前奏
人の言葉はなんと脆い。
人の心はなんと脆い。
残酷に潰していく一つの世界
それでも気づかない。当人は気づかない。
気づかないで今日もほら
【アイツはキモい】と嘲笑う。
※この言葉が重いと感じる方は覚悟してお読みください。重い事を受け入れられる人のみのお読みください。
AM6:00
布団から出ようとすると少し肌寒く感じて…
もう少しだけ微睡みに浸りたいけれど、時間
もあまり無いから身体を無理やり起こしてみ
る。そうでもしなきゃ遅刻する。
早朝にも関わらずカーテンから漏れる光は
強くて嫌でも朝がきた事を告げている。
AM6:40
支度をして戸締りを改めて確認。
うん。大丈夫。ちゃんと締まってる。
誰もいない家に一言「行ってきます」
そう告げて少しだけ虚しさを覚えたけど
もう慣れた。
家から歩いていつも通りの電車に乗る。
憂鬱なんてもう今更。
人の視線は私を見ちゃいない。だから大丈夫
そう自分に言い聞かせる。
同じ学校の制服を着た生徒から少し離れて
愛用しているiPodを使えば…
ほら何も怖くない。
音は聞こえない。私はここにいない。
世界から消えることのできる。
私の中から世界が消える。少しの安らぎ
たった20分
それだけでもいい気分転換だ。
AM7:40
本数の少ない分生徒が多く乗っていて、
友達に会えるだろう。
嫌いな奴にも会うだろう。
私の今日はまだ終わってくれない。
友達と最寄りの駅で待ち合わせ
約束をしたわけじゃない。
いつも自然と合流する。
いつもの4人。たまに5人。
このメンバーは好きだ。
あれ…でも…
あの子は最近笑いかけてくれない。
話しかけてくれない…
返事を、して…くれない…。
あぁ…そうか。簡単な事だ。
あの子からも私が消えた。
あの子の世界から私が消えた。
それだけだ。なんて事無い。
でも、私の世界からあの子は消えないから
あの子が気づいてくれるまで、
気づいてないフリをしていよう。
そしてまた、笑っていよう。
AM8:00
4階にある私のクラス
他クラスが朝から賑わう中それなりに静かだ
人が少ないのもあると思うけど…
自分の席に座って、荷物を整える。
今日は確か、何の授業があったかな?
「アイツキモくね?」「確かにww」
ヒソヒソ聞こえる声。いつもの事。
気にすることは無い。ただの烏合の衆だ
そう考える私とは対照的に心は嘆く
(私が何をしたのだろう)
(そんなにキモいかな)
そんな私を消したくて、iPodを
イヤホンを耳に付ける。
【前奏終了】
前奏お疲れ様です。
彼女のココロはあなたにとってどう見えたのでしょうか。
今の対人社会私には濁って見えます。
彼女もそうなのでしょうか?
貴方はどうですか?