第二十三話 怒リ
「”ここにわたしと同じようにたどり着いた者よ。ここのドラゴンは普通では倒せないようになっている”……」
急いで解読を進めていく。
シュナが相手にしているものの、時間はそこまでないだろう。
「"特定のアイテムが鍵となっている。種類はいくつかあるようだがどれか一つを持っていれば出来るだろう。私の場合は服だった。"」
宝箱やドロップアイテムにそれっぽいものは無かった。
もしかしたら……詰んでる!?
でも念のために読み進める。
「”余談だが、そのアイテムは性能が銘付きと同じ……またはそれ以上の為、これからも使えるだろう。服は特殊状況下では以上の性能を出すと鑑定で出た。”」
どうでもいい事ばかりだ……時間がないから早読みで進める。
「”入手したアイテムが特別なアイテムかどうかはそれを装備してここの近くにあるくぼみに手を差し込めば分かる。だが、それにはアイテム以外にも必要な物があるようだが詳しくは分からない。”……これだ!」
焦る心を押さえつけて念のため最後まで読む。
「”最後にドラゴンの弱点は……鱗の下だ。そこをある方法で攻撃すれば倒せる。私のこのメモが残っているか分からないが役に立つ事を願う。ファルズ・クイント"肝心なところが読めないな……」
とりあえず近くの壁を見渡す。
すると縦に長い窪みが壁にあった。
「シュナ!あと少し頑張ってくれ!」
「大丈夫じゃ!たのむぞい!」
窪みに接近して手を差し込む。
だが……
「何も……起きない!?」
手を何度も抜き差しするものの反応が一切ない。
嘘……だろ……
「反応してくれよ!頼む!」
叫ぶも、全く反応がない。
焦りだけが募っていく。
早くしないとシュナが……!
「シュナ!避けろぉぉぉ!」
シュナに向かって尻尾が振られる。
だが、シュナは鉤爪に気が取られていて気が付かなかった。
「跳べぇぇぇぇぇ!」
シュナの横腹に尻尾が激突し、壁に向かって飛んでいく。
そのまま壁に衝突し、シュナの体は赤い液体を流しながら崩れ落ちる。
「シュナァァァ!」
物理攻撃に対して耐性のある僕だったからなんとかなったが、魔法に特化しているシュナだから……
死も……ありえる……
頭の中に後悔の念と自分への怒りが沸き立つ。
もし自分が解読に時間をかけずにに助けに行けていたら。
さっさとあきらめてシュナを助けに行けていたら。
あの穴の開け方を見つけなかったら。
自分が石碑を壊さなければ。
シュナと共に殿を務めなければ。
シュナを冒険者として連れて行かなければ。
シュナと……出会わなければ。
「ふざけんなぁぁぁぁぁぁ!!!」
心の中で怒りが爆発する。
自分の不甲斐なさへの怒りだ。
「やってやろうじゃないかぁぁぁ!このやろぉぉぉ!」
自分への怒りがドラゴンへの怒りに無意識に変換される。
その瞬間、窪みに差し込んでいた手へ謎の力があふれだす感じがする。
「な、何だ!?」
魔境眼で見るも、見た事もない光が体から出て手の周囲に集まり始める。
それと同時に体に力がみなぎりる。
来ていた謎の黒衣も赤色の部分が少しずつ光り始める。
そして、ついに窪みから赤い光が発生してくる。
「ま、まさか……」
窪みにそって柄から剣が出現する。
赤い……ドラゴンが掘られた剣だ。
「これが……あのメモに記されていた鍵……」
剣の柄を握って、窪みから取り出す。
服が盛大にはためき、謎の力が流れ込んでくるような気がする。
「この形状……確か図鑑で見た滅竜剣に似ている……」
記憶を奥底から呼び覚ます。
だが、確か図鑑のは金色に光り輝いていたはずだ。
「まぁ、どうでもいいか……」
ドラゴンを改めて見ると、動きがものすごくゆっくりと見える。
「お、お父さん……?」
シュナが死にそうな声を出してこっちに呼び掛けてくる。
完全に幻覚を見てしまっているようだ。
そのあと、スイッチが切れたようにクタリとしてしまう。
「シュナ……少し待っていてくれ。すぐに倒して治してやるからな。」
とりあえずシュナの体に回復薬をかけておく。
これで多少の傷は治るだろう。
「さぁ……やってやろうじゃないか!」
次回、死。
なんか分からないけどランキングにのりました。
しかも前回をいきなり超えて103位……
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