第四十一話 死体
「じゃぁお休み。」
「おぅ。」
あの後、交互にお風呂に入った。
マサトは残り湯を気にしていたようだが僕の家は風呂の水を毎回入れ替えているので無駄だろう。
マサトにはベットを使えと言ったのだが寝像が悪いと言って布団を選んだ。
いつもなら寝ないで研究をするのだが今日はマサトがいるためにそれが出来ない。
大人しく寝るとしよう。
「と思ったけどこのパズルだけ解いていい?」
マサトはそう言って持ってきたかばんからあるものを取り出した。
”ルービックキューブ”というものだ。
勇者が作り出した玩具の一つで、ピースを回したりして6つの面のマスの色を全部そろえるという単純なパズルだ。
3×3×3のものが一般的だがマサトが取りだしたものは規格外。
10×10×10のものだ。
マサトは頭がそうとういいのでこのレベルでないと満足できないのだろうか。
「お前……それはすげぇな……」
「最近9×9×9のものが出来る様になって今これに挑戦しているんだ。」
カチャカチャと音を立てて回し始める。
自分も何度かやったことがある。
マサトからいろいろと教わって、7×7×7まで出来るようになった。
自分の部屋には今は8×8×8のものが置いてある。
「じゃぁ僕は寝るから。」
カチャカチャというBGMを耳にゆっくりと眠りの世界に落ちて行った。
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「……おはよう……」
「おう、おはよう。」
目を覚ますと、すでに布団を畳んで起きていたマサト。
「汗でびっしょりだけどどうかしたのか?」
「パズルを途中で切り上げて寝たんだけど途中で起きちゃってね。」
少しくるしそうな顔をしているのは寝不足だからだろうか。
「イツキ!マサト君!朝ごはんもう出来てるわよぉ」
「は~い」
いつもなら猛スピードで行くのだが、近くにはマサトがいる。
可哀そうな目で見られるのはいやなのでゆっくりと向かう。
食卓にはすでにシュナが待っていた。
「いただきます。」
相変わらずの絶品料理だ。
「朝からすごい食欲だね……」
シュナの方を見てマサトが絶句している。
掃除機のようなスピードで机の上の食事が消えていく。
「早く食べないとシュナに取られるぞ。」
「やば!」
マサトもだいぶ速い速度で食べていく。
シュナに比べたら遅いが、それでも速い。
「ごちそうさまでした。」
最後にはやはり自分のをシュナが食べる事になった。
「じゃぁ、お邪魔しました。」
週末も昨日で終わり、今日から学校。
マサトはいったん荷物を取りに家に帰る事になっている。
「またいらっしゃいねぇ。」
「また学校でな。」
マサトが扉を開け、外に出ていく。
その後ろ姿を見送っていたが……
「ん?う……う、うわあああぁぁあぁああぁぁぁ!?」
突然の悲鳴を上げるマサト。
慌てて駆け寄る。
「え……」
門の前に置いてあった謎の箱。
だれかが持っていき忘れた感じだ。
だが、その中に入っていたのは……
「カ、カナ……」
いつも元気に走り回っていた猫。
食欲旺盛でまだまだ若い猫。
たまに会うたびに心の癒しになっていた猫。
無残な姿でそこに横たわっていた。
あちこちが切り刻まれていて、尻尾は完全になくなってしまっている。
血まみれで見るも無残な状態。
心に小さな炎がくすぶる感覚。
頭の中にいろいろな感情が入り乱れ……そして意識を手放した。
次回、絶望。
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