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最弱異端児は夢を見る  作者: 時雨
第二章 駆け出し旅人は……
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第十五話 溶解

「シュナ!壁魔法使えるか!」

「大丈夫じゃ!」



ポイズンスライムの前に魔法陣が生成され、壁が出てくる。

土魔法の壁か……溶かされないか心配だが、少しの間は持ってくれるだろう。



「そういえば前やっていた、スライムの体内で魔法を使う事は出来るか?」

「出来ない事はないのじゃが、たぶん無理じゃろう。」

「なんでだ?」

「魔法陣も溶かされてしまうからじゃ。」



あのスライムはなんでも溶かしてしまうのか……



「てことは刀も!」



慌てて刀を確認したが、煙などが出ている気配もない。

溶かされてはいないようだ。



だが、この間に土の壁が溶かされていく音が聞こえる。



「くそっ!なんか方法はないか!?」

「どうするのじゃ?」



とりあえず刀を構えて応戦体制を調える。



「シュナ!縛魔法をスライムに!」

「了解じゃ!」



壊れた壁の向こうにいるスライムに縛魔法が掛かる。



「『起動!』」



魔境眼でスライムを凝視する。

だが……



「核が……三つ!?」



スライムの核を攻撃して、やられる前にやるのは大変そうだ……

普通のスライムの核は一つのはずなのになんで複数あるのだろう……

さすが変異体という事だろうか。



点が一つなら点。

点が二つなら線。

点が三つなら面。



刀を使って面を描いて三つ同時に砕けば行けるだろうか。

だが、面は方向的に大変な事がある。

とりあえず……



「二つ砕く!」



足を踏み出してスライムに接近する。

飛んでくる粘液を刀で弾いて避ける。



「うりゃぁ!」



一番切りやすい点を二つ選んで、線を描きそれに沿って刀を振るう。

よし!二つ砕けた!



スライムの体がドロドロに崩れる。

崩れた体で地面が音を立てて溶けて行っている。

死んでも毒は残るのか……



だが、崩れた体から一回り小さくなったスライムが出てくる。

残った一つの核で動いているのだろうか。



「シュナ!縛魔法をもっときつく!」

「くっ!間に合わないのじゃ!」



小さくなった体で縄の合間をくぐって出てくる。

そして、その小さな体でものすごい速度で接近してくる。



「くそっ!間に合わない!」



接近してきたスライムを切ろうとするも、刀を構えるのが間に合わない。

だが、体を張って守ろうとしたが股の間をスライムが潜り抜けてくる。



そのままシュナに素早く接近していく。



「避けろ!」



シュナは後ろに魔法道具を使って飛ぶものの、スライムの方が速い。



「くそ!こうなったら!」



刀を思いっきり握って思いっきり投げる。

刀は円を描きながら飛んでいき、スライムに突き刺さる。



(グシャッ)



残酷な音を立てながらスライムは潰れる。

体はバラバラになってあちこちに飛び、壁などを溶かしていく。



「核はつぶせたようだな……」

「ひゃぁぁぁ!?」

「どうした!?」



シュナの悲鳴にが耳に入り、慌てて後ろを向く。

すると……



「シュナ!服を脱ぎ捨てろ!」



シュナの服にスライムが付いていて溶かしていたのだ。

服がどんどんなくなって行くのが目に見える。



慌ててシュナの反対側を向く。

シュナの裸を見る趣味は……ない。



後ろで衣擦れの音が響く。

精神力を総動員して前を向き続ける。



何日たったかと思うぐらいの時間が経ち、衣擦れの音が止む。

シュワシュワという溶ける音がするという事はまだ服が溶けている事だろうか。



「シュナ?もういいか?」

「大丈夫じゃ。」



後ろをゆっくりと向く。



「な、な、何をや、やってるんだ……!」



再び慌てて前を向く。



視界に入ったのは生まれたままの一糸まとわぬシュナ。

純白な少しばかり凹凸のある美しい体がありのままの姿でたたずんでいた。



「お、お前服はどうした!」

「だってお主から服をもらってないのじゃ……」



急いで魔法袋から服を取り出して後ろに投げ捨てる。

すっかり渡すのを忘れていた。



「お主、わらわの裸に興味があるのじゃろうか?」

「んなわけないだろ!」



シュナのからかうような声に急いで返答を行う。

興味なんてあるはずが……少ししか……ない……



再び衣擦れの音が響く。



「終わったのじゃ。」



後ろを振り向くと、頬を赤らめたシュナが服を着た状態で立っていた。



「それにしても面倒くさい魔物だったな。」

「そうじゃな。お主のあの表情が見えるならあと一回ぐらいあってもよいのじゃがな。」

「だからあれは事故だって!」



もう、あんなことはこりごりだ。

たしか勇者達が言っていたと言われているラッキースケベのような物だったはずだが、実際に起こると恥ずかしすぎて喜びを上回っている。



「この一回の戦いだけで疲れ果ててしまったな。」

「そうじゃな……でもご飯のためじゃ!がんばるぞい!」



再び通路の中を歩み始めた。

以上、ラッキースケベ回でした。

次回は少しだけ時間が飛びます。

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