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最弱異端児は夢を見る  作者: 時雨
第二章 駆け出し旅人は……
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第二十八話 地上

なんとなくもう一話投稿。

本日三話目

「ぐはっ!」



本日何度目かになる背中への衝撃に肺から空気が漏れだす。



「うきゃ!」



シュナの可愛らしい悲鳴が水の音と共に聞こえる。

閉じていた目をうっすらと開けて回りを確認しようとする。

また、どこかに飛ばされたのかと思ったが……



「ま、まぶしい!?」



思わぬ光に目を再び閉じる。

なんだ……このまぶしさは……



「シュナ!大丈夫か?」

「わらわも……大丈夫なのじゃ……背中がものすごく痛いのじゃがな。」



シュナの声が少し後ろから聞こえる。

水の音とは反対側からだ。



目を頑張って少しずつ開けていく。

やっぱり……まぶしい……



「『起動』!」



とりあえず視界を確保する。

魔境眼が起動して、視界の中にシュナの形をした光がうつる。

だが、そのほかにはなにもない。



「魔物の様子はなし、足場もなんだか不安定……」



全然、視界が明るさに慣れない。

ずっと薄暗い洞窟で過ごしていたからだろうか、なかなか視界が戻っていくのが遅い。

水の音もすでに止まってしまっている。



「お主……どこじゃ……」



シュナの形をした光が、右往左往している。

シュナもまだ視界が戻っていないようだ。



「えっと、だいぶ視界が戻って来たな……」



とりあえず、まだうっすらとしか見えない目を上に向ける。

すると、目に入り込んできたのは光り輝く点と真っ青の青空。



「……え?」



これまでのように無機質な天井や、ごつごつとした岩肌ではない、自然な感じ。

ここはまさか……



「ついに……地上に出たのか……?」



周りを見渡すと、生い茂る木が目に入る。

少し離れたところには石碑が立っている。

なんか、見覚えのあるような……



「すこしずつ見えてきたのじゃ!」



シュナが右往左往するのをやめ、こちらに向かって歩いてくる。



「ありゃ?あの石碑は……なんじゃったろうか。」



シュナが石碑に駆け寄っていくので、とりあえずついていく。

やはり、見覚えのある石碑……何だっただろう……



「お主……たしかこの文字読めたじゃろうか。」

「たぶん……ね……」



だいぶ戻ってきたとは言え、まだ完全には見えない目を凝らして石碑を見る。



「えっと……?”怒りを込めしものよ、新たな扉を解き放つために中心にそびえ立つ物を砕き散らせ”……!」



一気に最近の記憶を探る。

この言葉……たしか……



「僕が砕いた……石碑!?」

「それじゃ!」



確かに自分が砕いた石碑にそっくりだ。

すべての原因となったもの……



「終わったのか……ダンジョンは……」

「そのようじゃ……な……」



背中から地面に倒れ込む。

体にドッと疲れが流れ込んでくる。

もう……死にかけることも無いのか……



「わらわも疲れたのじゃ……」



シュナも地面に横になって上を見上げる。

ふと、思い立って体を確認すると水浸しになっている。

地上まで水で運ばれたのだろうか……



「このまま寝ると……風邪ひくな……」

「そうじゃな……」



とりあえず、疲れを無視して起き上がりシュナと背をむいて着替える。

今回ばかりは疲れ果てているのかシュナも変な事はしなかった。

ポイズンスライムにぎりぎりやられなかった旅人の服を一応着て、謎の黒衣と赤熱の衣などの衣服は近くの木の枝にかけて乾かしておく。



地面に簡単な布を敷いて、体が汚れないようにする。

全ての準備が整った瞬間、体が急に崩れ落ちてしまう。

体力を……使い果たしたのかな……



「一眠り……するか……」

「そうじゃな……」



戦闘の連続でうしなった体力を回復するいい機会だろう。



「なんじゃったのじゃろうな……あのダンジョンは……」

「普通ではなかったな……普通の魔法で戦う冒険者だったら歯が立たなかったな。」



魔法がほとんど効かなかったり、魔法無効化エリア、魔法を当てる事が出来ないぐらい素早い魔物など魔導師にとっては最悪の舞台だろう。



「バランスが大事だったのじゃろうな……」



たしかに、物理攻撃が効かないゴーストモンスターもいた。

魔法特化のシュナと物理特化の僕が一緒にいたからこそ攻略できたということだろうか。



「まぁいっぱい装備も手に入ったし、ちょうどよかったかもな。」

「そうじゃのう……そろそろ寝ようかのう。」



体から力を抜く。

暖かい陽気が体を包み込み、意識が遠のいていく。

そのまま、眠りの海へと落ちて行った。



―――この時、まだ僕は気が付いていなかった。

―――このダンジョンが、国が探し求めるダンジョンの一つであり、EX級の冒険者を一人飲み込んだ事を。

―――このダンジョンの攻略者が自分以外に二人・・・しかいなかった事。

―――そして……今回の出来事によって後々大変な事が起きてしまうという事を……

次回、未定。

次からはほのぼのゆっくりやっていきます。

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