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最弱異端児は夢を見る  作者: 時雨
第一章 最弱異端児は・・・
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最終話 駆け出し旅人は夢を見る

「えぇ!」



騒然とする一同。

本当なのか……



「ちょっとどうするの!?このあたりから王都までの馬車は次に出るのは一週間後のはずだったよ!」

「イツキ……どうする?」



たぶん今回の出来事は十中八九カケルの仕業だろう。

シャルムなら盗賊を仕向ける事も簡単だろうし、それ以前に馬車にわいろでも送ればなんとかなるだろう。



途中の町まで自分の足で行くという方法もある。

幸いシュナの無属性魔法の魔法道具などを使えばそこまで大変ではないだろう。

だが、時間がかかりすぎる。

ランク認定試験に間に合わなかったら本当にめんどうだ。



まったく厄介な事をしてくれたな……



「ちょっと待って。とりあえず方法を考えるから。」



頭の中に自力以外の方法を考える。

だが、何も思い浮かばない。

なにか……なにかないのか!



「困ってるようだな。手伝おうか?」



少し高い位置から声がかけられる。

誰だ?



「ってクルレスさん!」



視界の中にいたのは馬車に乗っている行商人のクルレス。

ちょうどよかった。



「クルレスさん。頼みごとあるんだけど。」

「ちょうどいい。俺も頼みたい事があったんだ。ちょっと盗賊が多いから護衛として来てくれないか?」



本当にナイスタイミングだ。

助かった……



「給料も出すし、受けてくれないか?」



クルレスさんの顔を見ると、何かをたくらんできるような感じがする。

たぶん雇うのは建前で本当は助けに来てくれたのであろう。

クルレスさんはシャリムに恨みがあると前に言っていた。

たしか、関税とか言って大量にお金を持って行ったらしい。



クルレスさんも冒険者選定大会を見ていたらしく、事の顛末を全部知っていたらしい。

たぶん、今回の盗賊さわぎも僕への嫌がらせだと見抜いたのだろう。



「ありがたく受けさせてもらうよ。」

「おう!じゃぁ乗りな!」



シュナと共に馬車に乗り込む。

中は意外と広く、片隅に商品が並べられている。

他には何人かの護衛が乗り込んでいて、それでもまだまだ空いてるスペースがあるというものすごい広さだ。



「イツキ~元気にすごすのよ~!」

「怪我とかするなよぉ!」



マサトとサクラの声が聞こえたので窓から顔を出す。

当分の別れだろう。



「お前らも元気でなぁ~!」

「別れは済ませたな!じゃぁ行くぞ!」



馬車がものすごいスピードで走り出す。

これ本当に馬車か!と思うぐらいだ。



「ちょっとこれ速すぎない!?」

「馬だけが動かしてるんじゃないんだぜ!車輪に魔法が仕組んであるのさ!馬が感じる重さはほぼ0だ!」



風を切る音が耳に入ってくる。

熱い夏に涼しい風は心地よい。



「今だ!『氷矢アイスアロー』!」

「『火矢ファーアーアロー』!」

「『風矢



不快な声と共に大量の魔法陣が生成されているのがまどから見える。

たぶんシャリムの声だろう。

もくろみが外れて強硬手段に出たと言うところだろうか。



「シュナ!対属性魔法は間に合うか!」

「すぐにできるのじゃ!でも最初に来るだいたい5つぐらいは間に合わないのじゃ!」



魔法陣を展開させながらシュナが話す。

相当な速さだが、相手より遅く生成したからか間に合わない様だ。

さらには全属性の防御魔法はそうとうキツイだろう。



最初のいくつかは僕が消すしかないだろう。

矢魔法は、避けるのは簡単だが威力が意外と大きい。

攻撃場所が点なため、貫通しやすく馬などに当たると、威力によるが致命傷になると相当時間がとられてしまうだろう。

その隙に再び妨害策を練ってきたら意味がない。



「クルレスさん!速度を落として!」

「分かった!頼むぞ!」



馬車の勢いが半分ぐらいまで無くなる。

このぐらいなら大丈夫だ。



「『起動』!」



魔境眼を起動させて魔法核を視認する。

あと少しで魔法陣が完成して魔法が飛んでくるだろう。

ポケットから急いで念のために準備しておいたものを取り出す。

分類的には投げナイフというものだ。

といっても先端が尖っていて柄もほとんどない。

いわゆる釘のようなものだろう。



それを手にいくつか持って準備をする。

標的は五つ。

冷静に構えて……作動されたばかりの魔法へ……投げる!

