をした。


「魔王様、俺はこっちの記事の方が気になるのですが」


 ベルギーヨが新聞を開いて、「シュークリーム窃盗事件」の関連記事を見せた。

 そこには、大きな文字で、「謎の少女ギルドへ加入か」と書かれていた。


「そうだった。みんなに報告があります」


 クリムは立ち上がり言う。


「私、ギルドのメンバーになっちゃった」


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