第一種接近遭遇。
(´・ω・`)カスミさんの別パートです。
細かいコトは”カスミさんの婚活大作戦。”をご覧ください。
(´・ω・`)…。(取り合えず”カスミさん”の前書きだけ読んでいただければ。)
『警戒衛星に感あり。地上に高度赤外線発生。』
第一報で皆が息を呑む。
「火山の噴火ではないのか?」
『12時間前に燃料注入中と判定していた目標β-102です。β-101は沈黙中。』
βは固定発射母体装置、恐らく発射基地に相当する番号だ宇宙港なのかも知れない。
しかし、未だこの人類は宇宙に出たことが無いハズだ。
「首相官邸にミサイル警報を。」
デフコンが一段上がる。
BMD統合指令部内でブザーと共に壁の表示ランプが一段移動して将兵達が不安な顔になる。
『車力アショアより入電、捜索を開始セリ。DDG-183あおば、データリンク開始。』
「目標燃焼停止、弾道軌道、着弾までの予測、45分。」
「着弾予想地点は?」
「未だ出ません。」
時間が過ぎてしまう。
一段目の燃焼が終了した後では衛星での追跡は難しい。
指令部内に緊張が走る。
『総理より入電、”危険度の高い物は迎撃せよ!”以上です。』
「了解、これより、迎撃準備体制に移行。」
『こちら、J-WACS504目標空域に到達。索敵開始。データリンク問題ナシ…。』
『小松基地、F-15J、二機スクランブル発進。コールサイン。イーグル01及び、02』
小松の機体は改修済みで情報収集ポッドを下げたF15JⅡ改だ。
ミサイルキャリアーとしては素晴らしいが、探知能力では低い。
F3を上げられないのは辛い。
数が少ないので、脅威度の高い、北と南に要撃として集中配備されているのが原因だ。
『こちら、DDH-184”かが”、F35B、ターセル02発艦しました。』
日本海…では無くなった海を遊弋中の”かが”から艦載機が発進した。
F35の赤外線センサーなら目が広がる。
但し、間に合えばの話だ。
「早期警戒衛星、目標を再捕捉、二段目点火を確認。」
「二段式か…。コレはICBMだな。」
どうやって誘導しているのだろうか?
1960年代の科学技術で弾道弾による精密攻撃は不可能だ。
核兵器の様な必中半径を無視する様な攻撃半径を持つ兵器で無いと…。
背筋が凍る。
この世界のドイツは核開発に成功しているのか?
弾道弾の弾頭に積める大きさの…。
『タリホー、J-WACS504こちらでも、目標を捕捉した。』
多点観測が始まる。
途端に流れる情報が増える。
『こちら、車力アショア、目標着弾地点、千葉県勝浦沖東、20kmを中心に半径50km範囲。』
「迎撃せよ!」
思わず叫ぶ。
『迎撃モード!』
『了解!!我、”DDH-183あおば”FOX01SM-3ⅡB発射。』
『車力アショア目標追跡中。”あおば”FOX01、テレメータ確認、誘導シークエンス正常…。』
『こちら、ターセル02、”あおばFOX01”、目標進路に向かって移動中。』
全ては順調だ…。後は…。
「ターセル02(F35B)が目標を捕捉できれば…。命中精度が上がるハズだ。間に合ってくれ。」
しばらく待つと音声が流れる。
『ターセル02目標を捕捉したが、赤外線発生量が少ない、目標は小型、偽装目標か判断できない。データリンクはすでに開始。』
モニターにはF35Bの追跡している長距離赤外線カメラの画像が映し出されている。
赤外線光度と波長を可視化した映像では、唯の白い光点にしか見えない。
「多弾頭式でしょうか?」
訪ねる副官。
正直、不安なのだろう。
この一瞬で護るべき国土を失う可能性が有るのだ。
「わからん、この世界のドイツ帝国はソコまで開発は進んで無いはずだ…。だが、ナチスドイツだからな。何故か第二帝国らしいが…。」
「月の裏側からの侵略者でないと?」
「悪い冗談は止めろ。この世界では俺達が侵略者なんだ…。」
あの、酷い映画を思い出す…。
ナチスが月の裏側に基地なんてキチ力゛イだ。
『目標との接触まであと…。10、9、8…。インパクト!』
赤外モニターに走る赤い閃光、小さな目標が一瞬大きくなり何かが飛び散る。
『目標!着弾を確認。』
「ふう、」
「「「よっしゃ!!」」やった!」
