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最弱異端児は夢を見る  作者: 時雨
第二章 駆け出し旅人は……
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第二十話 激痛

「シュナ!避けろ!」



ミミックがシュナの方へものすごい勢いで飛んでいく。

この速度……耳を着けた状態で互角レベルじゃ……



「うりゃ!」



シュナが避けて停止したミミックに向けて刀を全力で叩きつける。

だが……



(カキン)



「か、硬い!」



刀を叩きつけてもビクともしない。

大した傷は負ってないとみていいだろう。



ミミックが反応して頭に向かって飛びかかってくる。

は、速い!

避けるのは間に合わない……なら!



「ぐ、ぐわぁぁぁっ!」



左腕を顔の前に持ってきて犠牲にする。

ミミックの歯が服を貫いて肉に食いこんで赤々と吹き出す血と共に鋭い痛みが走る。



「は、放せぇぇ!」



痛みが続く左腕を意思で無理やり動かして壁に叩きつける。

その衝撃でミミックを無理やりひきはがす。

ミミックの歯は僕の肉に刺さったまま抜けて行った。



「ちっ!シュナ、ちょっとだけ相手を頼む!」

「了解じゃ!」



シュナが爆魔法で応戦しているも、吹き飛ばしているだけでミミック自身はたいしたダメージは食らっていないようだ。

急いで魔法袋から宝箱から一つだけ出た高級回復薬の瓶を取り出して開ける。

このまま傷口に振りかけても、飲んでも大した意味がないだろう……

それなら、



「い、痛えぇぇぇ!」



無理やり突き刺さった歯を抜いた痛みに絶叫してしまう。

どくどくと流れていた血がふたを無くしたことでさらに勢いを増す。

このままだと、失血で倒れてしまうだろう……

その前に……



「くっ……」



服をまくりあげて傷口に回復薬を一気に振りかける。

し、染みて痛いが叫ぶほどではない……

傷口から煙が出て少しずつ傷がふさがっていく。

そして、傷があった場所は赤みを帯びた肉に囲まれ血は完全に止まった。

まだ触ったりしたら痛みが走るが贅沢は言ってられないだろう。



「シュナ!交代だ!」



シュナに念のために中級回復薬を投げ、攻撃役を引き受ける。

このままじゃ消耗戦でやられてしまうだろう……



「考えられる弱点は……」




箱の外側は硬くて全然効かない。

たぶん内側も同様だろう。

残った場所は……



「箱とふたのつなぎ目か!」



あの金具だけは、今だに攻撃出来ていない。

口を開けて飛んできた時に狙うしかないが、なかなか大変だろう。



「シュナ!透過の短剣を貸してくれ!」

「了解じゃ!」



短剣が円を描いて飛んでくるのを掴んで左手に持つ。

そのまま刀でミミックを攻撃し、標的をこちらに移す。



飛んできたミミックにタイミングを合わせて左手に持っていた短剣を口に挟みこませる。



「よし!このまま!」



短剣が挟まってあいている口に向かって刀を振る。

刀を意識したから、刀は短剣をすり抜ける。

そのまま刀は金具の場所に向かい……金具を破壊する。

ミミックはふたと箱の二つに割れて動かなくなった。



「や、やったか……」



念のためにミミックの残骸を確認するも、ピクリとも動かない。

もう、大丈夫のようだ。



「お主!腕の傷は大丈夫じゃろうか!?」

「大丈夫だ、一応回復薬で治した。」

「でも、まだ赤くなっておるぞい。『氷風アイスブリザード』」



腕に冷たい風が吹き、患部を癒やしていく。



「ありがとうな。」



赤みが少しずつ引いていくので魔法袋からきれいな布を取り出して巻いておく。

その上に服をかぶせるようにして着ようとしたが……



「あれ?服の穴が無くなってる……」



歯が突きささってあいていた穴がきれいにふさがっているのだ。

跡も全くのこっていない。



「自動修復機能が付いているのじゃろうか……」

「たぶんそれだな……」



なかなかに便利な服だ。

ポイズンスライムで壊れなかったのは、溶けると同時に再生していたからかもしれない。



「ミミックはなにも落としていないようじゃのう……無駄足じゃったか……」

「なんかいらいらするな。せっかく倒したのに報酬もないって。」



この苦労はなんだったのだろうと本当に思う。



「とりあえずこの魔法陣を使ってみるかのう……」

「この構成は見た事がないな……」



大きな魔法陣の上に立って観察するも、知っている構成がひとつも見つからない。

何の魔法陣なのだろうか。



「シュナ、これ発動できる?」

「魔力を注げば簡単にできるじゃろう。」

「じゃあやってくれる?」



シュナが魔法陣の中心に手を当てて、魔法陣を作動させる。

段々と魔法陣は光り輝いていき、視界も白く染まっていく。

光に耐えきれずに目を閉じると、突然体にかかる浮遊感。



「何が起きているんだ!?」

「わらわもわからないのじゃ!」



その直後、浮遊感が消失し尻に地面の感触が戻る。

ゆっくりと目を開けていくと……



「な、なんだこれは……」



目の前には大きな階段がそびえ立っていた。

次回、再生リスタート

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