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最弱異端児は夢を見る  作者: 時雨
第二章 駆け出し旅人は……
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第三十九話 手刀

「試合!開始!」



その声と共に、足を踏み出そうとする。

その瞬間、



「チッ!」



前に飛び出そうとしていたのを無理やり体の向きを変えて横に飛ぶ。

その直後、さっきまで自分のいた場所にナイフを持った男が突っ込んでいた。

この速さ……まさか風魔法で体を押し出しているのか!?

確かに、攻撃魔法ではないからルールは破っていない。

相手とは魔法を使った状態で素早さは互角。

パワーはどう見てもあっちが上回っているから……こっちの方が不利という事だろう。

出来る限り相手には怪我をさせないようにしたかったが、そんな余裕はなさそうだ。



「ウグワァァァァ!」



小ぶりなナイフを振り回しながら突進してくるのを、ぎりぎりで避ける。

くそ……解決策が見つからない……



「早くやりなさい!そんなチンケなガキなんて相手にしてないで!」

「ウグワァァ!」



同じように突進を続けてくる。

まったく同じパターン……もしかしたら考える力……思考回路が退化しているということだろうか。

生気を失った目、野生動物のような唸り声、まさか……



「お前に一体いくらかけたと思っているの!高い薬で強くしてやったんだから早くやっちゃいなさい!」



まさか……危ない薬を使ったということだろうか……

異常な筋肉の量に、この速さ。

そして、自我をほとんど失っているようなこの様子。



薬などを使って筋力を強制的に引き上げた結果、副作用で自我を失ってしまったという事だろう。

普通・・の人には使うのを禁止されている分類の薬を複数使ったということだろう。

……本当にヘドが出る。

同じ人を何かの道具みたいに強くしてそれと同時に壊して……



「本当に……ムカつく……」



小さな声で呟く。

怒りが心の底から少しずつ湧き上がってくる。



「『起動』……」



解決策を見つけ出すため、とりあえず魔境眼を起動させる。

視界に光が灯る。



「あぶね!」



突撃してくる男をよけながら、とりあえずナイフを刺してみる。

だが……全く効かない。

少量の血が飛び散るものの、すぐに傷がふさがるのが見える。

薬で……回復力も上げているのだろうか。

なにも出来ないこの状況にいらいらがさらに増える。

こんな……理不尽に……何もできないのか……



「ふざけるな……」



静かな怒り。

それが表面に少しずつ漏れ始める。



それと同時にどこかで見た事のある現象。

体から出た薄い光が腕全体を覆い始める。

そして、体が軽くなる。



さらに、頭が冴えわたるようにすっきりとする。

なにか腫れものが一気に消えたような感覚だ。

一つの、成功する根拠のない作戦が頭に浮かぶ。

うまく行くかはわからない、一回限りの作戦。



「やるしか……ない!」



まず、魔法袋から耳シリーズの一つを取り出す。

長く白い耳、ウサ耳だ。

それを頭に着けて、いつでも作戦を実行する準備をする。



「ウグワァァァァァァ!」



突撃を紙一重で避けて、最後の確認を魔境眼を通して行う。

場所は……首か……



足を思いっきり曲げて、踏み出す準備をする。



「ウグワァ!」



再びこっちに突進してくる男を確認して……タイミングよく……上に避ける。

思いっきり上にだ。



「ウワァァァ!」

「なんなんだ!?」



力を加減して飛んだものの、吹き抜けを超えて天井に頭が付きかける。

それと同時に会場が一気に騒がしくなる。



「ウグワァ?」



男はきょろきょろとあちらこちらを探している。

正常な思考が出来ていない状態なら、上に飛んだ事に気が付かない可能性にかけたのだが大丈夫のようだ。



その状態で片手に持っていたナイフを……投げる。

……だれもいない闘技場の床に。



体が、下へ降下していく。

そして、男の真後ろに音もなく静かに着地する。

そこから、目に見える一つの場所に狙いを定める。

魔心臓とは別の所に存在している光が少々強くなっているところ。

魔力の流れがいくつも集まっているところ。



何をすればいいのかは頭の中に浮かんでいる。

だが、何が起きるかは分からない。

でも……やるしかない。



「うりゃぁ!」



小さめに飛び、男の後ろから首筋へ突撃する。

そのまま……薄い光をまとった腕を光が集まっているところへ……打ちつける!



「ウグワァ!?」



腕の光が男の首筋の光へ少量流れこむ。

その瞬間、光がさざ波を起こして男の体中の光が思いっきり震える。

僕が無意識に流し込んだ光に拒絶反応を起こすように。



「ウグ……ワァ……」



男が前のめりにスイッチが切れたように倒れ込む。

そのままドシンと大きな音を立てる。

男は、プルプルと震えていたもののすぐに動きは止まった。

死んではいない。

ただ、気絶しただけのようだ。

大した傷を負わせずに倒す事が出来た。

これだけでもよかっただろう。



「しょ、勝者!挑戦者!」

次回、博打。

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