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最弱異端児は夢を見る  作者: 時雨
第二章 駆け出し旅人は……
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第三十五話 試着

周囲の空気が一気に凍りつく。

シュナが着ていたのは……水着。

海などで遊ぶときに使うものだが、水中戦闘にも使われる事がある。

僕の視界にうつった物は、布の面積がとてつもなく少なく肌の大部分が露出しているもの……

た、大切なところが見えかけてる……



大慌てで、シュナを中に閉じ込める様に扉を叩きつけて閉じる。

これ以上大衆の面前であられもない姿を見せるわけにはいかない。



「お主ぃ!閉じ込めないでほしいのじゃぁ!」

「それよりも、なんでそんな服を選んだ!というか服じゃねぇ!」



まさか、こんなものを隠し持っていたとはおもわなかった。

たぶん……他の服の間にこっそり隠し持っていたんだろう。

色仕掛けには……惑わされない!

べ、別にちょっと可愛いとなんて思ってないから!



無理やり、あらぶる心臓を押さえつける。

冷静になったとたん、急に羞恥心がわき上がる。

なんてことを考えてしまったんだろう。

シュナのあの姿を無理やり頭の中から消し去る。

煩悩よ消えろ煩悩よ消えろ煩悩よ消えろ



「そろそろ、わらわを出してほしいのじゃ……」

「まともなのを着たら出してやる。」



なんか、犯罪臭の漂うセリフが口から出てしまった。

まぁ、今言うべき事はこれしかないだろう。

衣擦れの音が扉の向こうから聞こえてくる。

ここで思いっきり開けるほど、僕は変態ではない。



「終わったのじゃ。」

「今回は大丈夫なんだよな。」

「もちろんじゃ。」



慎重に扉を開け、中を見る。

そこには、きれいなワンピースを着たシュナが佇んでいた。

白を基調に構成されていて、足元に近づくにつれてピンク色に変わっている。

蝶をベースにした刺繍が施されていて、美しく舞う妖精のような見た目になっている。



「きれいだね。似合う似合う。」

「褒めても何も出ないじゃろうがな。」



シュナの頬が少しだけ赤く染まる。

やっぱり照れても可愛い。

この服はオシャレ用に買ってあげた方がいいだろう。

お金もまだ余裕があるし、大丈夫だ。

個人的に、着せ替え人形みたいにしてみたいというのもあるが。



「他のも着てみてよいじゃろうか。」

「うん、全然いいよ。」



シュナが試着室に再び入り、扉が閉まる。

衣擦れの音が再び響き、わくわく感が高まる。

次はどんな服が来るだろうか。

シュナの分の服は少し多めに買おうかな……



「終わったぞい。」

「おぉ、意外と速いな。」



いろいろな事を考えていたら思ったより速く時間が過ぎていたようだ。

さて……何が来るかな……



「これは……どうじゃ……?」

「――!?」



最初に目に飛び込んできたのは、なめらかな灰色をしたタイツ。

無駄な肉があまりない、すらっとしたきれいな足だ。

その後に飛び込んできたのは、肩ひもの無い露出の多い服。

腕は惜しげもなく大衆の面前にさらされている。

つつましげに膨らんでいる胸を主張するような服の胸元に、太ももを全く覆い隠さないぐらい短い服の下の部分。

そして、申し訳程度についている襟だけの物が首についている。



確か、一度マサトが見せつけてきた雑誌の中にこんなものがあった記憶がある。

確かに可愛いと思う……

可愛い……けどなにか足りない。



「あぁ、これだ。これを付けて。」



魔法袋から最後に必要なパーツを取り出して、渡す。



「こうでよいのじゃろうか。」



素直にシュナはそれを頭に付ける。

渡したのは、ウサ耳。

うん、これでこそバニーガール。



「って何やってるんだ!?」



ついつい、謎の誘惑に負けかけてしまった。

正常な思考が、異常な光景によって完全停止してしまっていたようだ。

切断していた頭の回路が再び接続されて、起動を開始する。

この状況……周囲に誤解を招きかねない……というかすでに招いているであろう。



「とりあえず、シュナ。露出が多いのは今から禁止。」

「え~なんでじゃぁ。」

「僕の血が完全に凍るほどとてつもない冷たい視線が飛んでくるからだよ!」



扉を閉め、中にシュナを閉じ込める。



「次の服に早く着替えてくれ……」

「了解じゃ。」



3度目の衣擦れの音が響き始める。

もう……こりごりだよ……



「終わったぞい。」

「もう一度聞く。本当に大丈夫か?」

「大丈夫じゃ。」



その言葉を信じて、扉を開ける。

視界に入ってきたシュナの様子を見て安堵する。

こんどは……大丈夫だ。



「なかなか似合っているな。身長が足りてないけど。」

「幼いと言いたいのじゃろうか……」

「いや、そういうことじゃ……」



シュナから怒っているような雰囲気が漂う。

着ていたのは黒と赤で構成されているマント。

幼い魔王のような雰囲気が出ていてなかなかかっこいい。

僕の謎の黒衣とは違って、いたるところが赤くなっている。



「なんだか、魔王みたいだな。」

「そうじゃろうか。」



シュナの顔が少しだけ嬉しそうになった。


次回、未定。

少々スランプの為、次話投稿まで時間がかかるかもしれません。

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