第十九話 偽物
朝、投稿できなかった分です。
あの後、順調にダンジョンを攻略をしていった。
魔物も耳のおかげで簡単に倒せ、対して苦労することはなかった。
ただ、罠はいくつかあったため精神の疲労は大きかった。
宝箱はいくつかいいものがあったが一つしかレアはなかった。
基本は、低級魔力回復薬(品質低)から一番良かったレアでも透過の短剣ぐらいだ。
ちなみに透過の短剣は意識した物を通り抜ける効果があった。
攻撃力はそこまで無いが一応護身用にシュナに渡してある。
自分は一つ刀を持っているからだ。
魔力切れの時……はないだろうが、念のためという事だ。
新しい魔物も何体かいたが、大した敵ではなかった。
ドロップアイテムもそこまで美味しいというわけではなかった。
ポイズンスライムが落とすポイズンスライムグミは食べる気もしなかった。
たぶん食べたら毒でお腹を壊してしまうだろう。
ついでに新しい事も発見した。
魔法袋の新たな効果だ。
発見した原因はダンジョンの途中で魔法袋を落としてしまった事にある。
魔法袋を自分のところに呼び戻す術式は、まず魔法袋の事を頭に思い浮かべてからでないと発動しない。
確か、『イメージ力』というものだった。
言葉で起動する物は大抵この動作が必要だ。
魔境眼も刀もそういう風になっている。
だが魔法袋の事を頭にイメージした瞬間、出来事は起こった。
頭の中ににボーンモンスターの姿などのイメージがとある方向から流れて込んできたのだ。
唱えようとしていた術式を止め、流れてきた方向を見る。
方向も意識したわけではなく、なんとなくで感じられたのだ。
シュナと共に、その方向へ向かうと僕の魔法袋を足にひっかけて動きが遅くなっているボーンモンスターがいた。
姿も頭の中に流れてきたイメージと全く一緒だった。
とりあえず、バラバラにして倒して魔法袋は回収できた。
この後、いろいろ考えてみてたどり着いたのは魔法袋の特殊効果が原因という結論だ。
たぶん、自分以外のだれが持っている時に方向とかが分かるという事だろうか。
一応シュナには確証が取れていないので落としたであろう場所に心当たりがあったからそこへ向かったという事にしてあるが、これはいつか検証しなければならないだろうと思った。
シュナに違う情報を伝えると、そのまま信じてしまいそうだから怖かった。
また、所有権の共有方法などが分かったらその時にいろいろ調べてみるのもいいかもしれないなとも思った。
今いる場所は5階。
だんだん魔物が強くなってるのを感じるものの、まだまだ余裕だ。
いい加減終わりが見えてきてほしいころだがまだ全然終わりという気配がない。
「いつになったら終わるんだよこのダンジョン……」
「そろそろわらわも疲れてきたのじゃ……」
つい口から愚痴が漏れてきてしまう。
ストレス発散に壁を殴るも、ビクともしない。
手に伝わる衝撃にさらにストレスが増えていく。
「まぁ残された通路はまた一つじゃし、そろそろ終わりかもしれんぞい。」
「そうだな……小さな希望だけどな……」
佇んでいても何も始まらないため、歩みだす。
通路で立っている魔物を一気に切り伏せ、突き進む。
そして、目の前に開けた空間が現れた。
これまでとは変わって異質な空間。
中には魔物は存在せず、あるのは宝箱と大きな魔法陣だけ。
これまでに巡ってきた部屋とは雰囲気が全然違う。
「宝箱……じゃか……」
「いいものが入ってそうだけど……罠の可能性も捨てきれないね。」
一階であったトラップは本当に死ぬかと思った。
火魔法のトラップだったからよかったものの、他の属性の魔法だったらたぶんやられていただろう。
今回も火魔法とは限らないため、用心するに越した事はないだろう。
「どうする?あける?」
「せっかくここまで来たんじゃし……開けた方がよいのじゃろうか。」
とりあえず慎重に宝箱に近づいていく。
そしてそのまま宝箱を開けようとした瞬間。
「うわっ!」
宝箱のふたが勝手に空き、こっちに飛んできた。
ふたにはとげがいっぱい生えていて、歯のようだ。
とりあえず体をひねって避ける。
あ、危なかった……
「宝箱に擬態する魔物……さては……ミミック!」
「たぶんそれじゃ!」
宝箱だと思って近づいた人を食らい尽くすモンスター。
相当強いと聞いた事がある。
「こいつがどれだけ強いかわかるか?」
「たぶんこの階のモンスターよりもだいぶ強いじゃろう!」
もしかしたら耳をつけた状態でも苦戦するかもしれない。
撤退も考えたがそれをする気はない。
人の宝箱を手に入れたという喜びを一瞬でストレスに変えた罪……絶対に許すまじ!
次回、死闘。
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