沸き立つ統合指令部。
『こちら、ターセル02目標は完全に破壊された様子だ。おめでとう”あおば”』
『”ヒャッホー!!(雑音)”こちら、あおば、ありがとう、ターセル02。車力アショア。イーグル01、02。J-WACS504もありがとう!』
肩を叩きあう。
「よし、着弾予想地点に一番近い艦艇は?」
「”かえで”と”かつら”ですね。P-1も二機が哨戒中です。」
「ああ、向かわせよう。ゴミ拾いだ。」
当初、2300tクラスDEとして計画されたが焼け太りで3900tまで拡張された30DDは、出来上がったのが4100tDDHという。
デコレーションケーキの様な装備で、密かに”人数と名前だけDE”とか”ステルスあさぎり”と揶揄されているヘリコプター搭載型護衛艦だ。
当初、22隻の計画だったが、半島のゴタゴタで26隻になった。
今と為っては大変有り難いが。
ご先祖なのか未来人なのかよく解からない、”大日本帝国海軍”を牽制するのには役に立っている。
相手は”大日本帝国海軍”だ、数が多い。
困ったコトに、相手は空母も潜水艦も持って居る。
アングルドデッキもカタパルトも無いがターボプロップエンジンの艦上戦闘機でかなり航続距離が長い。
一応、ジェット化も進んでいる様子だ。
但し、主翼の左右に付いたエンジンカバーが太い、映像ではミーティアの様な姿だ、恐らく遠心圧縮ターボジェットだろうと言われている。
後退翼でもない、到底、亜音速でも飛行できるデザインではない。
F-84戦闘機程度と考えている。
旧型の…。退役が進んでいるT-4練習機の方が高性能だ。
恐らく、電子装備も含めF-86D以下の性能だ。
潜水艦に至っては幸いディーゼル機関だがバッテリーは鉛蓄電池だと思われる。
フォックストロット級程度の性能だ。
無論、思い込みで無く、P-1哨戒機や、SOSUS、小型潜水ドローンの情報収集の結果だ。
どれ程、情報を解析してもその程度だ。
この世界に来てから打ち上げた情報収集衛星も活躍している。
月刊イプシロン改と言われるほど打ち上げた…。
GPSや気象衛星、通信衛星を補完するにはかなりの苦労が有った。
性能的には低いが、元々ソレほど複雑な構造ではないGPS衛星はピギーバック衛星で対応した程だ。
地表探査の為に多くの衛星とロケットを消費したが、この世界の全容は明らかになりつつある。
おかしな世界だ…。
ウラル山脈からこっち、シベリア、極東には人は居ない。
満州も南の方ダケ、中国は内戦中で、中東とアフリカ南部に未だ人は多い。
ヨーロッパの光りの量は18世紀より前だろう。
しかし、ドイツ軍の飛行場では全翼型6発爆撃機が並んでいる。
大きさから二万Km程度の航続距離が考えられる。
大陸間爆撃機だ。
ジェット戦闘機らしき物も映っている。
背負い式、二連装四基の戦艦らしき物もある。
北米大陸は人の多い南部と工場から黒い煙が町を包む北部。
その間に長い北米大陸を南北に分けるノーマンズランドと向かい合う野戦陣地。
テキサスやユタに人の光りは少なく。
フーバーダムもラスベガスも無く砂漠のままだ。
我々日本は”大日本帝国”と友好条約を結んだ。
少々、トラブルは在ったが…。
同じ日本人だ…。困ったコトに相手はコチラに親身になってくれている。
無論下心は有るようだ。
他の国との交渉も進むだろう。
但し、この世界は冷戦中だ。
何故か未だ生き残っている大英帝国と敵対する、西側の欧州連合を率いるドイツ帝国。
双方の仮想敵国である、東アジア及び西太平洋を支配する大日本帝国、大東亜共栄圏だそうだ。
主戦場は北米大陸で、ケベック州と南アメリカ合商国は欧州連合、ドイツに加わっていて、カナダと北アメリカ連合は大英帝国と同盟中だ。
悪夢の様だ…。歴史if小説だな。
思わず笑う、誰にとって都合の良い世界なのだろう?
「国防海軍は丁度、良い所に居たな。」
日本海軍だったが、大日本帝国海軍の居る世界ではヤヤコシイ。
最近はあえてそう呼ぶ者が多い。
北海道と本州等の日本列島が二つある時点で随分とヤヤコシイが…。
副長が答える。
「いえ、昨日から国籍不明潜水艦を追跡中です。」
(´・ω・`)…。(気が向いたら続きを書く。)