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最弱異端児は夢を見る  作者: 時雨
第二章 駆け出し旅人は……
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第十四話 変異

「大丈夫じゃろうか!?」



シュナが慌ててよってくる。

動けないほどの怪我ではないが、痛みはやっぱりある。



「だ、大丈夫だ。とりあえず刀を取ってきてくれないか?」



シュナに頼んで急いで取ってきてもらう。

何があるか分からないところだ。

警戒しておくに越したことはない。



「ここは……どこじゃろうな……」

「分からないけど……危なそうな事は分かった。」



とりあえず周りの状況を把握する。

だが、ここも薄暗くてよく見えない。



「『起動』……ってあれ?」

「魔力切れじゃろうか。貸してほしいのじゃ。」



目からポンと外してシュナに手渡す。

暗くてシュナの手が見にくかったから落としそうになった。



「『魔力注入』」



シュナの手元で魔境眼は微かな光を発する。

念の為に多めの魔力を注いでいるのだろうか。



「出来たのじゃ。」



返してもらった魔境眼を目にはめる。

シュナはそこまで身長などは変わっていないから、桁はずれの量までは入れていないだろう。



「『起動』」



視界に光が灯る。



周りを見渡すと宙のいろいろなところに薄い光が大量に浮いている。

ここの空間は魔力がいっぱい溜まっているのだろう。

いや、地面から光が発生しているという事は魔力がこの場所で発生しているのであろう。



魔力が発生しているところでは魔力の回復速度が速くなる。

ここではシュナが役に立ちそうだ。



「シュナ。光を頼んでいいか。」

「了解じゃ。」



シュナの手元に魔法陣が生成されて、火の玉が出現する。

でもやはり遠くまでは見えない。



「って円盤はどこに行ったんだ?」

「あれじゃないじゃろうか。」



シュナの指差す方向を見ると壁に大きな穴が開いていた。

そこには円盤がめり込んだ状態で止まっていた。



「そういえば円盤は相当固い素材で作ったんだった。壊れなかったのはもうけものだな。」



とりあえず円盤を力に任せて引き抜いて、魔法袋にしまう。



「お主!下がるのじゃ!」



シュナの警告が耳に届き、足を踏ん張って一気に後ろに下がる。

離れた瞬間、壁が崩れてきた。



そのまま空いていた穴が埋まって、元通りになっている。

恐る恐る近づいていき、触るものの何の変哲もない壁の様だ。

崩れた後という事を想像させないさわり心地だ。



「ここの壁は自動で直るのじゃろうか……」



この時点で一瞬思いついた壁を階段のように壊していき、地上に出るという案が潰れた。



「ここには二つの通路があるようだな。とりあえず進むしかないかな……」

「どっちに行くのじゃ?」



どっちに行っても変わらない気がするものの、どちらかに進まないといけないであろう。



「なんとなく右でいいか?」

「どんどん行くのじゃ!」



通路を明りを頼りに突き進む。

すると、通路には魔物が徘徊していた。



「あれは……緑色のスライム?」



見た事のない色のスライムだ。

地上で見た事があるのは水色のスライムだけで、緑色のスライムは見た事がない。

図鑑でも見た覚えのない魔物だ。



「シュナ……気をつけろよ。」

「分かっておるのじゃ。」



慎重に近づいて、背後から切りかかる。

大した手ごたえもなく、スライムの形が崩れる事もない。

スライムの核をつぶす事はまだ出来ていないようだ。



「お主!逃げるのじゃ!」



何度か聞いたシュナの警告が耳に入り、急いで後退する。

すると、さっきまで僕がいたところに緑のスライムが粘液をまき散らした。



「なっ!」



粘液が地面に当たった瞬間、煙を立てて地面が解ける音がした。



「こんな魔物の存在を聞いた事あるぞ……」

「わらわも覚えがあるぞ……」



頭の片隅にあった記憶を引き出す。



「体の粘液をまき散らしていろいろな物を溶かしつくしてしまう危険な魔物……ポイズンスライムか!」



ポイズンスライムはスライムの変異種だ。

変異種とは、元の生物が外的要因によって変異してより強く、頑丈に、そしてより凶暴になったものだ。

中には特殊能力まで手に入れる魔物もいる。

ポイズンスライムもその一つだろう。

変異種も魔物と同じように増殖するため、地上では相当の脅威となるであろう。

一度だけ変異種の大量増殖が発生して大混乱になった事があったと聞いたが、相当な被害が出たらしい。

勇者という超人的能力所持者が命からがら殲滅したというレベルの強さだ。



「シュナ……行くぞ!」

「気をつけるのじゃぞ!」



シュナの魔法援護と共に駆けだす。

面白くなってきた!

次回は待望の戦闘シーンです。

あと……まぁお楽しみに。

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