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第七種接近遭遇その3

「フフフフフすばらしい…。私達の疑問が全て…。くやしい。何故私達で…。」

大日本帝国遺伝子管理省所轄の、麹町富士見にある本庁はあくまで事務機能的な仕事が多い。

生理科学的な取り扱いが多い牛込区戸山研究所…。

ココ(戸山)で帝国の全ての方針(人選)が決められているのを知る人間は少ない。

人口を増やすために形振り構わぬ政策が、権利の集約を進めた為だ。

その運営の為だけに私は生まれた…。

いや、作られたのだ。

私は多くの姉妹の中から選ばれた完成品だ。

「所長…。」

私の母体()は不確実な技術段階での数少ない複製クローン成功体だ。

彼女の元(原体)は大変優秀で、母性の強い母親だったと記録に有る。

「このレポートの情報を集めなさい…。」

「あの…、日本国の防諜がかなり厳しく。」

「解かっています!何としてでも集めるのす!皇国の未来が掛っています。」

思わず声を荒げる。

「「はいっ!」」

一列に並び硬直する妹達。

歳は違うが皆、同じ顔の姉妹(コピー)だ。

「ごめんさない…。許して。でも。全ての答えがココに有るのです。多くの廃棄品(妹達)を救う方法が。」

解っている、我々の技術では不可能なのだ。

「あの…。」

言いたいコトは解る、同じ遺伝子を持つ個体。

「卵子分割で正常な赤ちゃんの発生は3割を切りました…。その子の細胞年齢は発生時で20歳…。20歳では40歳の遺伝子と同じ…。母体としても、もう耐えられない。」

まさか細胞の分割後に遺伝子をリセットする方法が有るとは…。

私達は気が付かなかった…。

悔しい…。

死んでいった姉妹達(不良品)を救う方法が有った。

ただソレだけ。

あの男達は簡単に成功した。

成功例が有るだけで…、その方法は全く分からない。

あの日本は蛋白質の解析を行い合成できる手法が有るのだ…。

しかも高度な品質で。

「あくまで日本国の研究結果です。詳しい事も真偽も不明です。」

思わず爪を噛み、髪を掻き毟る。

「わかってます、あの男達はたった100日でココまで調べたのです。私達が80年かけて解からなかったコトが…。」

サンプル提供の同じ株を分けた大尉()の…。

全てを暴いてしまった…。

イライラする。

私達が間違っていた…。

認めるしかないのだ。

「しかし、内務省が…。」

「なんとかします。あの老婆共にも解かる様に。どんな手を使っても。私達に生きる道は無いのです。」

もう時間が無い。

我々の遺伝子プールの限界が見えている。

このままでは、国体どころか社会の維持すら…。

親指の爪から血が滲む。

痛みは感じない。

口に鉄の味が広がる。

しかし、ココに答えは有る。

誰もが認めさせるしかない事実だ。

近衛兵に妹達が居る…。

わたしの全てを掛けても良い。

妹達に知らせば帝に銃剣を向ける結果に成っても…。

甘美な言葉。

白い上質な紙(普通のコピー用紙)に印刷された紙の束、あの日本製だ。

あの男達の日本が出した答えの一部だ。

海軍士官()が命がけで持ち出した研究資料の一部。

今は断片的な情報でしかない。

しかし。

レポートの題名は大日本帝国の全ての臣民を誘惑する。

いや、今まで子殺しをしてきた、わたしの心ですら救ってくれる。

今まで多くの妹達(廃棄品)の死を見とって来た、あの心の苦しみを救ってくれる。

手足の無い姉妹達を作る必要が無い。

血を吐きながら子を産む母体、その生まれた子の正常でないカエル(無脳症)の産声。

あの叫び声に耐え、産む機械になった姉妹達の魂を救う言葉。

わたし達をイザナミの呪いから解き放つ甘美な麻薬。

「どんな犠牲を払っても…。なんとしても手に入れるのです。」

机の上の紙束の文字は全て覚えた。

内容は断片的で…。

理解できない。

我々より遥かに高度な技術があの世界に有る。

彼らの実験結果はわたしの様な無知蒙昧な凡人を引き付ける。

この無機質な紙の表紙だけで私の罪が救われる。


”人工子宮計画:東京大学医学部”

”IPS細胞による生殖細胞の補完について:京都大学IPS研究所”


全ての答えはココに有る。

只の偶然を目指す偽りの科学ではなく完全な発生を再現できるのだ。

子孫(民族)の繁栄の為、全て()を掛けるに値する。

何故なら、私達(クローン)は子宮の無いヒルコなのだ。

あとがき


やあ、(´・ω・`)ようこそ、スローターハウスへ。

この話はサービスだから、まず読んで 落ち着いて欲しい。

じつはこの話は下らない思い付きをだらだら書いたダケの話なんだ。

始めから、ギャグのつもりだったんだ…。

科学が進んでイージスアショアが無くなるわ、IPS細胞でも生殖細胞が作れるようになるわ…。

(´・ω・`)未来の話は解らんなー。

短編で終わらす心算が随分と筆(比喩的表現)が滑って、こんなに長い話に成った。

お陰で、主人公の名が”概念”に成ってしまい、書けないエピソードやなんやらで収集が付かなく成ってしまってな。

(´・ω・`)b何とか(無理矢理)完結させる事が出来て結構うれしい。


(´・ω・`)次のお話は…。カスミさんの続編を完結させます…。(ジェット戦闘機の空戦が難しくて投稿するレベル成って居ません。)


(´・ω・`)…。(しんどい話だったわ。)

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― 新着の感想 ―
そろそろ続きをお願いします
[一言] 面白かった。女だけの国は宝塚ではなく、精神おばちゃんの世界だった。主人公は概念になっちゃうし。
[一言] コリーナさんは米軍兵なんかな? まあそりゃあ売国するよね。 痛いほど解る>日本帝国
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