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最弱異端児は夢を見る  作者: 時雨
第二章 駆け出し旅人は……
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第四十七話 シハイ

「な、何なんだ!?」



下から男の困惑する声が聞こえる。

その直後、開いた穴から自分の体が落下していく。

自分で動かせない体が地面に急接近する。

叫びそうになるものの、喉も自分の意思で動かせない。



体は、一回転して音も立てずに地面に着地する。

不思議と衝撃はなかった。



「だ、だれだてめぇ!」

「お前ら……つぶす。」



喉から自分でも驚くほど重い声が響き、そして体が地面から離れる。

まっすぐと、シュナの近くにいる男に飛び込んでいき……蹴りが腹へのめり込む。

その直後、男が体をくの字にしてものすごい勢いで飛んでいく。

ただ……体が蹴りを放っただけでここまで人が飛ぶ……

何が起きているか理解しきれずに、頭が処理落ちしそうになる。



だれが、自分の体を操っているのかは分からない。

まるで、自分の体が自分のものではなくなったような感覚だ。

いや、糸で操られているような感覚といってもいいだろう。



ふと、吹き飛ばされて壁にめり込み、気絶しているのが目に入る。

蹴られた場所にうすい光が少しだけ漂っているのが見えた。

これは……この謎の力が作動して起きた現象という事だろうか。

本当に……謎だ。



「あ、あの時の化け物か!?」

「だから寝ている時に殺しておけばよかったんだ!」



物騒な声が耳に入る。

よくみると何人か見覚えがある気がする。

たしか……馬車を襲ったメンバーの一人だったはずだ。

やはり……堪えていないようだ。



「気をつけろ!未知の技能を使ってくるぞ!」



そのことばで、他の男たちが一気に距離を取る。

だが、それと同時に自分の体が正面の一人に向かって飛んでいく。

全身を覆うように見える光の手の部分だけが少しだけ輝きを増す。

そのまま、腕が勝手に振られてこぶしが男の顎に突き刺さる。

軽い衝撃が腕に走り、男は真上に猛スピードで吹き飛ばされていく。

天井に当たる鈍い音が響き渡り、そのまま男は落ちてこない。

たぶん、頭が天井に突き刺さったのだろう。



そのまま、体は流れるように次に近くにいた男まで飛びこんどは横腹に蹴りが突き刺さる。

横にくの字のようになり、横に吹き飛ばされて倉庫の棚に衝突する。

棚が倒れて物品などが大量に落ち、ものすごい音を立てる。



それを気にしないように体は勝手に動き、次々に男をなぎ倒していく。

横腹への蹴りから、腹へのパンチ。

休む暇もなく体が勝手に動き続ける。



修羅の悲鳴が何度も響き、殴られる鈍い音が響き続ける。

手は少しだけひび割れて血が流れるものの、体は動き続ける。



「て、てめぇ!何しやがる!」



最後に残ったのは、シュナに猫撫で声で話しかけていた男。

他の男よりも装備が豪勢で、確かボスと呼ばれていたやつだ。

そいつは僕の愛刀を持って、シュナに突きつけている。

その様子を見ただけで、怒りが一気に増幅する。



「こ、これいじょう動いたら、こいつを殺すぞ!」



体が前のめりになり、飛びだせるように足が曲がる。

手がまっすぐに突きだせるように指はまっすぐ並ぶ。



「動くなど言っただろ!」



男が刀を少しだけ動かしてシュナの白い肌を浅く切りつける。

傷跡から赤い液体が少しだけ流れだし、きれいな肌が汚れていくのが見える。

怒りが……暴発する。



「ふざけんじゃねぇ……」



喉の奥底から脅すような声が出てくる。

そのまま、足を蹴りだし……男の方に飛んでいく。

手が無意識に手刀のような形になり男の心臓に狙いが定まる。



その瞬間、世界の速度が急に遅くなったように感じる。

頭の中で警鐘が鳴り響き、大切な事がこわれそうになっているように感じる。



このまま……突進すると……あの男は死ぬだろうと本能で察する。

たぶん……なにかしらの力が働くのだろう。

さしずめ、男の心臓を貫いてしまうというところだろう。

だが……それはだめだ。

人の命を奪うのは……ダメだ……

この男は生きている価値がない人かもしれない。

でも……それを決めるのは僕でもないし、僕が殺す意味もない。

もし、このまますすんだら……あとで絶対に後悔してしまうだろうと思う。



世界の時間が少しずつ加速して元に戻っていく感じがする。

できるのは……今しかない!



操られたような体を意識を総動員して動かそうとする。

だが……動かない。

なら……手に全ての意識を集中させる。

手刀の形になっていた手を……げんこつにむりやり変える。



そのまま、手が男の心臓に突き刺さる。

だが、貫かれる事はなくそのまま男は体が吹き飛ばされていく。



盛大な音を立てて吹き飛ばされていき、壁を貫いて他の部屋まで飛び出していく。

その直後、体の……支配が解けた。

次回、終末

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