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最弱異端児は夢を見る  作者: 時雨
第一章 最弱異端児は・・・
37/212

第三十六話 部屋

「シュナ。ちょっといいか?」

 

 

 シュナを部屋に連れ込む。

 とにかくマサトの対策を立てなければならない。

 

 

「どうしたんじゃ?」

「ちょっと大変な事になってな……」

 

 

 とりあえず、マサトの事や泊りに来る事などを簡潔に説明した。

 

 

「ふむふむ、それでお主はわらわに何をしてほしいのじゃ?」

「その間だけ、別の部屋で親戚のフリをして過ごしてほしいんだ。」

 

 

 年の幼い女の子と一緒の部屋で過ごしていると知られたら本当にめんどくさい事になる。

 

 

「それは……いいのじゃが。」

「その間は研究は休んでくれていいから。」

「え~つまらないのじゃ……」

 

 

 予想より不服そうだ。

 

 

「え……やりたいのか?」

「だってそれを条件に居候させてもらってるのじゃし、さらに暇だし……」

「やりたいならやってもいいよ。とりあえず空間生成装置の起動範囲だけ伸ばしておくから。」

 

 

 そう伝えて屋根裏に上がる。

 そこで装置をいじって範囲を二階全体に広げる。

 そして再び部屋に戻る。

 

 

「そういえばお主からの依頼もほとんど完成しておるぞ。」

「おぉ速いな。」

 

 

 さすがの頭の良さである。

 

 

「そういえば緊急で作ってもらいたいものがあったな。」

 

 

 そう言って魔法袋から三つのものを取り出す。

 

 

「この魔法実行用の紙にレンズを使って―――を描いて欲しいんだ。ぎりぎり入るサイズで。」

「分かったのじゃ。けど大丈夫じゃろうか」

「問題ない。だがそれに―――をしてほしいんだ。」

「そういうことじゃか。了解じゃ!」

 

 

 この仕事はさすがのシュナでも時間がかかるだろう。

 自分なんかでは到底できそうにない。

 

 

「じゃぁおばあちゃんにどこかの部屋を借りれるか聞いてくるね。」

「分かったのじゃ。ご飯までここでまっておるぞい。」

 

 

 階段を下りておばあちゃんのところに向かう。

 予想通り料理の最中だった。

 

 

「どうしたんだい?イツキ。」

 

 

 とりあえずマサトが泊りに来る事、シュナは一応親戚の子という事にしてある事、それにあたって部屋を一つ貸してほしいという事を伝えた。

 

 

「分かったわ。空いてる部屋ね……分かったわ。私の部屋を開けておくわ。」

 

 

 おばあちゃんの部屋には入った事がない。

 今回初めて見るので楽しみだ。

 

 

「でもおばあちゃんはどうするんだ?」

「任せておきなさい。一階に一つ汚いけれど空いている部屋があるから。」

 

 

 本当に助かる。

 

 

「そろそろ晩御飯が出来るからシュナちゃんを呼んできなさい。」

「は~い。」

 

 

 階段を上ってシュナを呼び、食事の時間が始まる。

 

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

「シュナちゃん~部屋の準備が出来たわよぉ」

 

 

 おばあちゃんの呼び出しが来た。

 初めてのおばあちゃんの部屋。

 とても楽しみだ。

 

 

「こっちだわよ。」

 

 

 おばあちゃんが呼ぶ方向へ向かう。

 

 

 向かうと声が聞こえてきたのは扉の向こう。

 扉を押しあけて中に入る。

 

 

「……へ?」

「これは……」

 

 

 家具には特に変わったものはない。

 木でできた机やタンス。

 質素な家具が並んでいる。

 だが、一つ異色なのが……

 

 

「なんで部屋の中に雲が浮いているんだ?」

「そしてなぜ部屋の中が外の風景になっておるのじゃ……」

 

 

 部屋は外で野宿しているような感じになってしまっている。

 面白そうなのだが個人的には……

 

 

「面白そうじゃのう!ここで一日住めるのじゃろうか!」

「おまえここでいいのか?」

「全然構わぬ!むしろ大歓迎じゃ!」

 

 

 予想以上に気に入ったようだ。

 

 

「じゃぁここでいいわね。私は一階に部屋を準備するわね。今日から使ってくれて構わないわよ。」

「了解じゃ!」

 

 

 そう言われた瞬間にシュナが部屋のベットにダイブする。

 やわらかそうなベットで少しうらやましい。

 

 

「そういえばお主も今日からこっちで寝るか?」

「そんなわけないだろ!」

 

 

 少し残念な感情が頭を出してくるが押しとどめる。

 

 

「分かったのじゃ……」

 

 

 シュナが残念そうな声を出すが、早めに一人でなるのに慣れないと面倒くさいことになる。

 

 

「寝てる間に抱き枕にされていたのはこれで終わりじゃろうか……」

「まじか!僕が寝ている間になにが起きたんだ!」

「しかも毎日……」

 

 

 衝撃の事実に驚きを隠せない。

 恥ずかしさに顔から火が出そうだ。

 

 

「まぁ面白かったからようのじゃが……」

「とりあえずこの話はやめてくれ!恥ずかしすぎる!」

 

 

 これ以上続けられたら死にそうだ。

 

 

「そういえば~イツキ~なんか居間にあった物が減ってる気がするのよねぇ……」

「ギクッ!」

「えっと~音声記録装置が5個ぐらい減っているのはぁなんでだろうねぇ。」

 

 

 完全にばれているようだ。

 こっそり使う予定だったのに。

 

 

「ごめんなさい!どうしても必要だったんで!」

「しょうがないわね……これからは使うときにしっかりと言いなさいよ。」

 

 

 なんとか許してもらえたようだ。

 

 

「これ、意外と高いのに……大丈夫なの?」

「大丈夫わよ。仕入先が安くしてくれるから。」

 

 

 音声記録装置は音を魔法陣に変換して記録する装置だ。

 ものすごい技術が必要なために、相当値段が高い。

 使うときはスイッチを押している間ずっと記録される。

 時間にして10分ぐらいだろうか。

 再使用できる物もあるがそれになるとさらに高くなってしまう。

 もちろんおばあちゃんが持っているのは再使用不可のものだ。

 

 

「早く風呂に入って寝なさいよ~」

「は~い」

 

 

 シュナと別れて風呂に入って部屋に戻る。

 今日は特にやる事は無くなっているので、そのままベットに向かう。

 なぜか何かが恋しくなって眠れない。

 1時間ぐらいベットでごろごろしたら自然と意識が闇に落ちて行った。

 

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

「お、おはよう……ってだれもいないんだった。」

 

 

 つい癖で言ってしまう。

 なんかこの言い表せない喪失感はなんだろう……

 

 

「む、むにゃぁ」

 

 

 起きたばっかりなのにまだ夢を見ているのだろうか。

 布団をめくって出ようとすると足の上に謎の感触。

 

 

「ってなんでシュナがここにいるんだ!」

次回から少しホンわかムードに戻ります。


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