そのままもう一つ構えて投げる。

そしてまた投げる!



「シュナ!できたか!」

「あと少しじゃ!」



そのままさらに構えて投げる!

そして、もう一つ投げた瞬間……虹色に輝く防御壁が現れた。

『反全属性壁』だろう。



「クルレスさん!馬車を走らせるのじゃ!」

「了解っと!」



馬車が全速力で進みだす。

たぶん魔法道具の力をフル活用したのだろう。



「待てぇ!!」



シャリムの怒鳴り声が聞こえる。

たぶんシャリムと会うのもこれが最後だろう。

そう願いたい。



あの後、盗賊の包囲網があったがシュナの魔法で吹っ飛ばしてしまって大した障害にはならなかった。

あの盗賊、雑魚すぎるだろ……所詮寄せ集めというとこだろうか。



「そういえばお前も冒険者になるのか?」



暇つぶしにシュナに問いかける。

冒険者のパートナーでも、冒険者になる事は出来るし入らずに共に行動する事も出来る。



「別にどっちでもお主についていければ良いのじゃが。」

「そういえばお前はそういうやつだったな。」



シュナの一途はある意味尊敬できる。

ちょっと怖いぐらいだ。



「それじゃぁお前に目標とか目的とかあるのか?」

「そういうのはないのじゃが……夢ならあるぞい。」

「お?なんだ?」

「世界中のおいしいご飯を食べる事じゃ!」



たしかにシュナらしい夢だ。



「そういうお主は世界を巡ることじゃったっけ。」

「まぁ他に言うなら世界中の本を読み尽くしたいってのもあるな。」

「どっちも世界を巡るってのはいっしょじゃな。」



確かに一緒だ。

長い間一緒にいる事になりそうだ。



「まぁ改めてだがよろしくな。」

「こちらこそじゃ!」



気が付いたらもう、森の直前まで来ていて村が見えるのもこれが最後だろう。



「そうだ!最後に気分を出すために掛け声やらない?」

「おぉいいじゃないのじゃろうか!」



シュナの同意も無事得られた。



「若いもんは元気でいいねぇ。」

「若い頃は元気が取り柄だからね。」



馬車に同伴している人からほほえましい目で見られているのを無視して打ち合わせをする。



「これでいいか?」

「もちろんじゃ!」



準備ができたところで言ってみよう!



「せ~の!」

「「わらわたちの冒険はこれからだ(じゃ)!!」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「ボス。無事に出発したようです。」

「分かった。ありがとう。」



配下の一人が報告に来た。

イツキが無事で何よりだ。

一つの希望を込めた存在。

これからの鍵にもなりうる存在だ。



「引き込まなくてよかったんですか?ボス。」

「大丈夫だ。準備はしてある。」



引き金はすでに彼が持っている。

あとは彼の力次第だろう。



「全ては民の望みのままに。」

「全ては民の望みのままに。」



最後の大きな鍵。



「くっくっく。あはは!あっはっは!」



準備は……調った。



「希望の作戦を……国家破壊作戦を始めようか!」

友「ここまで読んで下さりありがとうございました。イサタ先生の次回作にご期待ください。」

僕「終わらせるなぁ!」

というわけで第一章最弱異端児編は完結です。

第二章は8月31日から始まる予定です。

その日には頑張って三話連続投稿したいです。

その日までは、登場人物や魔法について現在公開できる範囲をまとめて投稿する予定です。

豆知識などもあるのでよろしく!

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