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最弱異端児は夢を見る  作者: 時雨
第二章 駆け出し旅人は……
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第二十一話 粉砕

「これは……移動魔法じゃろうか……しかも特別なものじゃろう……」

「それ以前にここはどこだ?」



なんだか見覚えのあるところだ。

相当遠くまで続いているだろう階段。

なんだったっけ……



「まさ……か……」



ふと頭の思い浮かんだ仮説。

それを拒絶するかのように頭が痛みだす。



「う、ウソだろ……」

「どうしたのじゃ!?」



最悪の事態。

これまでの苦労が一気に無駄になった可能性。



「こ、ここは……そ、そんなはずは……」

「何なのじゃ?ってまさかなのじゃ!?」



シュナも気が付いたようだ。

見覚えのある階段に二本の通路。

記憶に残っている部屋の形。



「だ、ダンジョンの入り口……か……」



ここまで攻略してきた苦労が水の泡。

終わりも全く見当がつかなくなり、絶望が頭を支配していく。



「で、でも、まだ行ってない場所があ、あるかもしれないのじゃ!」

「いや、全ての部屋を調べ終わった自信がある……壁も壊せないぐらい硬いから隠し部屋もないだろうし……」



希望がどんどん失われていく、。

絶望と同時にストレスも増えていく。



「なんだったんだよ……これまでの苦労は……」



他の脱出方法を頭の中で考えるものの、ひとつもいい案が思いつかない。



「くっそ……!」



ストレス発散に壁を思いっきり殴る。

殴った所からヒビが入って崩れていく。

だが、一分ぐらいで壁は元に戻ってしまう。

なんだかむなしい。



「あっ!まさかなのじゃ!」



シュナがいきなり立ち上がり、何かしら行動を始める。

数秒後、壁が爆発で吹き飛ばされる。



「な、何をしてるの?」

「なぜ、ここだけは壁がこわせるのじゃ?」



シュナの問いかけについて頭の中で考える。

他の場所の壁はどこも壊れる事がなかった。

ポイズンスライムの粘液で溶けたような音がした所も、粘液が消えた床には何の傷も付いていなかった。

だが、ここだけは違う。

攻撃で壊す事が出来る。

だが、大体一分ぐらいで修復されてしまう。



「あっ!」



約一分。

約一分という猶予があるのだ。

その約一分の間に壁を壊しつづければ……



「この奥に何かある可能性が高いというわけじゃ。」

「ナイスだ!シュナ!」



小さいけど明るい希望。



「シュナ!魔力は……問題ないか。でも念のためにこれ飲んでおいてくれ。」



シュナに入手したすべての魔力回復薬を渡す。



「魔力使い過ぎで幼くなっても困るからな。」

「そこまで使わないじゃろうがな……」



一応シュナが魔力回復薬を飲み始める。

低級から中級までいっぱいあるので時間がかかるだろう。

というかお腹がタポタポになりそうだ。



「飲み終わったのじゃ。」

「って速くない!?」



ものの数分で大量の瓶が空になっていた。

食べるのだけでなく飲むのも速いのか……



「じゃあ行くか!」

「わらわが爆破させたら刀で土を吹き飛ばしてもらえるじゃろうか。」

「了解!」



シュナが『爆土球』で壁を吹き飛ばし、それを刀を使って後ろに飛ばしていく。

何回か掘り進めた後、後ろの壁が修復され始めた。



シュナの横に火の玉が出現して辺りを照らす。

そのまま順調に掘り進んでいく。



休んだら、そのまま土に埋もれて死。

休む暇もなく『爆土球』を発動させ続けて進んでいく。



「いったいどれほど続くのじゃろうか……」

「さすがにいつか終わりはくるだろう。たぶん。」



無駄話をしながら掘り進める。



「シュナ、そういえばどんな力を持ってるんだ?」

「そういえば説明してなかったのう。わらわが悪魔の目という技能を持ってるのは前、言ったじゃろう。」

「そういえば言ってたな。」



前にシュナの事をいろいろ聞いた時にサラリと言っていた気がする。

他の事に気を取られていて忘れていた。



「悪魔の目にはいろいろ効果があるのじゃが、代表的な物は鑑定、嘘を見抜く、診断じゃな。」

「なんだかものすごい便利な物だな。」



これだけの能力があったらいろいろな時に相当有利だろう。



「さらに使えば使うほど熟練度が一定以上溜まるごとに新しい技能を開放したり、強化したり出来る様じゃ。例えば心を読んだりすることもできるようになるようじゃ。」

「す、すげぇなそれ!」

「使う予定はないのじゃがな。人の心を読めるって事は意外と怖そうじゃしのう。」

「確かに、面白みとかは無くなるかもね。」



そのまま無駄話を一回切り上げて壁を掘り進め続ける。



「ん?」

「どうしたのじゃ?」

「少し爆破の音が軽くなった気が。」



そろそろ終わりが近いという事だろうか。



「もうすぐ終わりじゃろうか。」

「そうだな。」



シュナが最後に魔法を発動させ、壁の隙間から明るい光が漏れてくる。



「これが最後じゃな!」

「これで終わりだと願いたいな。」



壁が魔法で跡かたも無く消え去る。

そして視界に……明るい空間が入ってきた。


次回、絶望再び。

シュナは、強そうなイメージがありますが今回のダンジョン攻略編の中では弱いです。

理由は……察して下さい。

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