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最弱異端児は夢を見る  作者: 時雨
第二章 駆け出し旅人は……
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第四話 盗賊

「各自戦闘態勢を取れ!お前は敵の位置を把握しろ!」



クルレスさんの鋭い指示が飛ぶ。

とりあえず刀をいつでも抜けるようにしておく。



「敵位置把握!か、囲まれています!」

「ちっ、逃げ切れないか……」



背後や前方から来てるなら逃げる事が可能だが、囲まれてしまうともうどうしようもない。



「クルレスさん!どうしますか!」

「今は……全員魔法陣を待機させておけ!」



その言葉と同時に馬車のまわりに魔法陣が生成される。

相手の出方を見る様だ。



「ほうほうご苦労なこった。」



魔法陣が生成し終わったとたん、前方の草むらから人影が出てくる。

装備もなかなか高級な物を使っているから盗賊のボスだろうか。

むさくるしそうな野郎だ・



「荷物を置いてここから立ち去れ。素直に従うなら命を取るつもりはねぇ。」

「やなこった!商売道具を置いて逃げれるか!」



クルレスさんが即座に馬車の進行方向を変えようとするが、後ろにも敵が現れる。



「おとなしく渡さないと……命の保証はないぞ。」

「だから渡さんといっただろ!」



この間に何か方法がないか考える。

前方か後方の敵を倒してそのまま逃げるか……

でもそれだと馬車を守りながら移動するのが難しい。

反属性壁はその場で固定して生成されるため、動かす事が出来ない。

そして、自分自身が移動して魔法の射程距離から外れると魔法が消えてしまう。

だからそれは現実的ではないだろう。

相当の生成速度と魔力がないと出来ない芸当だ。

シュナなら……できるかもしれないが失敗したときのリスクが高い。

残された道は……



「シュナ!」

「わかっておるのじゃ!」



シュナも同じ事を考えていた様だ。

誰かが殿を務めるしか残された道はないだろう。

この場で一番適任なのは……



「行くぞ!」



シュナが『爆炎球』を詠唱なしに作動させて後方の敵を吹き飛ばす。

前方の敵の方が強いと判断したのだろうか。

こちら側の護衛はすでに詠唱なしの魔法を見ていたから慣れたのだろうが、盗賊は完全にあっけに取られている。



「クルレスさん!後ろから逃げて!僕たちが殿を務めるから!」

「お前!大丈夫なのか!」

「二人なら大丈夫!もし、盗賊を倒せたらそのまま町へ進むから、クルレスさん達は別のルートでむかって!この先の町で合流という事で!」



安心させるために余裕の表情を装う。



「じゃあ後でなのじゃ。」

「気をつけろよ!あとこれだけ持って行け!」



そう言って謎の袋を投げ捨てて元来た道を戻って行った。



「逃がすな!遠距離魔法隊行け!」



やはりすでに魔法を待機させておいた様だ。

いろいろな色の矢魔法があちこちから飛んでくる。

だが、すでにシュナがそれを見越していたのか即座に全属性防御壁を作動させる。

矢が壁に当たって消え去る。



「チッ!」

「シュナ!攻撃を頼む!」

「もうやっておるのじゃ!」



シュナの方を振り向くと、大量の魔法陣が展開されている。

全部で10個ぐらい。

全てが玉魔法だ。

完璧なるチートぶりだ。



「な、てめぇ!化け物か!」

「シュナ!行け!」

「了解……じゃ!」



シュナも額に少しだけ汗をかいている。

さすがにこれはきついのだろうか。



「うわぁぁぁ!」

「ぐはぁ!?」



魔法が向かった先は草むら。

そこに潜んでいた盗賊が打撃で昏倒させられる。

ど、どれだけの威力だ……



「手加減している暇はない!あれを使え!」

「ボス!それは!」

「これしかない!」



そういった瞬間に何かリングが飛んでくる。

は、速い!

刀で迎撃しようとしたが抜くのが間に合わない。



「シュナ!」



リングはそのまま飛んでいきシュナに衝突する。

その瞬間、リングが腕をすり抜けてそのまま装着される。



「な、何なのじゃ!?」

「シュナ!慌てるな!」



再びリングが飛んでくる。

くっ、シュナに気を取られ過ぎて気が付かなかった!

こんどは僕の腕にリングがすり抜けて装着される。



「よし!攻撃は防いだ!行け!」



盗賊の魔法が再び飛んでくる。



「シュナ!」

「分かってるのじゃ!」



シュナが魔法陣を生成させようとする。

だが……



「魔法陣が出ないのじゃ!」

「何!?」



シュナの周りに魔法陣は見当たらない。

そうこうしている間に魔法が飛んでくる。



「やば!」



とりあえずシュナの手を掴んで草むらに飛び込む。

すれすれで魔法をよけきる事に成功した。



「な、なにがあったんだ!?」

「魔法が使えなかったのじゃ。たぶん……この腕輪のせいじゃろうか。」



魔法が使えない……

ということは腕輪には魔法を制限する効果があるのだろうか。



「なら……『起動』」



起句を唱えると魔法機械が正常に作動する。

てことはたぶんこの腕輪の効果は……



「体外に魔力を出せなくするってとこか……」

「それならわらわに出来る事は……ないのじゃろうか……」

「ここは僕に任せて。最近シュナばかりいいとこが多かったからな。」



シュナを草むらの奥深くに行くように言う。



「じゃあそこで待っていて。」

「分かったのじゃ。あとは頼んだのじゃ。」



草むらから道へ移動し、盗賊が視界に入るようにする。



「のこのこやってきて馬鹿な奴だな。」

「ふ、それはどうかな。」



予想通りあちこちから起句が聞こえて魔法陣が見える。

刀を抜いて構えておく。



一気に構えて魔法陣が作動したと同時に……駆けだす。

避けられる物はよけ、無理な物は刀で迎撃する。

そのままボスと見られる野郎に一気に近づき……刀の柄を下から叩き付ける。



「うぎゃぁぁ!?」

「ボ、ボス!?」

「魔法が使えないのにこの速さ!?ば、ばけもんだ!」

「ボスがやられたぞ!逃げろ!」



風魔法の魔法道具を使いながら叩きつけたため、ものすごい勢いで飛んで行った。

たぶん死ぬ事はないだろうが、大けがはしただろう。



「もう大丈夫なのじゃろうか。」

「おう、もう片付けたぞ。」



一件落着だ。

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