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「ケンタウロス」が自宅のリビングに出たときの話

作者: 丸ノ内レン

これは僕が高校生の頃の話だ。


塾からの帰り道、母からメールが届いた。


「家のリビングにケンタウロスが出ました。まだいると思うので男のあなたが退治してください。」


ケンタウロスかぁ、、帰るのが憂鬱になってきたな。


以前、ケンタウロスが自宅に出たのは、僕がまだ小学生だった頃だろうか。


あの頃は親父が丸めた新聞紙でやつけてくれたけど、


「今日は帰りが遅くなる」と言っていたので僕がやるしかないだろう。


家に帰ると母が丸めた新聞紙を僕に手渡してきた。


僕は少し腹が立った。


なんで男だからといって、僕が退治しなきゃいけないんだ。


虫ならまだしも、ケンタウロスは男女関係なく怖いんだぞ。


しかし、ここでやっておかないとまずい。


ただでさえ「ケンタウロスは一匹みたら百匹いると思え」とよく言われているし、


ここで逃がしたらそれこそ何匹に増えてしまうかわからない。


僕は、意を決してリビングのドアをあけた。


すると目線の先には弓をこちらに向けて立っているケンタウロスの姿があった。


「冗談じゃない!新聞紙で勝てるか!」


僕がドアを閉めて退却すると、ドアに向けて矢が放たれた。


その矢は半分ほど貫通した状態でドアに突き刺さっていた。


これはまずい。飛び道具相手に丸めた新聞紙では分が悪すぎる。


しかし、僕には一つの秘策があった。


ケンタウロスはリビングの窓際にいたので、その秘策を実行できると僕は確信した。


母にリビングの窓の鍵がかかっていないことを確認すると


僕は玄関から外に出て、外からリビングの窓際まで移動した。


窓から家の中をのぞくと、ケンタウロスはまだドアに向けて弓を引いたままである。


「よし!今だ!」


僕は勢いよく窓を開け、


塾からの帰りにドラッグストアで買った「ケンタジェット」をケンタウロスに勢いよく吹きかけた。


すると、ケンタウロスはすぐに弱りうずくまったので、僕は丸めた新聞紙でとどめをさした。


「コレのおかげだよな、、」


親父は昔これに頼らず、新聞紙だけでケンタウロスを倒していた。


「僕はまだまだ親父を越えられそうにないな。」


帰ってきた親父の背中がいつもより大きく見えた。


(追記)


次の日の塾の帰り道、また母からメールが届いた。


「今日はミノタウロスが3匹出たので、すぐ帰ってきて欲しい。」



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― 新着の感想 ―
[良い点] ちょ……無理だ……。 [一言] 俺はまだまだ越えなければいけないんだ……この果てしない男坂をよぉ……。
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