第二十九話 飛行
意識が徐々に浮かび上がってくる。
視界がすこしずつ開いていき、明るい朝日が目に差し込んでくる。
あのままどれぐらい寝てしまったんだろうか。
「う、うー!」
体を無理やり持ち上げる。
背中が……痛い……
「シュ、シュナ?」
視界にシュナが見当たらない。
どこにいったんだろうか……
「こ、ここじゃ。」
後ろから声が聞こえてきたので振り向いて見てみる。
すると、シュナは服を干してある下で何度も飛び跳ねている。
「こ、この服が取れないのじゃ……」
なんだかやっている事がとてもかわいい。
朝からほっこりする。
「しょうがないな……」
起きたばっかりでふらつく足どりでシュナに近づき、そのまま腰を持って持ち上げる。
以外と軽い。
「よっと。これ意外と楽しいのう……」
「どうする?空飛んでみる?」
「やりたいのじゃ!」
とりあえずず、シュナを空高くほおり投げ丁寧にキャッチする。
なんだか子供をあやしているような感覚だ。
「そういえば、そろそろ出なくてよいのじゃろうか。」
「まぁ、あんまりクルレスさんを待たせてもよくないからね……」
布などをしまい、魔物との戦闘のために僕は謎の黒衣を、シュナは赤熱の衣を着る。
この服で町に入る勇気はないので、町につく直前に旅人の服にもう一度着替える予定だが。
魔法袋からひさしぶりに円盤を取り出す。
シュナが魔力を入れて円盤が浮く。
「じゃぁ行くかのう……」
「そうだな。ってその前に少し待ってくれないか?」
「分かったのじゃが、何をするのじゃ・」
魔法袋から、魔法道具制作ペンを取り出す。
これは、魔法道具生成装置を参考に作ったもので手で細かい作業をするのに向いている。
浮いた円盤の下にもぐりこみ、魔法道具に刻まれている魔法陣を書き換える準備をする。
えっと、これが実行式で設定式は……これか……
「何をしておるのじゃ?」
「ちょっと面白い事を思いついてね。本来ならい今頃町に着いているだろうし、ちょっとだけずるをしちゃおうかと。」
頭の中で大体の計算式を組み立てる。
だいたい……これぐらいでいいか……
でも、その前に……
「シュナ、これを使うと魔力がだいぶ消費されるけど大丈夫?」
「全然大丈夫じゃ。」
最後の確認を終え、ペンを起動させる。
それで、魔法道具に刻んである魔法陣を書き換える。
これで……完璧だ……
下から抜け出て、円盤の上に乗る。
「シュナ、しっかりと掴まれよ。」
「了解じゃ。」
とりあえず座るところに背もたれを急ごしらえで作る。
一応二つ分だ。
「シュナ、起動させてくれ。」
「了解じゃ!」
シュナが魔力を注ぎ込む。
その直後、体が下に押さえつけられる感覚が体を襲う。
いや、円盤がものすごい勢いで急上昇したのだ。
「な、なんなのじゃ?」
「簡単な話なんだ。ただ、重力魔法の効果をあげて木の上を通れるようにしたんだ。これで相当早く行けるでしょ。」
一直線で向かえば、だいぶ時間短縮が出来るだろう。
これで、クルレスさんより早く行けるかも……
「じゃあ、最高速で行っても大丈夫なのじゃろな。」
「え!?」
シュナの顔がいたずらをする子供のように変わる。
まさか……
「いくぞい!」
「うそぉぉぉぉ!」
シュナが一番遠い魔法陣に魔力を流し込み、ものすごい速度で円盤が進みだす。
「あれ?そこまで怖くない?」
「お主も慣れたのじゃろうか。」
そこまで恐怖心を感じない。
これが……慣れかな……
「楽しいのう!」
「確かにな!」
空を飛びまわっているような感覚がとても心地よい。
これは癖になりそうだ。
「このまま町へいくぞい!」
「おう!」
風を切り、突き進む。
この速さなら……そこまで時間はかからないだろう。
とりあえず、魔法袋で今回のダンジョンの戦利品を整理しておく。
ドラゴンから採取したアイテムの使い道をかんがえると、ワクワクしてくる。
あたらしい防具……は間に合ってるからな……
「そういえばシュナの武器は何なんだ?」
「わらわは使ってないのじゃ。前使っていたやつは折れてしまったのじゃ。」
「だから武器を使ってなかったのか……」
シュナの武器を作るのもありかな……
ドラゴンの杖はたしか相当強かったはず……
そのあと、いろいろな事を考えて時間を過ごした。
そしてついに……
「お主!見えてきたのじゃ!」
途中の町が視界に入ってきた。
次回、未定
ランキングで頑張りすぎた……
書き貯めが……
みなさん、ブックマーク、評価、感想など宜しくお願いします。
下の文字クリックも宜しくです!




