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第二種接近遭遇。その2

SS-514”せいらん”


「アウノン、排水音。浮上する心算です。」

「了解。」

我々は国籍不明潜水艦を追跡してきた。

目標は二軸潜水艦でディーゼルエレクトロニックの酷く煩い潜水艦だ。

まあ、人民解放軍の潜水艦よりはマシだ、恐らく、フォックストロット級程度だろう。

しかし、昼間で17ノット。

シュノーケリングで14ノットを出している。

正直、U-XXIに近い。

現状では、200m以下に潜行していないので。

恐らく、300m以下には潜行不可能なのだろう。

我々は大陸棚の手前280mの変温層の下で息を殺して待っている。

日本近海を回遊する潜水ドローンの情報とSOSUSの通信端末により全ての情報が入ってくる。

目を瞑って耳で戦った時代の潜水艦戦は消えて無くなった。

短魚雷を二発摘んだAI潜水ドローンは脅威度の高い物を選択して日本近海に近づく脅威を捕捉している。

我々潜水艦隊の目となっている。

「目標、潜望鏡深度で固定。」

「何をしているのだ?」

「不明。アトラス03(P-1)監視中。」

データリンクのモニターを監視する戦術士。

「警告を行なうべきです。もう既に巡航ミサイルの射程圏内です。」

アトラス02の夜間赤外線映像では船体にシリンダーらしきものは写って無かった。

船体も舟形だ。

垂直発射器やカタパルトは付いていない。

断言できる船体が小さすぎるのだ。

「いや、それなら昨晩の浮上の時に行動を行なっているはずだ。何か他の意図が有ると思った方が良い。」

「他の意図とは…。」

「微速前進。深度180ゆっくりだ。」

「微速前進開始。深度180へ。」

「深度180。」

「BMD統合指令部より入電、”我、国籍不明弾道弾の迎撃に成功セリ、当該区域、各機。落下物に注意されたし”です。」

「弾道弾?」

「該当地域に…。この範囲ですね。」

国籍不明潜水艦の推定進路だ。

「なるほど…。コレは困ったな。そういう事か…。」

「何でしょうか艦長。」

「いや、私も君も未だ生まれて無い時の話だ。昔の偵察衛星は低空弾道飛行で連続写真を撮って情報を収集していた。まあ、学生がスマホを風船で飛ばす様な物だ。」

「そうなのですか?」

驚く副長。

マイクロ波多重通信が当たり前で簡単に映像を圧縮して送ることが出来る世代では俄かに信じられないだろう。

「そうだ、つまり映像を見るにはスマホを回収しなければ映像を獲るコトは出来ない。つまり、あの潜水艦は、回収チャーター船なのだ。」

「フィルムの回収を?」

「だ、ろうなあ。あの程度の性能だ…。」

ICBMが有るのは驚きだが、恐らく、人工衛星を製造する能力は無い様子だ。

単純にロケットのペイロードが足りないのだろう。

電子機器もダイオードとトランジスタ程度の物しかない。

そうなると、出来る物は決ってくる。

偵察衛星は基本的に、重い。

米国、KH-12(キーホール)偵察衛星とハッブル宇宙望遠鏡は何故か大きさと重さが同じという不思議だ。

しかも、補助部品は偵察局から航空宇宙局に譲って貰ったと言う話まである。

「迎撃に成功したと…。」

「そうだな、これは敵対行為だ…。まあ弾道弾を打った時点で敵対行為だが…。相手に通じるかな?」

この世界は未だ人が乗って操縦する兵器(ウェポンキャリアー)が常識だ。

我々の戦術は未知か、SFの世界だろう。

「目標前進、ディーゼル機関音、接続水域に向かいます。」

「イカンな。」

「アトラス03警告を開始します。”かえで”と”かつら”も急行中。」

「始まった様だな、よし、我々も接近しよう。一番、二番に魚雷装填。注水は未だ。」

「一番二番、魚雷装填。」

「航海長、真後ろにつけるなよ?後部魚雷発射管が有るかも知れない。」

「はあ?後部魚雷発射管!解かりました。」

驚く航海長。相手はソレほど古いのだ。




空は何処までも青く波は穏やかだ。

『ガイドビーコン受信できません。』

「クソッ!ココまで来て!」

「落ち着け、副長。回収ポイントには来ている。視界は広い、目視で発見できるハズだ。」

浮上してハッチから頭を出し、潮風を髪にうけ、双眼鏡で周囲を監視している。

長閑な青い空をかき消す様に大きな影が走る。

ソレに続く爆音と風。

「な!!」

白い巨大な4発飛行機が低空で通り去ったのだ。

飛ばされない様に帽子を押さえる。

「何処の機体だ!」

「赤い丸、大日本帝国(ヤーパニッシュ)です。」

「プロペラがありませんでした!4発ジェットです!!」

「クソッ!劣等人種め、新型機か!!」

「艦長!!九時方向に船影!コチラに向かってきます!」

「既に探知されていたのか…。仕方ない。急速潜行!!進路右。」

「「「了解!」」」

最後のハッチを閉め、ロックすると階段をすべり下りる。

「ハッチ閉塞、急速潜行!!」

「深度150まで潜れ!」

「了解!!深度150まで。」

バッテリー残量を頭の中で計算する。

未だ公海上のハズだ。相手も無茶はしないだろう。

変温層に隠れてやり過ごすしかない。

しかし、あの新型機、後ろが長かった、磁気探知ブームだとしたら。

対潜哨戒機かもしれない…。

「スクリュー音。二基、駆潜艇の様子です、更にもう一つ。音源を確認。」

ソナー手が密かに叫ぶ。

「2隻に飛行機1か…。大盤振舞いだな。進路変更!微速前進、大きく右に舵を取れ。」

「目標、進路変更…。」

報告を聞き終わる前に船体が大きな音に包まれる、まるで鐘の中に居る様だ。

苦しそうに耳を押さえるソナー手。

「探信音!!近い!!発見されました!!」

素早く補助の者と交代した。

「ばかな!アクティブソナーだと?精密水中探査できるのか?」

「解かりません!囲まれています!!」

更に船体が細かく振動する。

「くそっ!!劣等人種め。仕方が無い今回は勝ちを譲ってやる!浮上して旗を上げろ!!」




浮上した国籍不明艦は艦尾にカイザーマリーネの旗を掲げ転進した。

しかし、我々の知る独逸皇帝海軍旗では無く。

白地に中央鷲で、左上が三色、鉄十字でなく鍵十字に為っている。

大日本帝国から供与された書籍での”ドイツ第二帝国海軍”の軍艦旗だ。

旋回するP-1のパイロットは返礼で返す。

アウノンはドイツ帝国海軍潜水艦になり。

そのまま海へと帰った。


なお。

後日、在スイス日本大使館に今回の対応に関してドイツ帝国外務省から大日本帝国へ抗議の申し入れが有り。

大日本帝国は対応に苦慮した。


そして、ドイツ第二帝国は公式に日本国の存在を知り。

政権与党のドイツ社会主義国家労働者党、アーデルハイト・ヴェッセル首相の要求で外交使節団の派遣を議会で承認した。

そう、新しい文明の接触が起きたのである。

(´・ω・`)主人公が出てこない!!しかし。ココまで。

(´・ω・`)続きはゆっくり書きます。

(´・ω・`)…。(オットー君の筆が進まない時に書いているので…。)

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