おっさん
「このクエストなかなか良さそうじゃねーか?」
「こっちのほうがいいだろー」
「今日も魚美味いぞ」
ギルドの中に入るとたくさんの人たちがいた。みんなの喋る姿はとっても楽しそうだ。しかし、もっと楽しいことが椿には待っている。
「おいアリア、早く役職んとこ行こーぜ」
「今向かってる。そう焦るな。」
「おうよ!」
そうしてギルドのホールの奥へ進むと3メートルはあるやや大きなドアが見えてきた。
「さあ、ここだ。」
「よっしゃ!」
そう言って椿は勢いよくドアに手をかけた。
「失礼しまーー、、おおぁぅっ」
椿の顔スレスレのところを青い何かが横切る。レーザーのようなもので、とてつもない速さだった。そしてその直後、ドアの向こうから威厳のある太い声が聞こえる。
「何者じゃ!」
「すみません、キリアム様」
と、アリアが椿の前に出てすぐに謝った。
「アリア、誰だその小汚い男は」
「おれの名前は戸部 つ」
「お前には聞いておらん!」
キリアムが割り込んだ。そんなキリアムに椿はつい怯む。
「名前は戸部 椿。椿はこの町のことが何もわかっていない上に役職もまだ決まっていないというので、ここに連れてきました。」
「そんなことは聞いておらん!その男はアリアにとって何なんだ!ボーイフレンドか何かなのか!それを聞いておるんじゃ!」
キリアムはさっきよりも大きい声で尋ねてきた。尋ねるというよりは脅すような感じだったけど。
「ははっ、嫌ですねキリアム様。この男はついさっき出会ったただの知り合いみたいなものですよ」
アリアがそう言った瞬間、キリアムの顔からは怒りの表情が消える。しっかり見るととっても優しそうだ。
「そうかこの男、いや、椿君といったかな。椿くんは『ただの知り合い』だっだのじゃな。それならいい。それで今日は椿君は自分の役職を調べにきたのかな。そうなんだね、じゃあ、中に入っていいよ。ほら。」
なんだこのおっさん。おっかないと思ったら急に優しくなって。『ただの知り合い』ってのもなんか引っかかるし。そう思って椿はアリアの方に目をやる。
「さっきはあんなだったけどほんとは優しい人なんだよ?だから、そんなに怖がらないであげてね。」
アリアが笑いながらそう言った。アリアの笑顔を初めて見た椿だが、惚れそうになるくらいの可愛い笑顔だった。というか、半分惚れてしまった。おっといけない、おれには千冬先輩がいるんだ!平常心、平常心。
「それじゃあ、入ろうかアリア」
「どんな役職か楽しみだな!椿!」
少し気が抜けてしまったが、緊張感を取り戻した椿はアリアと共には部屋へと入っていった。