表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最弱異端児は夢を見る  作者: 時雨
第二章 駆け出し旅人は……
69/212

第十七話 獣耳

「シュナァァァァ!」



シュナの体が赤き濁流に包まれる。

たぶん……炎魔法の罠だろう。

赤き濁流はどんどんこちらにも迫ってきている。

後ろに下がろうとする物の、急に腰が抜けてしまって下がれない。

シュ……シュナが……やられた……



頭の中で後悔の念が渦巻き始め、赤き濁流は容赦なく接近してくる。

そのまま死を覚悟した瞬間、濁流が目の前で停止し消え去った。



「シュ……シュナ……?」



動揺する心を抑えつけながら、濁流の奥を見つめ続ける。

そして、赤き濁流は完全に消えた。

その場に残っていたのは一つの人影。



「お主!大丈夫じゃろうか!?」

「お、お前こそ大丈夫だったのか?」



濁流にのまれて消えていったシュナが駆け寄ってきた。

しかも、無傷でだ。



「わらわは大丈夫じゃ。お主、怪我はないのじゃろうか。」

「あぁ、幸い目の前で濁流は止まったからな。そう言うお前はなんで無事だったんだ?」



あれほどの威力のありそうな濁流にのまれて無傷とは信じがたい。

よくて大やけど、悪くて死というぐらいだろう。



「よくわからないのじゃが、この服が反応して魔法を吸い取っておったのじゃ。残り魔力も増えておるのじゃし、不思議じゃのう。」



よく見ると、シュナの赤熱の衣が心なしか前よりも明るく輝いているような気がする。

これが赤熱の衣の特殊効果なのだろうか。



「体も心なしか軽いし不思議な防具じゃのう。」

「火魔法を吸って全体的に性能を上げた?それって銘付きの防具レベルじゃないか!」



銘付きは世界に一つしかないアイテムの事で、相当な力を秘めている。

名前もかっこ良いのが多く、憧れの物だ。

有名なところで行くと、勇者も追い求めた伝説の宝剣、『伝説の精霊剣(エクスカリバー)』なども銘付きだ。



「そのようじゃのう……お主の謎の黒衣も銘付きかもしれんぞい。」

「そうだったら嬉しいけど、まだ分からないよ……」



銘付きと同レベルの装備とはうらやましいが、自分の装備も少しだけ可能性があると思うとやる気が出てくる。



「そういえば、宝箱の下になにか気配があったぞい。」

「え?下??」



宝箱を動かしてみると、少し汚れてしまったような箱が佇んでいる。



「……怪しい。」



魔境眼で見るも、魔法の反応はない。

いつでも後ろに逃げれるようにしながら、恐る恐るあける。



「大丈夫のようじゃな。中身は何なのじゃろうか。」



シュナに言われるがまま覗きこむ、そこに入っていたのは……



「なにこれ……変装道具?」



中に入っていたのは、4つの耳。

えっと……黒い猫耳、茶色の犬耳、純白のうさ耳、小麦色の狐耳。

なんの為の道具だ……

変な趣味の持ち主しか使わなさそうな物だ。

個人的にはさわり心地がいいと思う。



「なんなのじゃろうか……この道具は……」



シュナが鑑定を作動させて調べるも、分からないようだ。



「考えられるのは、銘付きじゃろうか……それともなんか別の物じゃろうか……」

「さすがにこれで銘付きだったら……」



適当に猫耳を取って頭に付けてみる。



「お主が付けると意外と似合うのじゃが、服との落差がものすごい事になっておるのう……」

「凝視しないで!恥ずかしいから!」



顔をそむけてその場から逃げようとする。

出来る限り速くこの場から逃げたい……

だが、足を踏み出した瞬間。



「うわっ!」

「お主!?」



ものすごい勢いで壁が接近して衝突する。

くっそ……痛い……



「何が起きたんだ!?」

「たぶん……その猫耳の力じゃないじゃろうか。」



とりあえず普通に歩いてみるも、速度に変わりはない。

その後、軽く速めに走って見ると普通よりもだいぶ速く進める。



「これは楽しいなぁ!」



とりあえず部屋中を走り回って見る。

軽く走ってみたり全力で走ってみたり。

風を切る感覚が気持ちいい。



ちなみに全力で走って見ると、部屋の端から端まで一瞬でついてしまった。



「この猫耳の力は移動速度の上昇って所じゃろうか。」



今度はシュナが犬耳をつけてみた。



「ん?したからなんか気配がするのじゃ。なんじゃろうか……これまで戦った魔物より少し強い魔物じゃろうか。」



突如、シュナが呟き始める。

たぶん犬耳の効果は……



「敵の位置などが分かるってとこかな……」



その後、ウサ耳と狐耳も試してみた。

ウサ耳は跳躍力の上昇、狐耳は魔法の効果上昇の様だ。

ウサ耳でここから脱出できるのではないかという淡い希望も出たが、もし届かなかったときにリスクなどを考えて最後の手段として取っておく事にした。

自分で高いところまで飛んでそのまま落下死とか情けない事はしたくない。



「わらわは一応この狐耳をつけたいのじゃ。」

「じゃあ僕はこの猫耳だな。」



余った二つの耳を魔法袋にしまう。

今、他の人が見たら絶対変人に思われるだろうと、考えるもこのダンジョンの中では無意味の様だった。

小説説明欄の時に……シリーズを4つぐらい達成!

次回、獣耳をどう使うか!?

みなさん、ブックマーク、評価、感想など宜しくお願いします。

下の文字クリックも宜しくです!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