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最弱異端児は夢を見る  作者: 時雨
第二章 駆け出し旅人は……
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第十一話 陥没

「倒した……のじゃろうか……」

「たぶんな。頭から真っ二つにされて生きていたら化け物どころではないでしょ……」



ワームは今もぴくぴくと動いているが、もうこっちに攻撃してくる事もないだろう。

少しずつ、動きが鈍っているのも気のせいではないだろう。



「わらわも疲れたのじゃ……」

「そうだな……もう戦う気力が無くなっているし、怪我も少しばかりしたからな……」



腕を見ると、少しだけ掠ったのか赤くなっている。

じんじんとしびれるように痛く、触ると電撃が走るように痛い。

放置していても直るのは時間がかかりそうだ。



「大丈夫じゃろうか?ちょっと腕を出してほしいのじゃ。」



シュナの言うままに服をめくり上げて、傷が見えるように腕をまくりあげる。

布がまた擦れて、痛みが走る。



「大怪我というほどの怪我じゃないのじゃけれど油断はできないのう……『氷風アイスブリザード』」



シュナがためらいも無く水のA級魔法を使用する。

だが、現象量も完全に攻撃用ではなく冷たい風が患部を癒やしていく。

冷やした事によって痛みがだいぶひいた気がする。

だが、問題はそこではない。



「待て!A級魔法を勝手に使ってよかったのか!?」

「なんじゃ?魔法に区分などあるのじゃろうか。」



うっかりしていた。

シュナは意外と疎いところがあったんだった。

シュナは魔法の才能や技術などは優れているが、国の制度などの知識が極端に少ない。



「えっと3つの国で魔法が区分されていて……」



簡単に魔法の区分をシュナに説明する。

基本中の基本だから、知ってないと大変なこともあるだろう。



「でもなんで使っちゃだめなのじゃ?」

「人が死んだりする可能性が高いからかな……」

「でもどうやって管理しているのじゃ?」

「う~ん。難しいところだね。まぁ町中とかでは絶対に使わないでよ。」



警備隊の御用になるのは勘弁したい。

牢屋生活なんで人生に一度も経験したくはない経験ランキングベスト3に入るだろう。

臭い飯に魔法労働……ではなく肉体労働の地獄は想像するだけでもキツイ。



「じゃぁ人目のないここで使っていいじゃろうか。」

「まぁこんな危険なところだからな……ここだけにしてよ……」



とりあえず、今は命を守る事が最優先だ。

人も他にはいないようだし、つかまったりする事もないだろう。



「お主!なんかなんか変じゃぞ!」



シュナが突然、警告を発する。

慌てて後ろを向くと、ワームの体に異変が起きていた。



「これは……何が起きているんだ……」



ワームの体から薄い光が途切れる間も無く出てきている。

そしてついにはワームの体が頭から少しずつ光になって消えていった。



光は地面にのまれていく。

そして、地面に全ての光が飲まれていった瞬間。

ふたたび揺れが襲った。



これまでの揺れに比べては小さい揺れ。

だが、異変は確実に発生していた。



「シュナ!そこから離れろ!」



シュナに危険を呼び掛ける。

その声を聞いてシュナがこっちに向かって魔法道具を活用して一気に飛んでくる。



シュナを避難させた理由。

それは、シュナの後ろの床が突然音を立てながら段々と陥没していったからだ。



陥没はどんどんこっちに近づいてくるので自分もシュナを連れて後ろに飛ぶ。

だが、陥没はなおこっちに近づいてくる。

大慌てで狭い道まで駆けつけた時、ようやく陥没が止まった。

振り向いて状況を把握すると、さっきまでいた空間には完全に面影が無くなっている。

平らだった地面が階段になっているのだ。



「な、なんなのじゃ……」

「あのワームを倒したことで……新たな道が開いたという感じかな……」



ワームから出た光がこの現象を引き起こす鍵となったという事だろう。



「どうするのじゃ?ここしか道はないようじゃが……」

「そうだな……でも、一旦休んだ方がいいと思うな……」



これまで悪夢のせいで寝ていないからか肉体的疲労がとんでもない事になっている。

もう、動くのも一苦労というかしゃべるのも疲れてきたぐらいだ。



「横になって休むのがいいと思う……」

「そうじゃな。一旦横になって起きたらいくのはどうじゃろうか。」

「分かった。」



魔法袋から敷物を出して適当に敷く。

布を通して伝わる地面の冷たさが手に心地よい。



「ふぅ……今日は疲れたのう……」

「まだなったばかりだけどな……」



横になった瞬間に意識が遠のいていく。

悪夢を見た後に寝れたのは初めてだろうか。

疲労が悪夢を上回ったという事だろう。



そのまま意識は闇の中へ消えていった。

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