第八話 落下
連続投稿最終話です。
「なんか分からないけど簡単に言うと落ちたらしい。」
「簡単すぎてなぜこうなったのかが分からんのじゃ!」
確かに驚くだろう。
テントから出たら周りにあった木が壁になっていたら。
「どうしてこうなったのじゃ!?」
「えっと言いづらいのだけど……素振りしてたら刀がすっぽ抜けて石碑を壊しちゃったみたいで……」
「そしてこうなったと。」
「まぁそういうわけ。」
「出口はどこにあるのじゃ?」
「上。」
一言で簡潔に答える。
見渡した限り上へ上るしかないだろう。
もう空が小さくしか見えない。
身長の何十倍……いや何百倍ぐらいの深さだろう。
「これは……頑張っても無理じゃろう……」
「あのシュナが持っていた靴の魔法道具じゃ無理なの?」
「あれはあくまで少しだけ浮かせると同時に斜めに反発させて前に加速しているだけで上には行けないのじゃ。お主の円盤はどうなのじゃ?」
「残念ながらだめ。摩擦を無くすために必要最低限の浮かす力しか持ってないよ……」
絶望的な状況だ。
上からの脱出はほぼ不可能だろう。
「そういえば”怒りを込めしものよ、新たな扉を解き放つために中心にそびえ立つ物を砕き散らせ”て書いておったのじゃっただろう。」
「確かな……よくそんなに覚えていたな。」
「記憶は得意なのじゃ。」
長文を一度で覚えるとはものすごい記憶力な気がする。
ちょっとうらやましい。
「あれを言い換えるとストレス発散に真ん中のもの、石碑を破壊しろということじゃろうか。」
「あぁ~!」
たしかにあり得る。
眠れずにストレスがたまった状態で石碑を壊せというなら条件を達成しているといえるだろう。
狙ってやったわけではないが。
「そして、新たな扉。それがこの地下で開放されたということじゃろうか。」
「おぉ。てことは!」
「どこかに地上に出る扉があるかもしれないというわけじゃ。」
一筋の希望。
これに気がつかなかったらこんなところで飢えて死んでいたかもしれない。
「問題は扉の場所じゃが……」
「そういえば魔力の反応があった場所があった気がしたな。」
「もしかしたらそれかもしれんのう。」
「そうか、『起動』」
魔境眼を作動させ、前に見た光のありかを探す。
「あっちだ。」
「その前に荷物だけ片付けるのはどうじゃ?」
「確かに戻ってこれないかもしれないからな。テントから一つ一つ片付けるか。」
テントの釘を一本一本抜いて、たたんでいく。
深く打っておいたのが良かったのかな。
「じゃあ行こうかの。」
「一応、何が出るかわからないから戦えるようにしておけよ。」
慎重に光のする方へ進んでいく。
だが、そこにはなにもなかった。
「これははずれかもしれないのう……」
「いや……ここになぜ魔力が発生しているのかが分からないからな……」
「ありゃ?ここの地面少し硬い気がするのは気のせいじゃろうか。」
「ん?ほんとに?」
地面を思いっきり踏んでみると確かに少し硬い。
「シュナ。ここほれる?」
「了解じゃ!」
シュナが魔法陣を展開させる。
だが……
「シュナ!お前土魔法も使えたのか!?」
「もちろんじゃが……全属性使えるのじゃが。」
予想外の一言。
全属性使いなんて一人しか聞いたことないのに……
「お前すごいな!」
「褒めても何も出んぞい。」
シュナの魔法陣がいつの間にか完成し、土が思い切り吹き飛ぶ。
『爆土球』だろうか。
「これじゃな。」
シュナが指さす先には謎の扉が埋まっていた。
「これは……普通にさがしても見つからないな……」
扉の取ってをつかみ、引き上げる。
「うわ……真っ暗だな……」
「魔法道具だけ先に落としたらどうじゃ?」
言われるがまま、光る球を投げ入れる。
「うわ……意外と深いな。」
「だいたい身長の十倍ぐらいじゃろうか。」
「飛び降りるしかなさそうだな。」
深呼吸で少し上がった心拍数を下げ、飛び降りる準備をする。
「僕が先に行くからあとで来て。」
そう言い残して飛び降りる。
地面が急速に近づき、受身をとる準備をする。
そして、体に衝撃が走りそのまま転がる。
「痛ったぁ!お尻、打ったぁ!」
ジンジンしていたい……
「大丈夫じゃろうか。」
「大丈夫だから下りてこい。着地に気をつけろよ。」
数秒後シュナは落ちてきた。
だが、着地の瞬間に靴の魔法道具を使って器用に一回転して着地した。
「ず、ずるくないか……」
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